大手レコード会社はいずれ降伏する, しかし2011年までは悪あがきする

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ペイ・フォー・プレイがオンラインラジオにやってきた。これは悪いことなのか?

先週は大手レコード会社の重役の一人とお昼を食べ、そのときは意外なほど率直な会話ができた。会話を支配したメインの話題は、音楽の未来だった。私はいつものように、なんであなた方はそんなにむちゃくちゃ無知なんですか?と尋ねた。音楽産業は今目の前で崩壊しつつあるじゃないですか。なのにあなた方が追っているのは短期的な金銭的利害だけでしょう(訴訟や、ベンチャー資金に支えられた音楽スタートアップからの、マフィアみたいなピンハネ稼業)。そのために、あなた方が払うことになる長期的な費用はものすごいものになりますよ。今の世代も、そしてたぶん次の世代も、音楽好きな若者たちは平気で音楽を盗みます。今のオンラインのストリーミングは無料のサイトが多いから、音楽をダウンロードしたり共有化することが犯罪だなんて誰も思いませんね。

彼の答え:そんなことは、すべて織り込み済みだよ。レコード会社は、録音された音楽がストリーミングやダウンロードを通じて無料になっていくことを完全に理解している(本誌もその点を容赦なく指摘した)。CDの売り上げは年率20%で下降している。いずれ間違いなく売り上げゼロになるだろう。それを埋め合わすほどの新しい売り上げは、どこを探してもないだろう。

彼らレコード会社は、これからは録音された音楽が、マーケティングの素材や契機にすぎないことも理解している。今日著作権侵害で訴えられているインターネットサービスが、今後は新曲のマーケティング媒体として重宝がられるだろう。これらのサービスは、今はその特権に金を払っている(高価なストリーミング料金や敗訴による賠償金で)が、将来はレコード会社が彼らに金を払うようになる。昔の、ラジオ局への謝礼金みたいなものが、まったく新しい形で復活するのだ。今のような、SNSがレコード会社やアーチストに株を与えるなんて話はなくなる。金の流れがその逆方向になり、そしてそれが正常な姿だ。

2013年ごろまでに(早ければ2011には)、レコード会社は、インターネットと個人対個人のファイル共有化が作り出した現実にやっと対応してビジネスモデルの再編成を行い、そしてそれに成功する。そうなるとレコード会社の収益は、録音原盤の(CD等への)コピーの売り上げに限定されない。そのころになるとすべてのアーチストが音楽に関する‘360契約’を結び、レコード会社は、アーチストのすべての収益源…ファンサイト、コンサート、さまざまな商品、広告出演、などなど…からマージンを得ることになる。

しかしそれまでは、彼によれば、顧客やパートナーを訴えたほうが金銭的には断然有利である。ベンチャーキャピタルの連中は、何億ドルもの金を、彼らの訴訟まみれのスタートアップたちを通してレコード会社に注ぎ込んでいる。この支払い形式はあとしばらく続くだろうが、ピークはもう過ぎた。Appleは有料ダウンロードから上がる巨額を今でもレコード会社に払っており、MySpace Music、Imeem, Rhapsody、Last.fmなども巨額のストリーミング料金を払っている。CDの売り上げがほんとうにダメになるまでは、現実への対応よりもそういった収益源のほうが儲かるのだ。

どんな業界でも、完全にダメになるまで古い収益源にしがみつくと、より革新的なビジネスモデルを持った新勢力に市場を奪われてしまうことが多い。しかし、イノベーターのジレンマは音楽産業には必ずしも当てはまらない。大手レコード会社は優秀なタレントを確保しており、またこれからの新人たちが、あえてその傘下に加わらないということは考えられない。

…ということは、われわれ音楽の消費者にとっては、向こう数年間はほとんど何も変わらないってことだね。でも2010年代になると、音楽の流通と消費の形に本当のルネッサンスが訪れるのだろう。そして、ひょっとすると、そのころになれば、みんながレコード会社を許しちゃうかな?

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(翻訳:hiwa)