Facebook、イージーミュージックを夢みるも社内では宗教戦争激化

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8月に私は、MySpaceが米国市場でFacebookに圧勝し続けるための唯一最大の要素は音楽であるという仮説を立てた。

Facebookがこの数年音楽に関して実験をしてこなかったわけではない。例えば、アーティストがページを作って自身の宣伝を行うことはできるが、ほとんど使われていない。またFacebookはこの夏、iLike(同サイト上で唯一本格的に人を集めている音楽サイト)に、大切なGreat Appsの称号を授与し、理論上Facebookの自身のアプリケーションと同じ土俵を与えた。

Facebookの幹部と話をすると必ず、iLikeをはじめとする音楽アプリケーションを自前で作るつもりがないことを強調する。

しかし、一週間ほど前にFacebookが独自の音楽アプリケーションの開発に本気で取り組み始めてから、すべてが変わった(Venturebeatが詳しく報じているが、話の一部はわれわれが入手した情報と食い違っている)。正式な発表はされていない。しかし、事業開発担当VPのDan Roseのチームが、8~9社のインターネット音楽サービスと接触して、サービスがどうあるべきかを議論したという。さらに、複数のFacebook幹部がニューヨークの主要音楽レーベルと会って同プロジェクトについて話をしたという情報もある。

われわれは複数の情報源との話を元に、Buzznet、iLike、iMeem、LaLa、Last.fm、Rhapsody等のサービスに対して接触があり、Facebookの新音楽サービスの目指すところの概要を示す文書(関係筋の間ではRFP(提案依頼書)または条件概要書などと呼ばれるもの)が提示されたと確信している。

RFPには、そのサードパーティーサービスが、無料音楽ストリーミング、プレイリスト、音楽の有料ダウロードや、着メロ、コンサートチケット等の音楽販売、Tシャツ等の物販サービスを行う新しいFacebook音楽サービスを作ることが要求されている(これがMySpace Musicに似ていると感じたとすれば、それはお手本そのものだからだ)。新サービスは表面的なユーザーからの要求だけでなく、音楽ストリームと料金を監視するために、レコード会社が要求する非常に厄介なトラッキング(追跡)に関わる問題にも対応しなくてはならない。

またRFPにはある条件の下で、サービスの所有権と管理をFacebookが取得することができるという煩しい終了規定が含まれている。見返りとしてFacebookは、サービスから生じる収益をサードパーティーと折半すると、情報筋が語っている。

音楽サービスを立ち上げて運用するために、レーベルが要求する巨額な前払い金を誰が払うかについては、話が食い違っている。前払いロイヤリティーは$100M(1億ドル)にも上り、Facebookは自分では払いたがっていないという予測をする者もいが、Facebookはサードパーティーに持たせることができなければ、この費用を払うつもりがあるとする者もいる。

われわれの議論から明らなことは、サードパーティー音楽サービス各社が、Facebookの条件が一方的すきることにあきれているということだ。Facebookの条件を呑むことは、ある筋に言わせると「自殺」だという。しかし、Facebookの音楽から取り残されたい者が誰もいないことも、また明らかだ。「これはジレンマだ」とある情報源が言っていた。


Facebookプラットホーム宗教戦争

Facebookは問題を抱えている ― 音楽を無視してMySpaceとまともに競争することはできない。しかし、一方でアプリケーションデベロッパー、とりわけiLikeには、対等の土俵を約束してしまっている。デベロッパーたちは、その約束を拠りどころにして膨大な資源を投入してFacebook上で開発している。仮にFacebookが約束に反して音楽に取り組めば、デベロッパーは他のどんな分野でもFacebookを信用できなくなるだろう(Facebookが同じようなRFPを三行広告業界にも提示しているという噂がある)。メッセージは明快だ。ニッチはいくらでもやる、ただし大きくなりすぎたらオレたちがやらせてもらう。

Facebookが前進する方法が三つある。(1)MySpaceがやったように自前の音楽サービスを作って、アプリケーションデベロッパーからの信頼を永遠に失う(プラス、サービスを開発してレーベルその他の権利保有者との契約に1年以上かかる)、(2)サードパーティーと提携してFacebook Musicを作り、他のサードパーティーデベロッパーとそれなりに対等な土俵で戦う、(3)単にiLike(または他のサービス)をそのまま買収する、iLikeはすでに「Great App」なので、ニッチで非常に突出すればお金になる道があることを、デベロッパーに示すことになる。

iLikeはこのサービスにとって理想のパートナーではない、なぜなら音楽レーベルとの繋がりを持っていないからだ(Rhapsody経由で曲をストリームしている)。しかし、iLikeがすでにFacebookの音楽シーンを支配していることは間違いない。そしてFacebookはレーベルとのそうした関係を、いずれにしても直接扱わざるをえないかもしれないので、iLikeはぴったりだといえる。

Facebookがどの方向に進むことになるかは全くわからない。われわれの理解によれば、CEOのMark Zuckerbergはデベロッパーたちをこれ以上怒らせることはしたくない。しかしRoseはデベロッパーたちを無視した直接的アプローチを支持するに違いない。

この戦いの結末は、Facebookの音楽戦略をはるかに超える影響を与えるだろう。この会社が、そもそもソーシャルグラフのプラットホーム/オペレーティングシステムであると本気で考えているのか、それともFacebookプラットホームのあらゆる金目のものが欲しいだけなのかをも、示唆することになる。

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(翻訳:Nob Takahashi)