「Apple風」を目指したオラクル、IBM化への道を歩む

次の記事

Fairspinは政治ニュースの偏向を探りあてる

Larry Ellisonはスティーブ・ジョブズのような企業を目指し続けてきた。今朝(米国時間4/20)、オラクルはサン・マイクロシステムズを$7.4B(74億ドル)で買収すると発表し、エンタープライズテクノロジー分野でフルコースのサービスを取りそろえることになった。サンの獲得により、オラクルはコンピュータチップやサーバからOS、Javaのミドルウェア、データベース、およびエンタープライズアプリケーションまでを提供できるようになったわけだ。

Ellison今回の買収について次のようにまとめている。

オラクルはアプリケーションからディスクに至るまでの統合システムを開発する唯一の企業となります。これによりすべてが最適化された状態で提供され、お客様の手を患わせることはなくなります。システムの統合コストは低下し、かつパフォーマンスや信頼性、およびセキュリティ面は向上することになるのです。

Apple同様、オラクルも顧客が被る複雑さを取り除き、ITに必要な諸々を相性などを気にしなくて済むよう、すべてをオラクルのソフトウェアに併せて一括して取り扱うというスタイルを採用することとなった。今回の買収によりEllisonは、1990年代初頭に目指したものの放棄していた、最適ソリューションを提供するという信念を実現できることとなったわけだ。ただしパーフェクトな製品を作り出そうというオラクルの方向性は、AppleというよりもむしろIBM化しているように見える。買収後はオラクルのデータベース製品やソフトウェアの販売にサンの握っている既存マーケットを使い、ITサービスを提供していくことになるのだろう。もちろんDellやHP、それにライバルとなるエンタープライズソフトウェアもサポートしては行くだろう。しかし自社で提供する製品群を中心にセールスしていくことになるはずだ。その際、より優れた製品が低価格で提供されるならオラクルと顧客の双方が利益を得ることになる。ただ他の製品を選択する自由を奪うという意味で、ブラックベリーの利用者に強引にiPhoneを売りつけるよりも難しいセールスになるかもしれない。

今回オラクルがサンを買収することになったわけだが、もしIBMが買収していたとすると、買収金額以外での違いはどのようなものになり得ただろうか。サンのパワフルなサーバ群は高価なソフトウェアを売る役に立ってきたし、これからもそうだろう。サン買収の大きな狙いのひとつはオペレーティングシステムのSolarisとJavaだ。ハードウェア販売から得られる利益は減少の一途を辿っており、ソフトウェアコンポーネントの重要性がいや増している。少なくともオラクルにとっては、サンをシリコンバレー・ファミリーの一員として留めることができてひと安心ということかもしれない。

オラクル側から見た際に、今回の買収でもっとも価値のあることはなんだろうか。Ellisonは言葉を濁しているが、それはMySQLということになるだろう。オラクルは、昨年サンが$1B(10億ドル)で買収したMySQLを保有することとなる。以来MySQLの人気は高まり、オラクルのハイエンド向けデータベース製品の牙城を脅かしている。今回の買収によりオラクルは自身の判断で製品の棲み分けを行ったり、あるいはMySQLを滅ぼしてしまうこともできる(そのような愚かなことは行うまい)。

現実的な話としては、ハイエンド向けにはSolarisの稼働するサンのサーバにオラクルのデータベースやオラクルのエンタープライズアプリケーションを載せて販売することになるのだろう。そしてローエンドにはLinuxの稼働するDellやHPサーバにMySQLを搭載するということになるだろう。

サンが構築しているクラウドコンピューティング環境がどうなるのかについても確答を得られなかった。クラウドコンピューティングに対するEllisonは否定的な見解を示している。この点でも彼が論調を変えるのかどうか、注目しておきたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)