Google対Viacom 訴訟で連邦地裁、YouTubeのユーザーをオオカミに投げ与える

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現在進行中のGoogle/YouTube対Viacom訴訟はついにユーザー側に波及してきた。このほど裁判所はGoogleに対して膨大なユーザー情報をViacomに引き渡すよう命じた。もしこのデータが実際に開示されると、その結果は2006年にAOLの検索データが公開された事件に比べても比較にならないくらい深刻な結果をもたらす。

ニューヨーク南地区連邦地裁のLouis L. Stanton上席判事が発した命令と見解はここに(PDF)。

開示を命じられたデータにはYouTubeのすべてのユーザー名、そのIPアドレス、そのユーザーがYouTubeで閲覧したビデオの情報が含まれる。GoogleはさらにYoutubeから削除されたすべてのビデオも(DMCAに基づく削除要求であるか、ユーザー自身が削除したかに関わりなく)引き渡すよう命令された。この要求はユーザーのプライバシーを侵害するものだとGoogleは抗議したが、Stanton判事はそのようなプライバシーに関する懸念は単なる推測に過ぎないとして退けた。

ところが一方で、ViacomがGoogleに対してYouTubeのソースコードを引き渡すよう要求していた点については、同判事は「他社が同じだけの投資をせずに同様のサービスを構築できることとなり、Googleの競争的立場に破壊的影響を与える」として認めなかった。

ロースクールを1955年に卒業したStanton判事のような人物がオンライン・ビデオに関する問題点にまったく無知であるのは驚くに当らない。しかし判事に仕える若い助手や研修生の1人くらいは次のような点を指摘するべきだった。(1)Viacomのような名うての訴訟好きの著作権保有者にYouTubeユーザーのビデオ閲覧情報を引き渡せば、そのユーザーが著作権を侵害したとして訴えられる可能性がきわめて高い。(2) YouTubeのソースコードなどはそれが記録されているハードディスク・ドライブほどの価値しかない。そもそもYouTubeのテクノロジーの中核をなすFlashはGoogleではなくAdobeの所有にかかるものであり、YouTubeより画質が良いクローンがすでに無数に誕生している。

YouTubeの本質的な価値はネットワーク効果にある。つまりすでに蓄積されたコンテンツとその膨大なユーザーにこそ価値がある。

したがって今回のプライバシーの崩壊の影響は測り知れない。EFF〔電子フロンティア財団〕はすでに「この命令は連邦法に違反するおそれがきわめて高い」という声明を発表している。

Stanton判事は今のところ問題の法律には興味がないようだ。また判事は、今回引渡しを命じたデータには、Viacomの要求、つまり著作権を侵害するコンテンツとそれ以外のコンテンツの比率を判定するという目的のためには不必要な情報が大量に含まれているという点も全く理解していないようだ。Viacomはその目的のために必要ない、はるかに広い範囲のデータを要求している。その目的は音楽ビデオやテレビ番組を何度か見たユーザー個人を訴える(あるいは訴えると脅して金を搾り取るというRIAAの大好きな手法)以外に考えられない。

私は謹んで申し上げるが、Stanton判事は大バカ者だ。一方、Googleがこのデータを引き渡したが最後、膨大な集団訴訟の嵐に直面することになるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Namekawa, U)