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Ian Rogers、死に絶えつつある音楽 CDビジネスを語る:「そんなこと、関係ありません」。

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音楽ビジネスの危機について、ここTechCrunchでも何度も論じてきた。しかし数週間前の音楽産業カンファレンスでの基調講演で、Topspin CEOのIan Rogersは違う未来を描いて見せた。前Yahoo MusicのトップのRogersは死につつあるのは音楽産業ではないと正しく指摘して見せた。他にも同様のことを言う人はいる。死につつあるのはCDビジネスなのだ。

CDの販売が低下してドードー鳥同様に絶滅の道を歩む中、デジタル音楽のセールスがCDの低下分を補ってはいない現状がある。それについてRogersは次のように語る。

まったく関係ありません。

プレスに書かれる悲観的ニュースは、新しい音楽ビジネスについてのものではありません。音楽産業の状況についての悲観的記事は、音楽業界の人間全員が1995年にカセットテープビジネスの衰退に泣き崩れたかのような論調で書かれています。カセットテープからCDへの移行が進んだ際は、勝者は同じ(キャッシュ、流通経路を持ち、マーケティングに優れた人)で、勝利の定義(大企業のためにできるだけ多くの製品を売ること)も変わりませんでした。

何年も言い続けてきているように、メディア世界の物理法則は変わり、勝者も、そして勝利の定義も変わりつつあります。iTunesがCDに取って代わりつつある現状も、これから訪れる状況を完全に物語るものではありません。

ニュースでは相変わらず音楽産業の状況をWMGの株価やUMG、Sony、EMIなどのの四半期収益で論じています。RadioheadやNine Inch Nailsに関するいくつかの記事以外、アーティストの観点から見て状況がどのように変化しつつあるかを示すものはありません。マネージャーやアーティストに話をすると、彼らも意識しているようですが、音楽業界のプロフェッショナルとしてのキャリアを自分の手で構築し、これによって成功という言葉の意味を再定義しています。これがすなわち現れつつある新しい音楽ビジネスの姿なのです。

現在のヒット主導の音楽産業に取って代わるのは、ウェブを使って自身の音楽、ショーや商品をプロモートできる中間層の拡大だということだ。RogersはTopspinを通じて音楽配信を行い、従来の体制下におけるよりも多くの利益を上げた2組のアーティストを例に挙げる。

ひと組目の例ははデヴィッド・バーンおよびブライアン・イーノのニューアルバム「Everything That Happens Will Happen Today」。デジタル配信を行い利益のほとんどを自身のものとすることで、レーベル経由で得られる総利益にあたる額を最初の50日で得ることができた。2つめの例は20代であまり知られていないアーティストのJoe Purdy。彼はiTunesでのべ650,000曲を売上げ、それにより家を買うことができた。

Rogersは次のように結論する。

デジタル配信は金にならないと言われていますが、アーティストの観点で見れば、それはまさに金になるのです。しかも短期で収益を手にすることができます。デヴィッドとブライアンは利益の大半を手にしました。支払いは(Topspinを経由で)購入から60日以内に行われています(取り分や複雑なロイヤリティ計算は不要)。コストが低ければ収益は上がりますし、ダイレクトに販売と結びついているので旧来のモデルと比較すると損益ラインを非常に低く保つことができます。

マス・マーケティング方式では、アーティストの観点から見ると利鞘が低くなってしまいます。ターゲット・マーケティングを採用すれば利幅を大きく取ることができるのです(Joe PurdyがiTunesでのセールスで家が買えたのはこれが理由です)。Topspinは、旧来の音楽ビジネスシステムではやっていけなかったけれど、新しいモデルによって息を吹き返す中間層のアーティストが多く存在すると考えています。

新しいビジネスシステムのもとでは、結局主役は二人に限定されるのです。つまりアーティストとファンです。残りの関係者については魅力的なサービスで付加価値を身につけるか、あるいは消え去るしかありません。これについて個人的には非常に良いことだと考えているのです。

Rogersは正しい。音楽産業には、より多くの中間層クラスのアーティストが必要だ。また、Rogersのように中間層育成に努力する人材も必要だろう。

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(翻訳:Maeda, H)