Web 2.0はユーザ作成コンテンツという船を見捨てるのか?

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Project Greenlightというテレビ番組をおぼえている人いる? 1999年にBen AffleckとChris MooreとMatt Damon(マット・デイモン)が当時のドットコム企業として作った、LivePlanetというプロダクションが制作した番組で、Webを利用して映画という伝統的なエンタテイメントを変えようとした。それは、今のようなはやり言葉になる前のユーザ作成コンテンツ(user generated content, UGC)だった。

その番組は、脚本家志願者や監督志願者が自分の作品をWebから投稿し、LivePlanetの連中が優秀作を選んで実際に映画を作る。番組としてはおもしろい番組だったが、映画はだめなのばかり。ずっとあとのほうのシーズン(2003-)になると、いらいらしたマット・デイモンが“才能のあるやつはみんなハリウッドへ行っちゃったから、こんなことをやってても無意味かな?”と言ったのを私はおぼえている。

UCGのジレンマが、すでにこのときからある。しかも驚くなかれ、それは今もまったく変わっていない。たしかに、世に出る機会をつかめない有能な人はいるから、機会の民主化は理屈としてはうまくいくはずだ。でも問題は、金にならないことだ。脚本家や歌手や俳優などの‘志願者’たちが無料でアップロードしたものを、有料で見たいという人はいない。広告主たちは、どれだけの人が見るか分からないコンテンツに広告を出そうとしない。サイトそのものがどれだけビジター数の多い人気サイトでも、個々のコンテンツとなると話は別だ。

LivePlanetの時代には、費用がかかりすぎたために、よちよち歩きのUGC企業はこけてしまった。でも今は、オンライン人口は多いし、ブロードバンドが普及、オンライン広告も業態として確立している、費用も当時のテレビ番組制作に比べればずっと低い、…だから、UGCの収益化も可能ではないか? そもそも、検索がお金になるなんて、一昔前には誰も考えなかったじゃないか。Tim Koogleは当時、Yahooのアナリストたちの会議で口癖のようにこう言ったそうだ: 検索のトラフィックは減ってるぞ、人がいなくなるようなサイトから、どうやって金を儲けるんだい?

そして今、金融業界が経済を破壊してしまった。根っからの楽観主義者ですら、今回の破綻を招いた犯人はWeb業界ではないけど、ダメージは受けていると認めざるをえない。企業は売り上げと利益と緊縮財政を求めるから、UGCの出番はない。Web 2.0の全域にわたって見える光景は、UCGからプロフェッショナルなコンテンツへの、静かで素早い、まるで反射運動のような移行だ。

私がこのような見方を書いたのは、2月に、あの個人の表現を売り物にすることでがんばってきたSlideが、Ashton KutcherのKatalyst Mediaと契約したときだ。でも、その後の数週間で、もっとわかりやすい例が登場した。それはYouTubeだ。先週のリークでは、YouTubeは長時間コンテンツの独占的提供で、もうすぐDisneyとの契約を締結するらしい、そして今では、 Sony Picturesとの契約も噂されている。

次の二つのうちの、どちらかが起きたのだ: YouTubeは何年も前からハリウッドとの契約に取り組んできたが、最近たまたまそれが実現しはじめた。または、ユーザ作成コンテンツ革命の最大の闘士が方針を変えつつある。

もちろん、YouTubeがユーザ作成コンテンツに背を向けたと言うはずがない。Max LevchinはUGCをロスリーダーと呼んだが、それすら数か月前には”きつすぎる”言い方だった(ただし彼はUGCはユーザを集めるためには良い方法だが金にはならないと言ったのだ…ロスリーダーの定義はそういうこと)。優秀な起業家たちは、ユーザ作成コンテンツが今でも重要だということを知っている。ただ、それ自体は収益に結びつかないだけだ。UGCは多くの人がサイトに集まる最大の理由であり、たくさんのユーザがいなくてはハリウッドも魅力を感じないからサイトは有利な契約を結べない。ハリウッドがなければ、サイトの収益化もすぐにはままならない。

これは起業家にとっても企業の役員たちにとっても、おもしろいジレンマだ。Web 2.0企業は重点をUGC以外のものに移さなければならないが、それを悟られてはならない。言い換えると、企業は、収益化が焦眉の課題であればあるほど、UGCのとらえどころのないROIを見捨てられない。見捨てれば、ユーザの人気を失い、Webの次の成長株たちに道を譲ってしまうことになる。Web 1.0も、リーダーたちがユーザを無視して有料サービスや購読制を追い始めたときに、没落が始まったのだ。

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(翻訳:hiwa)