嵐に備えよ―バブル破裂にあたってベンチャーキャピタリストのアドバイス

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これはVentureBeatブログが主催したDownturn RoundTableでのベンチャーキャピタリストのパネルディスカッションの要約。シリコンバレーの起業家のパネルについてはこちら〔英文〕。

10月29日、VentureBeatが主催したDownturn RoundTableではシリコンバレーのエリートたちによるパネルディスカッションが2つ行われた。1つは著名なベンチャーキャピタリストによるもので、もう1つはベテラン起業家によるもの。会場は経済危機を乗り切るアドバイスを求めるスタートアップ企業のCEOで満員だった。2つのパネルの見解には食い違いもあった(VC側は、引き続き資金調達に協力するとしたが、起業家側はこれを空約束と批判)ものの、全般的な意見としては、少なくとも部分的には、楽観的なものとなった。資金ぐりは厳しくなるだろうし、多くの会社は苦痛を伴うコスト削減に取り組まねばならないだろうが、スタートアップを運営するコストはかつてないほど低くなっているし、イノベーションは引き続き進行するだろう、という結論だった。

ベンチャーキャピタリストのパネル

VentureBeatのMatt Marshallが司会をつとめたこのパネルでは、Kleiner Perkins Caufield &ByersのJohn Doerrが口火を切った。彼はSequoia Capitalが関係するスタートアップに送った56枚のスライドによるプレゼンに同意し、「われわれは経済危機による不安の時代に突入した。スタートアップは素早く、効果的なコスト削減に取り組まねばならない」と述べた。この意見はパネル全体の基調を示すものとなった。NewEnterprise AssociatesのKittu Kolluriは、調達した資本の消費率を下げ、かつ、できるだけ早く収入を生み出すようにする必要性を強調した。Googleに初期から投資したことで有名なRam Shriramは、会社価値の評価額の低下が続きそうだという見通しを述べ、それに伴って資金調達は非常に困難になるだろうと述べた。Benchmark CapitalのMatt Cohler (以前はLinkedInとFacebookに在籍)は、コスト削減の必要に同意しながらも、慎重になるべきではあるがパニックを起こすべきではないと強調した。

投資家中でもっとも楽観的だったのはエンジェル投資で成功を続けてきたRon Conwayだった。前回のバブル破裂のときより今回のほうがずっとましだという。Conwayによると、前回のドットコム・バブルの際は、1998年から1999年に彼が投資した会社の70%は1年以内に破綻してしまったという。これに対して今回はConwayのポートフォリオ企業のうち閉鎖に直面しているのは13%だけで、この差の理由の一つは、資本消費率の低下にあると述べた。前回のバブルの時期には、平均して月間$750K(75万ドル)消費していたのに対して、今回は$200K(20万ドル)に低下しているという。Conwayはまた、もしスタートアップが追加資金を必要とする場合、まず当初の投資家に相談すべきだ、彼らがもっとも援助してくれる可能性の高い相手だと述べた。

Kolluriも多少楽観的な見通しを述べた。「私のもっとも成功した投資は前回のバブル破裂の時期に行われたもので、以後も順調に投資を続けている。これからの時期、投資先のさらなる絞り込みは必要になるだろうが、イノベーションに貢献するスタートアップを今後も引き続き発見できるものと考える」と述べた。

こういった全般的見通しを述べた上で、パネリストはさらにいくつか現実的なアドバイスを行った。今回のパネルディスカッションに先だって、John DoerrはKleiner Perkinsが資本を提供している企業の幹部に、経済危機対策についてアンケートを行い、次のようなリストを作ってきた。

1. 即刻行動せよ。スピードが命だ。可能な限り資金を調達せよ。
2. ビジネスの中核を守れ。ただしリストラにあたっては斧ではなくメスで慎重に作業せよ。
3. 収入をもっとも控え目に見積もった場合でも18ヶ月以上運営できる資金を確保せよ。
4. オフィスの拡張を延期せよ。その金をコンピュータやソフトウェアに使え。ウェブ・サービスをもっと利用せよ。
5. 値切れ。購入先、仕入先と価格や支払い条件を再交渉して譲歩を引きだせ。
6. 社員は全員がセールス担当者になれ。会社と会社のコンセプトをあらゆる機会に売り込まねばならない。それが収入をアップさせる道だ。
7. 社員にボーナスを支払う場合、キャッシュではなく株式にせよ。Doerrによると、前回の経済危機の際に、自発的な給料のダウンを募って、社員の雇用を確保した会社があったという。今回の危機にあたっても投資家はこういうアイディアには好意を示すだろう。
8. キャッシュの預け先に注意を払え。安全が第一だ。政府による完全な保証があるものが望ましい。Doerrは「キャッシュは財務省証券で保有しているのがよい」とアドバイスした。
9. 収入の見積もりをする際には、90日後を見通せ。90日先に収入が入るかどうかできるかぎり正確に予測できるような手段を講ぜよ。
10. 社員、投資家、顧客とのコミュニケーションに最大限の努力をせよ。やり抜く決意を見せよ。実情を隠すな。

これにパネリストがそれぞれのアイディアを付け加えた。
Ron Conway: 常にM&Aの可能性を頭に置くこと。M&Aのチャンスがあったら素早く行動する。あと、固定費でいちばん大きいのは家賃だが、これも交渉可能だ。2000年の経済危機の頃、私は何度も大家のところにでかけて、家賃の一部を株で払うなどの交渉をしたものだ。5割くらいの場合に、これはうまくいった。

Ram Shriram:現時点では、株式よりキャッシュの方が貴重だ。できるかぎり支払いは株式で行い、キャッシュを手元に残せ。

Matt Cohler:長期にわたる支払い契約を避けよ。この経済危機がどれほどの期間続くのか誰にも予測できない。なにごとも不確実だという前提のもとに、慎重に行動すべきだ�
�たとえばオフィスなどの賃貸には慎重になれ。他の支出項目と違って、こういうものは長期契約だ。もうひとつ注意すべきなのはIT関係の支出一般だ。今回の経済危機が前回と違う点の一つは、現在、柔軟で、無料あるいはきわめて低価格なさまざまなサービスやツールが出回っているということだ。今までローカルでやってきたことをクラウドに移すことで節約が図れる場合があることを忘れてはならない。

最後にCohlerは、「われわれBenchmarkを始め、ベンチャーキャピタリストは、ベルトを締め直してはいるものの、依然新規投資先を探している」と改めて強調した。

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(翻訳:Namekawa, U)