Googleの日本戦略―Yahooを避けて携帯ウェブで先手を狙う

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Googleは世界市場では検索エンジン市場のゆるぎなきリーダーだろうが、ここニッポンではそうではない。実際、首位からはだいぶ引き離されている状態だ。2007年にYahoo Japanは、検索エンジンとポータルサイトを合わせた国内ページビューが3500億近くで、全体の76% という驚くべきシェアを記録している。明らかにGoogleを圧倒する数字だ。(Nielsen JapanによるとGoogleは5.4%の2位)。もっと最近でも、7月のComScoreのデータによると、Yahoo JapanはGoogleの10倍の月間ページビューを誇っている。(Yahooの219億PV対Googleの22億PV)。月間ユニーク訪問者もYahoo Japanが2倍近い。(4600万対2600万)

日本のウェブ市場は「これは例外だ」として済ませるには巨大すぎる。日本は世界でももっともインターネット普及率が高い国で(アメリカの70% に対して日本は74%)、オンライン広告市場は$5.7B(57億ドル)だ。(全世界で$45B(450億ドル)という推計がある)。また日本はウェブ訪問者総数で世界3位だ。(9400万人。ドイツとイギリスの合計にほぼ匹敵する)。

そこでGoogleはYahooが固めてしまった日本のインターネットのハブという地位にどうやって挑戦するつもりだろうか?

西欧ではここ数年でインターネット・ポータルの影響力は落ちている。しかし日本ではそうではない。Alexa Japanの統計によると、トップ25のうち7サイトがポータルだ。このためGoogleは例のシンプルなトップページのデザインを日本市場向けにカスタマイズせざるをえなくなっている。Googleの中国版も同様の傾向があるが、Google日本版は他のGoogleサービスへのリンクがずらりと並ぶようになった。また検索ボックスにはキーワード候補の提案機能が含まれている。

さらにニッポン・オンリーの機能として、mixi日本最大のSNS)ユーザーがGoogle Mapsをmixi内のブログにエンベッドできるようにした。また、ウェブサービス企業のはてな(日本でもっとも人気のあるオンライン・ブックマーク)と提携してOne Greenプロジェクトという地球温暖化防止のためのマイクロ・ブログをスタートさせていkる。

しかしこれらの努力はどちらかというとほんの脇筋の話だ。Google Japanは固定インターネットにおけるサイトのローカライゼイションを比較的低いレベルにとどめている。 (たとえばGoogleはYahoo的なポータルサイトを目指していない)。その代りに、Google Japanは2段階の対日戦略を持っている。Yahooを避けつつ、より大きな携帯ウェブ市場を制覇し、その次に固定インターネット市場に挑む、というものだ。

強調、実験、回避のためのマッシュアップ戦略
日本の携帯キャリヤ各社はそれぞれユーザーがデフォルトで使えるインターネット検索エンジンを指定している。したがって、マス市場を獲得するには、携帯電話機に事前にインストールされたメニューの中で目立つ位置を獲得することが決定的に重要となる。

これが、Google Japanが2006年に日本の携帯市場のナンバー2のキャリヤ、KDDI auと提携したのに続いて、 今年1月、マーケットのリーダー、NTT DoCoMoとの提携に調印した理由だ。(ちなみにKDDI auとNTT DoCoMoは共にOpen Handset Allianceに当初から加入したメンバーだ。しかしその後、両者ともAndroid携帯の開発に関しては口を閉ざしている)。

Googleの日本における―日本以外でも適用可能かもしれないが―携帯戦略は、DoCoMoとKDDI auを合わせて7400万の携帯インターネット・ユーザーが、携帯ウェブのGoogle化を受け入れるか否かにかかっている。(これに対してYahoo Japanの筆頭株主であり日本3位の携帯キャリヤであるSoftBankの契約者数は1500万)。

NTT DocomoとKDDI auはGoogleの検索エンジンを直接スタートメニューに設置しており、携帯サイトとPCサイトのコンテンツも同期させている(内容連動広告も同期してい表示)。ユーザーはまたGoogleカレンダーやYoutubeその他のGoogleサービスに簡単にアクセスできる。一部のDoCoMoの端末はGoogle Maps Mobileをプレインストールされている。これに加えてGoogleは、この提携を通じて、世界でもっとも進歩したウェブ市場におけるユーザーの行動情報を大量に入手できる。そこで Google Japanが
れらの提携がビジネスとトラフィックの両面で「巨大な影」がある(ただしその詳細について明らかにするのを避けている)と述べたのも不思議ではない。

Googleは、隔離された島国独特の発達を遂げた日本の携帯市場を実験場として独自の携帯ウェブ・アプリの開発を行い、後日、世界の他地域に導入していく構えなのだろう。

それにこれは単に検索と広告ビジネスにとどまる話ではない。たとえば、KDDI auは日本市場専用の携帯版Gmailを「au one メール」として自社ブランドを付与している。このサービスは無料で、携帯だけでなくPCからもアクセス可能だ。これはYahoo Mailが独占する日本のウェブメールの世界にGoogleが攻撃をかけるための「トロイの木馬」の役を果たしそうだ。日本は世界で最初にアニメ化されて動くキャラクター画像が携帯Gmailで利用できるようになった地域だ。(ニッポンでは大きな意味がある)。またGoogle Mobileは地震があったときの情報を非常に素早く提供している。.

この全体的戦略は、長年にわたって負けてきたYahoo Japanとの直接対決を避けながら、日本のウェブユーザー、携帯業界全般におけるGoogleブランドの強化を目指すものだ。またGoogleは日本その他の外国における検索技術の改良、調整についても多くの知見を得ているはずだ。

たとえば、Googleの日本にける無線ビジネスの責任者、John Lagerlingが公開している意見だが、「一般に信じられているのと違って、携帯Googleのトラフィックは朝方に低下しない(何百万もの日本人が通勤、通学の途上にある)、またピークは午後6時から午前1時の間に来る。Lagerlingは日本以外の地域でも、定額データ契約とウェブ・ブラウザが利用可能な携帯端末が普及すれば、世界的に同じようなトラフィックの傾向が見られるのではないかと推定している。

Googleの多段階にわたって用意された戦略は納得できるものだ。しかし日本のユーザーは一般に、Yahooのような確立されたスーパー・ブランドに対する忠誠心が強いことを証明してきた。そこでGoogleはまだ以下のような点について引き続き努力が必要だろう。a)現地パートナーと提携して今後とも強力な支援を受ける。b)Yahooの地位を携帯という裏口から脅かす。c)将来のAndroidの役割。d)GoogleJapan特有の経験を世界的な携帯ウェブ市場で生かす。

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(翻訳:Namekawa, U)