詐欺まがいが蔓延―ソーシャル・ゲームの邪悪のエコシステムは放っておけない

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先週、私は大手ソーシャル・ゲーム・サイトがFarmvilleやMobstersのような人気ゲームを通じてFacebookやMySpaceから数億ドルもの収入を得ていることを紹介した。一般メディアはソーシャル・ゲームの成功を盛大にはやし立てているが、いいかげんその陰で何が実際に行われているか気づいてもよい頃だ。これらのソーシャル・ゲームのスタートアップはまともなビジネスとして成功しているとはとうてい言えない。この成功は徹頭徹尾、倫理的に問題のある手段の上に成り立っているのだ。

まず、こうしたゲームはプレイヤーのレベルを上げたり、その他ゲームを快適に楽しめるようにする手段を提供するゲーム内(バーチャル)通貨を売りつける。そこまではよい。しかしそうしたバーチャル通貨を現実の通貨で購入しようとしないプレイヤーに対しては、バーチャル通貨を獲得できると称するあの手この手の「お知らせ」が届く。この手の「お知らせ」は基本的にユーザーをゲーム外の何らかのサイトに誘導することによってリード(見込み顧客)紹介手数料を取ろうとするものだ。ほとんどの「お知らせ」はユーザーにとって利益にならない内容だ。その「お知らせ」によってなにがしかのバーチャル通貨が獲得できると称するわけだが、実際には、直接、キャッシュで購入したのよりもはるかに大きな支出を強いるような内容なのだ。(もちろんすべての「お知らせ」がインチキなわけではない。しかしそれらはごく一部の例外に過ぎない)。またこのために正直な広告主が大きな被害を受けている。以下、詳しく説明しよう。

私がなぜこれを「エコシステム」と呼ぶかといえば、放置しておけばそれ自身でどんどん悪質化するサイクルが生じているからだ。ユーザーは紹介料目当てのインチキに誘い込まれる。ゲーム・サイトは金を儲ける。儲けた金はFacebookとMySpaceでのゲームの広告に使われ、ますます多くのユーザーを集める。

これが看過できない問題を生むのだ。こうした悪質な方法でどんどん金を儲けたゲーム・サイト(現在はZyngaだ)は大量に広告を掲載できる。紹介料収入のインチキに手を染めないサイト(Slideその他)はどんどん後ろに置いていかれる。ゲーム・サイトはインチキに参加するか、競争に負けるかという二者択一に直面させられている。PlaydomやPlayfishは競争上の圧力と良心との板挟みにあって方針がくるくると変わっている。

インチキしたもの勝ち

一方で狡猾なユーザーも出てくる。役立たずな携帯サービスの契約に誘いこまれるユーザーもいる一方で、巧みにごまかしをやるユーザーもいる。そこで大手レンタルのNetflix、Blockbusterのような正直な広告主が被害を受ける。ユーザーは無料トライアルに登録してバーチャル通貨を受け取る。すぐに解約して、また登録を繰り返す。この際にクレジットカード情報を入力しなければならず、Netflixは無料トライアルは1ユーザーについて1回限り応募できるとしている。ところが、ゲーム・サイトは複雑な提携ネットワークを通じてユーザーを「ローンダリング」して、何度でも無料トライアルに登録させてしまう。Netflixにとってはリードの質が落ち、全体的に広告の価値が下がることになる。ゲーム・サイトはなりふりかまわず、ありとあらゆる手段でキャッシュをかき集めようとする。この競争は典型的な「悪貨は良貨を駆逐する」もので、よりあくどい計略を思いついたサイトが勝ち、正直ものが馬鹿を見る。

放っておけば、ソーシャル・ゲームというシステム全体がいずれは破局に落ち込むことは明らかだ。プラットフォーム提供者(FacebookとMySpace)は秩序を維持する責任があるはずだし、事実、不正行為を禁止する規則が作ってある。しかしゲームサイトはそんな規則はいつも平気で無視する。ところがFacebookもMySpaceも規則を厳しく守らせる努力をしていない。

FacebookとMySpaceが「見て見ぬふり」を続ける理由は一つしか考えられない。両社ともゲーム・サイトから巨額の広告収入を得ているから、インチキを厳しく摘発して自分たちの収入を落としたくないのだ。

Zyngaは広告料金としてFacebookにおそらく年間$50M(5千万ドル)くらい支払っているはずだ。Facebookの広告収入の相当の部分がこうした不正なリード収入(顧客紹介料)によっている。Facebookが計画よりも早く黒字化を達成したのは不思議ではない。この種の広告収入の爆発的急成長に助けられているのだ。金はZynga、Playfish、Playdom、その他のゲーム・サイトから正規の広告料金として支払われたものだから、一見、正当な収入に見える。この金の相当部分は、ユーザーを欺いて不当に巻き上げたものなのだ。

最近、Facebookはスパムをまき散らすアプリケーションを削除する措置を取ったが、これはある意味で自体を一層悪化させた。ゲーム・サイトはクチコミを装ったスパムの道を閉ざされたため、ユーザー獲得について以前にも増して広告に頼らざるをえなくなった。ゲーム・サイトはその資金の調達を迫られる。つまり、一層あくどい手段を用いることになる。

