McKinseyのクラウドコンピューティングに関する報告書は一部にクラウド(雲)がかかっている

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McKinsey & Companyが昨日(米国時間4/15)発表した“Clearing the Air on Cloud Computing”〔仮訳:クラウドコンピューティングの真実〕と題する報告書は、大企業がクラウドコンピューティングを採用するのは不利であると主張している。報告書はクラウドコンピューティングを、業界の一方的な過剰売り込みであると描写し、Amazon Web Services(AWS)に代表されるようなクラウドコンピューティングは、企業が自力でやれることを過大な料金で大企業にサービスとして提供していると述べている。この研究報告はまた、クラウドコンピューティングは中小企業には適しているが、従来型のデータセンターを使っている大企業には普及しないと言っている。大企業に向いているのは仮想化であり、社内的に仮想化を実装することによって企業は減価償却や税控除の面で費用を節減できるという。この報告書によれば、仮想化によってサーバの稼働率は10%から18%に上がり、1台のマシンを複数のマシンのように利用でき、サーバを多くの仮想エンジンへと切り分け、ソフトウェアが1台のマシンの性能を最大化してスケーラビリティを向上する。それは企業の費用効率を上げるだけでなく、クラウドコンピューティングもまた、仮想化の恩恵に与ることになる。

この報告書には考えさせられる点もいくつかあるが、クラウドサーバのサービスに最近起きつつある重要なトレンドを視野に入れていない。クラウドの中では、イノベーションがめまぐるしく姿を変えている。クラウドコンピューティングはまだ進化の途上にある技術であり、大手のクラウドコンピューティングサービス、すなわちAWS、Google、Sun Microsystems、Microsoftなどからは毎日のように新しい製品が生まれている。さまざまな企業がクラウドコンピューティングの市場に参入してきて以来、AWSなどは厳しい競争に直面することになり、サービスの価格は競争の結果として下がりつつある。

とくにAmazonのクラウドコンピューティングサービスは、絶えず進化している。最初は単なる従量制のストレージサービス(S3)とコンピュータの処理能力の提供(EC2)だったものが、今では簡単なデータベース(SimpleDB)やコンテンツデリバリネットワーク(CloudFront)、コンピュータ間メッセージング(SQS)なども包含している。つい最近では、AmazonはAmazon Elastic MapReduceによるWebスケールのデータ処理エンジンを加えた(それはファイルシステムやデータベースに保存されている大量のデータに効率よくアクセスするためのフレームワークだ)。デベロッパは巨大なデータ貯蔵庫(都合良くS3に保存)を並列処理するアプリケーションを作ることによって、Amazonのクラウドコンピューティングのパワーを最大限に有効利用できる。

次世代のエンタプライズアプリケーションはすでに、クラウドと仮想化の双方を視野に入れている。そうなると、何もかも従来型のデータセンターでやろうとするのはあまり意味がなく、むしろ多様なサービスにまたがって最適化を図り、ローカルとクラウドを適材適所で使い分けていくべきである。多くの大企業が今では、データストレージの面でクラウドサービスを利用し、並行して従来型のデータセンターを仮想化のもとに利用している。

Microsoftは最近、Exchange 2010という、Microsoft Office関連の新製品を発表した。これは、(Officeを動かしデータを保存管理する)サーバを、ローカルとクラウドの両方に置いて使い分けるという方式である。MicrosoftのAzure OSはこの秋に展開される予定だが、これらOffice関連の製品をクラウド上でホストできる。そう遠くない将来においてMicrosoftは、ローカルなストレージとAzureのストレージを統合化し、企業が同じアプリケーション内で両方のユーティリティを最大に有効利用できるようにするだろう。これは決して、誇大妄想的な想像ではない。

報告書はクラウドの費用を誇大視し、クラウドの市場条件の急速な変化と、それによるイノベーションや近未来における価格の低下傾向を過小視している。

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(翻訳:hiwa)