MySpaceから優秀な人材が大量脱出―落日を予感?

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CEO以外の野心的で優秀な幹部が会社を辞めるのは必ずしもトラブルがあることを意味しない。その幹部は実はあまり仕事ができなかったのかもしれないし、単に自分で会社をスタートさせて自由にやりたかっただけかもしれない。成功したスタートアップの幹部が辞めて新しいスタートアップを創立するというのはシリコンバレーでいくらでも耳にするストーリーだ。

しかし、幹部が大量に辞めるとなると、要注意だ。会社が買収されて創立メンバーが大金を手にしたような場合は例外だが、優秀な人材の流出は、会社が脇道にそれかかっている―か、それより悪い―ことの兆候だ。2007年から2008年にかけてYahooの幹部が大量に辞めたのがその例だ。Yahooの場合は特に目立つ例だったが、多数の幹部が同時に辞めるというのは、スタートアップにとって間違いなく何らかのトラブルを意味する。

今日(米国時間3/4)、MySpaceのCOO、製品戦略担当上級副社長、テクノロジー担当副社長の3人が会社を去り、しばらく充電した後で新しい会社を作るというニュースが流れたが、これも例外ではない。私はこの3人を個人的に知っている。全員、きわめて能力が高く、競争心に溢れた人材だ。MySpaceはこれらの人材を必要としていた。もちろん代役は見つかるだろう。しかしこの事件の本当の重大性は、こういった優秀な人々が今こそMySpaceから離れるべきタイミングだと判断し、身をもってMySpaceを見限ったという点にある。しかも、われわれは記憶にないほどの大不況のさなかにいるという事実を考えあわせると―MySpaceは落日を迎えようとしていると結論せざるを得ない。これはもう否定できない事実だ。

2008年にMySpaceは記録的な収入を得た。しかもまだアメリカ最大のSNSである。しかしその地位もFacebookに1年以内に奪われるだろう。収入の点でもFacebookがMySpaceを追い抜くのはそう遠くないはずだ。

私は最近MySpaceが犯した失敗を細かく数え上げるつもりはない。しかし、大きいところだけでもいくつもある。まずMySpaceはリスクを取って新しい機能を提供するという点でFacebookの後追いを続けてきた。(たとえばNewsFeed、セルフサービス広告、Facebook Connectなど)。また国際化戦略でも大きなミスをしている。(Facebookはユーザーに各国語への翻訳を任せた。MySpaceは進出を図った国すべてに支社をオープンした。どちらが効率的か考えてみるまでもない)。

逆にMySpaceが正しい方向に進んだ領域では収益化に失敗している。MySpace Musicは数ヶ月前には大いに期待がよせられていた。しかし機能の拡充はいっこうに進んでいない。しかも提供されているのはアメリカ国内のみだ。

だがMySpaceの最大の問題は、組織の構造がバカげている点だろう。MySpaceはFox Interactive Media(FIM)の子会社で、FIMはNewsCorpの子会社だ。FIMはMySpaceの意思決定を遅らせるだけの無用な企業官僚制の層となっているようにしか見えない。われわれはFIMの責任者のPeter LevinsohnとMySpaceのCEO、Chris DeWolfeがMySpaceの支配権を争っているため社員がきりきり舞させられているという噂を何度も聞いている。建前としてDeWolfeはLevinsohnの部下だが、DeWolfeはグループの総帥Murdoch自身の子分である。そもそもFIMが創立されたのは、さまざまなインターネット企業を買収するためだった。しかしその役割を終えた今となっては、もはやFIMの存在理由を見いだすのは難しい。単にMySpaceの運営を混乱させ、つまらぬ縄張り争いを引き起こす温床になっている。News Corpの採るべき最良の戦略は、MySpaceを自由にさせ、DeWolfeに存分に腕を振るわせることだろう。

以上のような事情これに加えて、MySpace従業員には十分なストックオプションが与えられていないという問題もある。これもトップクラスの人材の流出に拍車をかけている。ファウンダーのChrisDeWolfeとTom Andersonは買収時にMySpaceに残る契約をしているが、その更新の時期が今年後半にやってくる。 News Corp.がよほどの大金で引き留めない限り(現在の契約では2人合わせて年額$30M(3000万ドル) がすでに支払われている)、今年中に2人ともMySpaceを去る可能性がある。いや、それどころか、すでに去る決意を固めているのかもしれない。そうだとすれば幹部の流出も驚くには当らないわけだ。

しかし、こういったことはすべてテクノロジー系スタートアップ(MySpaceにしても創立5年になるかならぬかだ)ではずっと繰り返されてきた。 今回のケースではFIMが大きな邪魔者となってFacebookがMySpaceに追いつくための努力を妨げてきたように見える。何にしても、今となってはMySpaceはFacebookにはるかに引き離されてしまった。しかし良いニュースもある。才能溢れる経営者と技術者が新しい会社を作ろうとしている。こうしてシリコンバレーの歴史の新たなサイクルが始っていくのだ。

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(翻訳:Namekawa, U)