Android、鉄壁の防御に隙あり

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2012年には、Android OS搭載の携帯電話が7500万台販売されると、調査会社のGartnerが言っている。これが本当なら、いずれはSymbianに続く第2のモバイルOSになるだろう。

これは理解できる。なぜならこのOSは(Windows Mobileと違って)無料だし、AppleとRIM(閉鎖的な連中)以外の電話会社と端末メーカーにとって、誰かが本気で使いたくなるスマートホンを作るチャンスを与えてくれるものだからだ。私がAndroidに乗り換えたのは、Google Voiceが本格サポートされていることが大きな理由だった。それもAndroidがまだ生まれたてにも関わらず、である。現在大方のユーザーが使っているVersion 1.5は、ユーザーインターフェースが不完全な上、今のハードウェアではやや動作がもたつく。

だが待ってほしい。問題が一つだけある。オープンソースOSであるAndroidは、オープンソースのモバイルアプリケーション・プラットホームであるJ2MEの運命を逃がれなくてはならないのだ。 オープンソースはすばらしい。だだしそれは、誰もが独自の世界に走り始めなければの話だ。J2MEではそれが起きたために、それに懲りているAndorid開発者の中には、Androidも同じ轍を踏む恐れがあると言っている連中もいる。

新しいAndoidデバイスが、次から次へと発表され出荷される。HTCも、Samsungも、Dellも、Verizonも、他にも各社が発売準備中だ。どの機種にも、他とは異なるハードウェア、異なるソフトウェアが使われる。

トップクラスのAndroid開発者何人かと話したところ、全員例外なく、今のAndroidに不満を持っていた。iPhoneでは、一度ビルドしてそのコードを保守すればよい。Androidでは、v1.5用に1回ビルドしてもインストール数はiPhoneよりずっと少ない。

そこへ来て、新しい端末が雪崩のようにやってきて、v1.6が動いているものもあれば、中には大胆にもAndroid v2.0を走らせるところもある。あらゆるメーカーやキャリアーが、2009年の年末商戦に向けて電話機を発売しようと先を争い、注目のアプリケーションが自社デバイスで確実に動くよう願っている。そして問題なのは、大抵の場合アプリにはバグやもっと深刻な問題があることだ。

下方、上方両方の互換問題もあることが、問題がさらに悪化させているとも言われている。

複数のデベロッパーから聞いたところによると、さまざまな機種上で既存のアプリケーションが動作するようデバッグする、というだけの問題では済まないらしい。異なるAndroid機種ごとに、別々のコードを保守することになるかもしれないという。例えば、一部のデバイスは重要なライブラリーが入っていないらしく、大がかりなコードの手直しが必要になった。 いろいろ考え合わせると、もはやこれはミステリーの世界だ。

Windows開発者が、PCメーカーごとにアプリケーションの別バージョンをビルドしなければならない、という状態を想像してほしい。あるいは、同じメーカーでもモデルが変わると別バージョンになるとしたら。一部のAndoridデベロッパーが直面していると言っている問題とは、そういうことだ。

端末メーカーやキャリアーの中には、Androidのマーケットプレースから完全撤退して、自社の端末にはカスタムアプリケーションしか載せないというところもある。こうしたデバイスは、Androidロボットのロゴ(これはクリエイティブ・コモンズ)を使用することはできるが、Androidのテキストロゴは、互換テストに合格する必要があるため使えない。

開発者たちは苛立っている。そしてユーザーは、自分たちの「Android」携帯で、お気に入りのサードパーティーアプリケーションをダウンロードできなければ困惑することになる。

Steve BallmerがオープンなOSは困難であると言ったのは、本気だったのだ。そしてGoogle、現在2種類の異なるオペレーティングシステム(AndroidとChrome OD)を開発してるこの会社には、それをやり遂げるための30年の経験がない。

ちょっと待った。冷静に考えてみよう

第一に、バージョン間の非互換問題は誇張されすぎではないか。報告されている問題は、Android開発者コンテストに限った話であり、あの時はv1.5で作ったアプリがv1.6上でレビューされていた。主要なアプリ開発者からは、上方互換問題も下方互換問題も聞いたことはない。それに私は、端末を1.5から1.6にアップグレードしたが、どのアプリも問題なく動いている。

Androidのパートナーたちがバラバラの方向に行くという話も大げさに語られすぎかもしれない。繰り返しになるが、キャリアーたちは年末までに端末を市場に出そうと必死で、自社製品で間違いなくアプリが動くよう開発者たちにプレッシャーをかけている。開発者に渡されるテスト機は、最終版のOSが動いていないのが普通であり、出荷時にはその問題は起きないかもれない。

本当に試されるのは、あとひと月ほどして、v1.6搭載のAndroid端末が何種類も販売開始されてからだ。デベロッパーがひどく苦労することなく、どのデバイスでもバグの無いアプリが動作するようなら、Androidの未来は明るい。しかし、さまざまなデバイスのために、デベロッパーがアプリを複数バージョン開発、保守することを余儀なくされるようなら、Androidにとってはピンチだ。Android本来の趣旨は、アプリ開発者が1回ビルドしただけで、ユーザーはどのAndroid機にもインストールできることだ。今のところ、果たしてそうなるのかどうかは定かでない。

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(翻訳:Nob Takahashi)