[jp] TechCrunch50 2009 バックステージ・レポート―大人げない男たちと才色兼備の女性たち

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09-14-09 12pm to 1pm part 2

TechCrunch50が満員の盛況で閉幕したとたん、「マイクとジェイソンが大ゲンカした! TechCrunch50は今年で終わっちゃう?」という情報がかけめぐって一時、世界のITスタートアップ業界が騒然とした。

この件についてはPaul Carrが記事を書いているが、連休中の読み物として、事件の背景にからめてTechCrunch50の成り立ちをもう少し詳しくご紹介しよう。

上のビデオは受賞式の直前にMicrosoftのDon Dogeが聴衆にxBoxとZuneを何個かプレゼントしようとしているところで、ここまでは滞りなく進行していた。ところがこの直後にArringtonがぷいと楽屋裏に消えてしまう。聴衆は一瞬あっけに取られたが、Jasonがその後を巧みに盛り上げて司会を続け、授賞式は無事終了した。

ところがその夜、JasonがLoren Feldmanのパペット・インタビュー・ビデオに出て「TechCrunch50終了宣言」をしたから騒動が大きくなった。

結論をいえば、TechCrunchのPaul Carrの記事にあるとおり、最初はMikeの、次にJasonのカンシャクの爆発だったようだ。Mikeといえば、昔からスタッフに「お前はクビだ!」と怒鳴って家が揺れるほどドアを力いっぱい閉めて出ていくものの、翌朝になるとけろりと忘れたような顔をしているという話が伝わっているし、Jasonのわんぱく坊主ぶりも相当のものだ。日本人の精神年齢に換算すると2人とも中学2年生くらいではないか?

Carrの記事にも引用されていたが、VentureBeatがこの件についてJasonにしつこくインタビューしているのは、BentureBeatの運営会社IDGがTechCrunch50のライバルのカンファレンス、DEMOの共催者だからでもある。DEMOはスタートアップ向けプレゼンテーションの舞台を長いこと独占していたのだが、TC50が始まってその座が危うくなったからTC50の将来に注目するのも当然だ。

DEMOでは1万8500ドルの参加料さえ払えばステージでプレゼンを行うことができる。TechCrunchでのプレゼンは無料だ。ただし、TC50には1千社以上の申し込みがある。書類審査、Skype面接などを経て最後の50社に残るのは容易なことではない。聴衆の立場からすると、DEMOのプレゼンは玉石混交なのに対して、TechCrunchのプレゼンはあるレベル以上だと期待できる。スタートアップ側としても、TC50には自社のサービスや製品が優れてさえいれば、オーディションを勝ち抜いて世界が注目するステージに上がれるという夢を持つことができる。世界の、特に口コミのチャンスに恵まれないシリコンバレー以外の地域のスタートアップにとってTC50はドリーム・チケットとなっている。それだけに共同主催者のケンカというニュースはショックだった。(TechCrunch50コミュニティーの性格については、今回取材にみえていた海部美知さんのブログにわかりやすい記事がアップされている)。

JasonはVentureBeatのIMでの取材に、「TC50は終わりだってボクが言ったって? なに言ってるんだ、それは指人形相手の話だよ。キミらはパペットなんか本気にするのか?」と弁解している。しかしどう見ても、上のビデオのJasonは本気だ。

VentureBeatは2人の不和の背景として「CalacanisはWeblogs Inc.をいいタイミングでAOLに売却して〔電気自動車のスポーツカー〕Teslaを2台も買えるほどの大金持になったのに、Arringtonはシリコンバレー随一の影響力を誇るブログのファウンダーであるにもかかわらず、まだこれといった金を稼いでいない」ことを上げている。それも事実だが、やはりケンカの原因ではあるまい。MikeがJasonのように3千万ドル稼いだらもっと落ち着いて人当たりがよくなるとはとうてい思えない。そもそもシリコンバレーは金で性格や生活が変わるような普通の人間が長く活躍できるところではないようだ。

Paul Carrが書いていたように、巨大カンファレンスの準備と運営というストレスの大きい仕事を、ギリシャ系とアイルランド系のハーフでブルックリン生まれ、口から先に生まれてきたようなJasonと気の短いむっつり屋のクマのようなMikeが対等のパートナーとして数か月も続けていれば、いつ爆発が起きても不思議はなかった、というのがやはり真相だろう。

下のビデオは最後のデモが終わって、審査員が受賞者を決めるまでの間会場のフォアイエで開かれたカクテル・レセプションのもよう。TC50のビデオを見ていた読者は、長身のスキンヘッドがステージにたびたび登場して飲み物を配ったりマイクを直したりしているのに気づいたかもしれない。彼はTyler CrowelyといってJason Calacanisの人力検索エンジンMahaloの事業開発・マーケティング戦略部長だ。Mahaloに加わる以前に金融関係での仕事で東京に駐在したことがあって、日本語も話せる。日本だったらステージ上の雑用などまっさきにアルバイトにまかせてしまうところだが、TechCrunch50ではトップが率先して雑用(やら口ゲンカやら)をやっているところが面白い。

最後に、大人げない男たちをよそにカンファレンスを着実に支えていた才色兼備の関係者の写真を何枚かお目にかける。

Heather Harde(ヘザー・ハーディー)、TechCrunch CEO

09-14-09 1pm to 230pm

Marissa Meyer〔マリッサ・マイヤー〕、Google副社長

09-14-09 3:00 to 4:00pm

Sarah Lacy(サラ・レイシー)、TechCrunchライター、ノンフィクション作家(左はTCの毒舌コラムニスト、Paul Carr)

09-14-09 5pm to 6pm

(写真:Chanaye J Thomas、Anna Webber Flickr

namekawa01/滑川海彦