アメリカ新聞協会の新聞救済策: 壊れた卵を元に戻す名案はあるか?

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先週、新聞社のお偉いさんたちがひそかに集まって、コンテンツの収益化と瀕死の業界の救済策について話し合った。その席でAmerican Press Institute(略称: API)が、有料コンテンツへ段階的に移行するための計画をしるした白書を発表した。おもしろい提案がいくつか載っているこの白書は、Niemanジャーナリズム研究所のサイトからダウンロードできる。Poynterには、この報告書に対する長文のレビューがある。この記事の下にも、白書を埋め込んだ。

この報告書は、有料コンテンツの実装方式として、小額支払い、購読制(有料会員制)、両者の折衷など、いくつかの形を提案している。Googleを原子爆弾にたとえて“コンテンツビジネスを爆破して何百万もの原子のようなちりぢり粉々の状態にしてしまった”と言っている。また、新聞をハンプティダンプティにたとえて、新聞社は破片をすべて集めて“元の正常な姿”を取り戻そうともがいている、と書いている。そしてもちろん、新聞企業は第二の原子爆弾、すなわちハイパーリンク(Webのいわゆる“リンク”)にも苦しめられている。白書に曰く: “ハイパーリンクとそれによるコンテンツの配布という文化は、Webの対話性の重要な要因であるが、従来のニュースのビジネスモデルに対する原子爆弾になっている”。そこで、粉々になった新聞業界を元の姿に戻すためには、この報告書によれば、コンテンツに課金し、Googleにそれを強制し、Kindleに関しては有料購読形式をAmazonとの交渉により取り付ける(Kindleは新聞対Googleの場合よりもさらに不正にコンテンツからお金を儲けているのだそうだ)。どうやらAPIの人たちは、ハンプティダンプティを実際に読んだことがないようだ。読んでいれば、元の姿に戻せないことを知ってるはずだから。

APIはコンテンツを有料化するための5つの原則を提案している:

  1. 実価値原則: 新聞はそれに対する課金を開始することによって価値を作り出す。
  2. 公正価値原則: コンテンツの価値を維持するために、新聞は著作権と、発行したコンテンツから利益を得る権利を積極的に主張する。
  3. 公正共有原則: 新聞社はテクノロジ企業と交渉して、集積され、再配布され、分断され、リンクされるコンテンツに対してより高い料金を請求する。
  4. デジタル配達原則: 新聞は“コンテンツのeコマースと、データ共有化と、そのほかの収益生成方式”を”高価格で”提供できる技術とデジタルプラットホームに投資する。
  5. 消費者中心原則: 新聞はコンテンツの焦点を広告主から読者/消費者へと方向変えする必要がある。

Googleについて述べている部分は、あわれで、おかしくて、しかも妄想的だ。“原子爆弾”であるGoogleは、新聞にとって“いかがわしい連中”でもあり、とくにCEOのEric Schmidtと製品およびユーザ経験担当副社長Marissa Mayerは最大にいかがわしい人物とされている。白書は、Googleに対してやや譲って、新聞のサイトへのトラフィックの25〜35%はGoogleからだと言い、しかしGoogleはコンテンツの作者から利益を不当に横領していると述べている。Googleの利益は新聞の利益を盗んだものだ、と言っているようだ。APIは、彼らに正当な料金を払わせるために新聞社は、GoogleやMSFT、Yahoo、AOL、Facebookなどデジタル世界の“強豪選手たち”に法的、政治的、ビジネス的、技術的圧力をかけよ、と言っている。

うそでも誤読でもない。技術で劣勢に回っている新聞に向かって、技術の巨人たちに“技術的圧力をかけよ”と言っている。それは、ハンプティダンプティ(粉々になった卵)を元の姿に戻すことよりもさらに、あり得ない話だ。

新聞社が最良の生き残り策を模索していることは理解できる。この報告書は収益化のためのありうるオプションを…それが本当に有効なら…かなりうまく素描しているようだ。しかし、こんな見方に必ずしも同意しない人は多い。しかもAmazonやGoogleに対するへっぴり腰の攻撃は、少々的外れだ。著作家のMichael Connellyインタビューで賢明にもこう言っている: “Googleが新聞を殺したのではない。人びとが新聞を殺したのだ”。


apireportmay09

(Photo credit: Flickr/Atarkus)

(Photo credit: Flickr/Pink Rocker)

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(翻訳:hiwa)