手数料を請求するVCはニセモノ, 平気で払う起業家の多いヨーロッパは無知が支配する未開の地

次の記事

[CG]アップルがニュートンの技術者を呼び戻さなければならなかった皮肉

筆者仮名: LondonVC

このゲスト記事の筆者はロンドンのVCだが、彼が会社と個人を危険にさらすことなく率直に語れるために、本誌は匿名寄稿を認めた。なぜそうするのかというと、合衆国ではスタートアップのエコシステムの歴史が長く、高度に発展しているが、ヨーロッパのシーンはまだニキビだらけのうぶなティーンエイジャーで、失敗を犯すことも少なくない。ヨーロッパのスタートアップたちは教育が必要である。ただし、このLondonVC氏は本物のVCであり、私〔たぶんEU版編集長M. Butcher〕も実際に会ったことがある。これから数週間、彼はヨーロッパのVCとスタートアップに関する彼独自のユニークな視点を語ってくれる。本稿が、ヨーロッパのスタートアップを正しく理解する契機になることを期待する。

私がこの記事を書き始めた理由の一つは、今VCとスタートアップの世界には“不正”が氾濫しているからだ。もちろんこの世界は慈善事業ではなくあくまでもビジネスであり、投資利益の最大化を目指してこの仕事をやっているのであり、ビジネスの慣行と取引の条件は市場が決めるべきだと思っている。しかしながらそれは、起業家たちが十分な経験を積む機会があり、彼らがこれまでの標準的で妥当ななやり方を正しく知ることができる場合にかぎって言えることだ。

しかし残念ながら私がこの世界の現役として毎日目撃している多くのことは、無知な起業家たちがそうさせているから…彼らがもっと良いやり方を知らないから…起こっていることなのだ。なぜそうなのか? VCが彼らを進んで教育しようとしない。またVCのタームシートに書かれている条件について、日常的に話題にしたり文句を言ったりする(できる)起業家も少ないから、何が標準的で何がそうでないかを知る機会もあまりない。そこで私は“真実”のささやかな水源のようなものになり、それがやがて大河になって、この業界がいくらかでも均衡を取り戻すことを期待したい。まず第一に言いたいのは: 会社を作ったばかりのほやほや起業家諸君、どんな名目であれ、VCに‘料金’(ないし‘手数料’)というものを払ってはいけません。

つまり:

取引やそのための準備、関連する手続き事務や作業等に関して、VCへの謝礼や手数料のようなものを払ってはいけない。VCの業務経費はVC自身が負担すべきもの。

VCに法務費用を払ってはいけない。起業家側が当然払うべき性質のものについては、とんでもない額にならないようにあらかじめ上限を設けよ。

VCが取締役になったり、顧問やコンサルタントのような働きをした場合でも、彼が正式に起業家の会社の執行役員でないかぎりは、報酬を払ってはいけない。

売り上げ利益共に順調な企業が、正式な契約に基づいて行うもの以外は、これらの料金や報酬はすべて、白昼堂々たる強盗である。

企業に投資してその金を横取りするのはナンセンス(何かに似てる?)であるばかりか、ほかの投資家から見てけがらわしいものであり、彼らはあなたの会社への投資意欲を失うであろう。主幹投資家がきたないことをやっていたら、協同投資を考えていたVCたちは去っていく。

とにかく、まだ利益も出ていない初期段階の会社が料金を払うなんて、馬鹿げている。あなたが選んだVCは、銀行やそのほかの無味乾燥な資金源にない価値を持っているはずだ。だからこそ、それを選んだのだ。理不尽な“料金”を請求するような投資家は投資家としての価値を持っていない。

Ask The VCにこの優れたQ&A記事(2008年7月)がある(Ask The VCは起業家の必読サイトだが、イギリス〜ヨーロッパではまだ読者が少ないようだ)。合衆国では、起業家がVCに料金〜手数料などを払うことはキモチワルイ行為だという認識が徹底している。ロンドンではなぜいまだに、それがあちこちのタームシートに堂々と載っているのか? ともすれば私らまで、そんないかがわしいVCに見られてしまいそうだから、やめてくれ!

この薄汚い慣行が絶えない理由の一つは、小さなVCがこのところ増えているためだろう。しかしこの半年から1年ぐらいは、投資のパフォーマンスからのリターン以外の手数料などで肥え太るVCたちと、巨額な手数料を求めて投資額を際限なくつり上げるVCによって、VC業界は破綻の瀬戸際にあるという議論がわき起こっている。いくつかそういう議論の例を挙げると、これこれこれこれ、そしてこれだ。便利なリストもある!。

もちろんこれは、分かりやすくするための単純化した言い方だ。実際には、パフォーマンスの伴わないところに新しい大きな投資を持ち込むVCはありえない。しかしいずれにせよ、そんなえさに食いつく馬がいるから、小さなファンドが続々と登場しているのだ。ファンドが増えること自体は良いことだが、それら小さなファンドの一部が、管理費の少なさ(VCのようなプライベートファンドではゼロ)を補うために、彼らのポートフォリオ企業に小銭をせびるのだ。

しかし、効率の悪い方式(低パフォーマンスな投資事業)を別の効率の悪い方式(手数料徴収)に変えるのだけはやめよう。

[原文へ]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))