こうしたことはもう放置できない段階にきている。FacebookとMySpaceはゲーム・サイトが悪の誘惑に駆られないよう、こうした不正を禁止する規則を作り、きちんと強制しなければならない。FacebookとMySpaceがユーザーを守れないなら、政府が介入せざるを得なくなるだろう。

ゲーム・サイトのユーザー宛の「お知らせ」がインチキかどうかは簡単に見分けることができる。まず、1) その契約の条件が明確に記述されているか? 2)もしバーチャル(ゲーム内)通貨というオマケがついていなかったとしたら、通常のユーザーはその契約を受け入れるか? 現在ゲーム・サイトのユーザーのもとに送りつけられる「お知らせ」のほとんどについて、答えはいずれも明白な「ノー」であるはずだ。

インチキな「お知らせ」の例

典型的な例はこうだ。ユーザーは少額のバーチャル通貨をエサにIQテストに誘い込まれる。簡単な質問に4つほど答えると(ユーザーの回答が何であろうと関係ない)、結果はユーザーの携帯へメールするので携帯の番号とPINコードを入力しろと言われる。その結果ユーザーは、知ら
いうちに、月額$9.99の携帯サービスを申し込んでしまったことになる。不当に携帯サービスを契約させるインチキの背後にいるのは、たいていの場合Tatto Mediaだ。ゲームサイトとの間を取り持つチャンネルはOfferpal、SuperRewardsなどのサービスだ。

下のスクリーンショットをよく見てもらいたい。勧誘の文言には、以後永久に月$10を払わねばならなくなるということなどどこにも書いてない。

別のインチキ。たとえばVideo Professorだ。ある種の通信教育サービスを自称しており、トライアルに申し込むとこのサービスから無料でCDが1枚送られてくると言う。ただしユーザーは$10の送料を負担しなければならない。ところが申し込みページとは別のページにある詳細条件には、これは多数のCDをセットにした$189.95の通信教育コースへの申し込みだと書いてる。もし期限内にCDセットを送り返さなければ、申し込みが確定したことになるという仕掛けだ。たいていのユーザーは送られてきたCDのセットを返送しない。$189.95も別途請求されるとは思っていないからだ。ここでもOfferpalやSuperRewardsがこうしてかき集められた金をゲーム・サイトに還流させている。Video Professorのインチキを参照。

もちろん、そもそもの「お知らせ」にもこうした余分な請求があることは一切書かれていない。

知らぬ存ぜぬ業界

昨日(米国時間10/31)、私はサンフランシスコで開かれたVirtual Goods Summitカンファレンスに行った。Q&AセッションでOfferpalのCEO、Anu Shuklaに、同社のビジネス手法について私がなぜ「悪のエコシステム」と思うかを説明して、その倫理性について尋ねた。 Shuklaは延々長広舌をふるって私を攻撃し、私の指摘した問題については「ウソ、大ウソ、ウソもいいとこ」と言った(文字通りそう言った)。しかし、質問自体には決して答えようとしなかった。下にAlexa Leeが提供してくれたビデオがある。

Offerpalはこれについてブログ記事を掲載しているが、やはり指摘への反論はない。あるのは一度も強制されたことのない規則を盾にしての言い逃れの詭弁だけだ。

悲しいことに、カンファレンスの会場にいたゲーム・デベロッパーのほとんどはOfferpalの味方をした。こうしたゲーム・デベロッパーたちはインチキ紹介料による手っ取り早い金儲けに目がくらんで、ソーシャル・ゲーム産業に与える深刻な影響を無視しようとしている。

このカンファレンスの前のセッションで、IGGの共同ファウンダー、Kevin Xuがゲーム・デベロッパーに対して「無料版でドアを広く開け、いったんユーザーが引っ掛かったらとことん金を絞り尽くせ」と勧めていた。何事も必ずやり過ぎてしまうのが人間の性というものらしい。FacebookとMySpaceはそろそろこうメンバーを守るためにこういった不正を根絶する有効な対策を考えねばなるまい。.

P.S. ここまで書いてきて面白いことに気付いた。Offerpalは、カンファレンスの壇上でも上記ブログ記事でも、ユーザーを知らぬ間に携帯サービスに加入させる仕組みの件で激しく自己弁護した。にもかかわらず、問題の「お知らせ」を私がチェックした限り、すべてのゲームからこっそり取り下げていた。インチキだという私の指摘が「大ウソ」なら取り下げる必要などないはずだが。私が文句をつけたことが少しは積極的な結果を生んだのであればうれしい。

アップデート:ソーシャル・メディアの不正に対して2社がノーと言った

アップデート2: FacebookとMySpaceでがんがんインチキする方法―その道のプロの告白

アップデート3: 邪悪のエコシステム:Zynga、収入の3分の1は紹介料その他の「お知らせ」関係と発表

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01