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YelpはiPhoneアプリにウラワザをこっそり隠してApp Storeの承認過程をさらに悪化させた

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編集部注記: このゲスト記事を書いたMatt Galliganは、CrashCorpのCEOだ。同社は、いわゆる“サービスとしての位置(location as a service, LaaS)”を提供する製品SimpleGeoと、アプリケーションデベロッパ向けのAugmented Reality SDK(拡張現実SDK)を手がけている(同社の創設を報じる本誌記事がここにある)。そのため当然ながらGalliganは、拡張現実(augmented reality, AR)に対し強い利害と関心を持っている。そのため彼は、昨日(米国時間8/27)のYelpのアップデートに登場したAR的要素に対して、深刻な違和感を感じている。MattのTwitter上の発言がここにある。

YelpのiPhoneアプリケーションの最近の改良をめぐって、騒ぎが起きている。それも当然で、Yelpはレストランリビューの画面にARの要素を加えたからだ。そのAR機能によってユーザは、カメラのファインダとしての画面に目的のレストランを映し出すと、まさにそのレストランに関する情報やリビューがオーバレイされたり、そのレストランに対するリビューを投稿できたりするのだ。確かに便利な機能だし、目も楽しませてくれるが、果たしてこの薔薇(ばら)には刺(とげ)があるのだろうか?

最近は拡張現実にはまっているデベロッパがとても多くて、SDKの未発表の機能を使ってそれを実装したりしている。しかしほんの数か月前に分かったことだが、今度のiPhone OS 3.1では、カメラ回りの機能が変わって、AR要素のあるアプリケーションはAppleの認可がないと作れなくなるらしい。この話は、ARのデベロッパにとっては、いきなり顔面を殴られたようなものだが、でもこれまでにすでに、かなり多くのARの実装作られているようでもある。しかしそれでも、関係者たちの理解としては、iPhone上のARは、少なくともiPhone OS 3.1がリリースされるまで待たなければならないのだ。ところが、App Storeが承認したYelpのiPhoneアプリケーションの最新のアップデートには、イースターエッグ(うらわざ)が隠されている。iPhoneを三回続けて振ると、拡張現実の画面になるのだ。

これを、ずるいと言う人もいれば、頭がいいねと言う人もいる。でも私に言わせればこれは一種の詐欺だ。Appleはアプリケーション開発に関して具体的な指針と“ルール”を設けている。中には気にくわないものもあるけど、今のところそれらは、われわれが仕事をするうえでの大前提だ。Yelpが隠したイースターエッグはデバイスを振るというものだが、それは地図や表を中心とするアプリケーションを使うときに、ふつうの人が自然にやるようなアクションではない。App Storeの審査員たちも当然そんなことをやるはずがないから、したがって、未認可のAR画面がAppleのレーダーをかいくぐってしまったのである。このように、アップデート時にAR機能をこっそり忍び込ませてしまったアプリケーションが、少なくともあと二つはある。つい先月も、AppleはARのデベロッパに対して、アプリケーションの制作はiPhone 3.1まで待てと言っていた。Yelpは、承認された後にAR機能の存在を発表した。Yelpの発表とそのほかのアプリをめぐって、ARアプリが初めて承認された!という興奮の渦がわき起こったが、そこにはなんとなく、後ろ暗い匂いもある。

私が心配するのは、Yelpが今回のやり方によって、あんまりよろしくない前例を作ったことだ。今後は、すべてのアプリケーションデベロッパが従来以上に厳しい審査過程を経験することになるだろう。デベロッパがアプリケーションをApp Storeに提出するときは、そのアプリケーションがAppleとデベロッパとのあいだの合意事項を守っていることが暗黙の前提だ。非公開APIの使用は、合意への違反だ。“イースターエッグ”によってこの合意をこけにしたYelpは、今後の審査承認過程をより厳格にすることに貢献した。それまでAppleが主にチェックしていたのは、登録商標の侵犯、Human Interface Guidelinesの遵守、そして致命的なバグぐらいだ。しかし今後彼らは、未認可の機能が使われていないか、細かくチェックすることになるだろう。それはオープン性を自称するApp Storeの汚点にはなるが、その承認過程が少なくとも通用している間は、今回のような詐欺的行為が見逃されることはなくなるだろう。

結果は単純だ: アプリケーションの承認過程がこれまでよりもさらに長くなり、バグフィクスにも時間がかかり、デベロッパとユーザの両方が、あまりおもしろくない経験をすることになる。App Storeの開明化を私も心から望むが、しかし開明にはほど遠い現状では、ルールをきちんと守って、いかがわしい小細工を弄さないことが、われわれその他大勢のデベロッパたちに迷惑をかけないことにつながるのである。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))