Warner、“360”契約をアーティストに義務化―メジャー・レーベルも音楽の無料化に備え始めた

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“360”音楽契約では、レーベルは、従来からのCDとデジタル・ダウンロード販売の売り上げだけなく、コンサートのチケットやグッズの売り上げ、CM出演料等、アーティストがアーティスト名ないしブランド名で行う活動のすべての売り上げからコミッションを得ることができる。

1年前には、360契約は、賛否両論が戦わされる実験的な試みだった。レーベルは、この試みは長引くCDの売り上げの落ち込みから身を守るために必要なのだと釈明していた。

しかし、現在では、この種の契約は義務化され始めた。Warner Music GroupのCEO、Edgar BronfmanはWeb 2.0 Summitで、Warnerは、現在、新規契約アーティスト全員に360契約への署名を要求していることを明らかにした。Warnerと契約している全アーティストの約3分の1が360契約を結んでいるという。

激しく批判的な聴衆に対してBronfmanは「主要な収入源であるCDの売り上げが落ち込み続けている(ただし、デジタル・ダウンロードが今や収入の20%を占めているとも付け加えた)以上、このままではレーベルがアーティストのプロモーションに金をつぎ込む意味がなくなってしまう」と説明した。他の収入源がなければ、アーティストのプロモーションを止めるほかないというのだ。

Bronfmanは、また、360契約によって、レーベルはコンサートその他のイベントやグッズの売り上げを促進するために音楽を無料で配布することができるようになるとも付け加えた。

私の見るところ、まさにこの点がカギだ。最近まで音楽業界の外にいたBronfmanは、「壁に書かれた予言」をはっきり読み取ったのだと思う。音楽のダウンロードは最終的には無料になりコンサートなど他の事業による売り上げを補強する程度の意味あいしかなくなるのだ。

360契約は、新しいエコシステム内にレーベルの居場所を確保するためのものだ。レーベルが長期的にビジネスを続けるためにこのような試みを行うのは当然のことだろう。アーティストはレーベルについていくこともできるし、独自の道を歩むこともできる。すべてはアーティストからみて、どちらがいっそう利益になるかの判断にかかっている。もしレーベルが販売促進と宣伝の面で十分な利益を与えることを約束できればアーティストは360契約に署名するだろう。レーベルの奴隷になるには違いないが、(ごくわずかだとはいえ)大金持の奴隷になれる可能性はある。

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(翻訳:Namekawa, U)