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レコード業界のTotalMusic実験の容体が急速に悪化

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Sony BMGとUniversal Music Groupが設立したデジタル音楽配信会社、TotalMusicに生命維持装置がつけられたようだ。もっと深刻かもしれない。この数ヵ月間、同社ではこの構想の陣頭指揮をとった音楽幹部2名が離脱し、続いて上級職員を含む一連のレイオフが行われた。昨日(米国時間2/6)には、TotalMusicが昨年買収した音楽ストリーミング会社のRuckusが、突如として閉鎖された。RuckusのCEO Michael Bebelに繰り返し接触を試みているが未だに返答がない。TotalMusicをデッドプール送りにするにはまだ早いかもしれないが、会社の先行きは怪しい。

TotalMusicの歴史は、契約の失敗から重要戦略の変更、反トラスト裁判まで波乱万丈だ。設立以来、この会社は音楽に関して新しい収益モデルを2種類提案してきた。ひとつが、エンドユーザーに対して巨大な音楽ライブラリーを「無料」で提供するもので、これを音楽サービスのコストを同社の音楽デバイスに上乗せすることによって実現しようとした。計画はおよそ予定通りにはいかず、2008年初めに、司法省が反トラスト調査に乗り出し、アイディアは頓座させされた。

昨夏、同社は死地からよみがえった。第2のモデルは、それまでウェブに音楽がライセンスされていた方法と一線を画すものになるはずだった。従来、主要レコード会社はサイトに対して、ストリーミングの料金を1曲毎に徴収し、法外な制裁金と訴訟で脅すことによって皆を服従させてきた。MySpace、iMeemといった主要サイトもこの種の契約に縛られ、他の多くの中小サイトは高額な費用のためにサービスを維持することが難しくなっていた(2008年一番人気のiPhoneアプリを持つPandoraでさえ、閉鎖の危機があった)。

こうした一曲いくらの料金体系とは異なり、TotalMusicはユーザーデータと関連するあらゆる広告収益の見返りとして、サイトに無料でストリーミングを提供することになっていた。具体的にはこの構想がそもそもFacebookを想定したものであり、同ソーシャルネットワークに無料で音楽サービスを実施させる一方でライバルたちからは高額な費用を取ろうというものだった。しかし、Facebookは食い付かなかった。正確な理由は霧の中だが、UMGとSonyはEMIを引き込むことに成功したが、残る主要レーベルであるWarnerの同意を得られなかった。また、Facebookがユーザーデータと収益を出したがらなかったとも聞いている。

Facebookとの契約が御破算になり、同社はさらに悪い方向へと進んだ。昨年の夏にわれわれがこの会社について調べた際、LikedInに掲載されているTotalMusicのソフトウェア技術者4名が、以前MusicNowで働いていたことに言及した。MusicNowは、Circuit CityからAOLの手に渡った別のストリーミング音楽サービスで最終的には顧客ベースを「合法の」Napsterに売り渡した会社だ(彼らの専門知識を新サービスに生かそうとしたのだろう)。先月、4人のうちの2人のプロフィールが変更され、すでにTotalMusicでは働いていないことを示していた。

ほかにも、同社の複数のトップクラスのエンジニアがここ数日の間にレイオフされ、その結果Ruckusが突然の閉鎖を余儀なくされたという情報もある。Ruckusは、昨年静かにTotalMusicに買収され、同社のサービスでバックエンドの基盤をなすはずだった。運用停止があまりに急だったために、サービスに参加していた大学の中には、変更の通知すらされなかったところもあった(多くの大学が、著作権侵害防止のためにRuckusを推進していた)。

しかし、進展もみられる。先月、TotalMusicはTunePostというサイトを新たに立ち上げ、これはウィジェットによる音楽ストリーミングを提供するものらしい。現在サービスはプライベートベータ中だが、同社の製品マネージメント担当VP、Jason Herskowitzが、自身の個人ブログにウィジェットを>埋め込んでいる

これはTotalMusicにまだ息がある兆候ともとれるが、一方には会社に残った従業員たちが同社の技術を外部に売ろうと探しているという見方もある。ウィジェットを埋め込んだのは、自分たちの作った技術を見せびらかすためかもしれない。いずれにせよ、現在の経済状態下で、未だ公開されない音楽ウィジェットに帰着するようなものに音楽レーベルが資金を注入し続けることは考えられない。

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(翻訳:Nob Takahashi)