viral
guest
book

「バイラル」は捨てよう:新しい名前を付ける時がきた

次の記事

個人少額融資のKiva、創立4年で1億ドルを突破

【本稿は、Viral Loopの著者であるAdam L. Penenbergによるゲスト寄稿である。】

私の最新刊が書店に並ぶ4ヵ月前、出版社がタイトルを変更したいと言ってきた。「Viral Loop」(バイラル・ループ)は人目を引きそうだし、この本の内容を表しているので、本の題名とはそうあるべきだろうと思ったが、出版社のHyperionは、読者の中には「viral」(ウィルス性の)という言葉を嫌がる人もいるのではないかと心配していた。「新型インフルエンザ」に関する本だと思って尻込みするというのだろうか。

この本は、商品や企業にバイラル性を持たせることで、何百万ドル、時には何十億ドルというビジネスをゼロから立ち上げた起業家たちについて書いたものだ。Facebook、YouTube、eBay、PayPal、Flickrをはじめとする現代を象徴する企業の多くや、急成長のTwitterなどは、利用者の間に「バイラル・ループ」 ― 即ちユーザーが伝播したくなる強い動機 ― を起こさせてきた典型例である。ユーザー数が2倍、3倍と増えたある時点で、企業は「バイラル・ループ」と呼ばれる状態に突入し、会社が何も宣伝しなくても商品の噂が広まっていく。その秘訣は、どの会社も人々が本当に欲しがっているものを作ったことにあり、だからこそユーザーは喜んでその商品をクチコミで広げる。その結果、かつて類をみない速さと規模で、わずかな元手から富を築き上げることができたのである。

TechCrunch読者は、新型インフルが理由で本のタイトルを変えるなどと聞くと、バカげていると思うかもしれないが、出版社にとってみなさんは、(失礼ながら)一般読者の代表でも何でもない。難しいのは、内情に通じた人たちだけでなく、大型書店で平積み棚をながめては、手に取ってパラパラとめくってレジに持っていくような一般人(=非ギーク)にもアピールするタイトルを付けることなのである。(インサーダー情報:編集者が本の最初の50ページにあれほど力を入れる理由がこれだ)。

Hyperionは、「Share」という題名を提示してきた。なぜなら、ウェブベースのバイラル的普及を突きつめれば、リンク、ミーム、見たもの、アイディアなどを相互に共有しあうことだからだという。この本が、Wiredの編集主幹Chris Andersonの著書『Free』と同じシリーズで、彼の最初の著作である『The Long Tail』がベストセラーだったことから、Hyperionは「Share」といった名前の方が成功しやすいと信じていた。私は拒否した。それはこれまで何万ドルと費してきたソーシャルマーケティングの宣伝活動がバイラル・ループを中心にしたものだったからだ。さらに重要なのは、『バイラル・ループ』がこの本の内容のすべて要約するものだと確信しているからだ(私がこの用語を発明したわけではない。Fast Company誌の特集記事のインタビューの時に、Marc Andreessenから聞いたのが最初だ)。

かくして『バイラル・ループ』は出版され、私は完全にこの本の売り込みモードに入り、ソーシャルメディアの何たるかも全く知らないラジオやテレビのインタビューにも応じているのだが、Hyperionが正しかったのかもしれないと思い始めている。ABC News Nowでは、キャスターがDiggのことを「Dij」と呼び、どうやら全く聞いたことがない風であった。70過ぎのラジオホストは、私の本を紹介した後、インフルエンザに関するジョークを連発していた。(70歳氏:同時にいくつもの仕事をすることを何と言いましたっけ? 私:マルチタスクのことですか? 氏:え、マルチキャスク?)私は、バイラル係数やバイラルビジネスプランや成功談や、それを作った起業家たちについて話したかったのだが、主要メディアのインタビュアーは、Twitterにサインアップするやり方を知りたがっていた。ソーシャルメディアに関する情報格差があることは明らかだ。知る人たちに逃げられることなく、知らない人たちに到達するにはどうすればよいのだろうか。

恐らく問題は「バイラル」(ウィルス性の)という用語が生物学から来たものであり、それをウェブでのクチコミ現象である、アイディアの「クチコミ流布」の意味に拡大したところにあると思う。私はこの用語を捨て、もっと良い言葉に置き換えることを提唱したい。できることなら「ブログ」という用語も変えたい。少々テキーラをあおり過ぎてからナチョスを一皿たいらげた後に発する音みたいだから。しかし、物事は一つずつやって行こう。

以上を踏まえて、私は「バイラルという用語を変えよう」コンテストを開催する。「viral」よりも良い用語を思いついた人は、a)この記事のコメント欄に書いた上で、b)viralloopbook@gmail.comにメールしてほしい。

優勝者には、本書の次版の序文で栄誉を讃える他、賞金$250を差し上げる。次点は$100、3等は$50。

応募は必ずコメント欄に書くこと、そうすれば他の読者も一枚加わることができる。メールは、勝者と連絡をとって支払いをするためだ。勝者はviralloop.comで来週発表する。

詳しくはAmazon.comの『Viral Loop』を参照。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)