[jp] TechCrunch Japan "東京Camp"参加レポート

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リアルタイムクランチアップのプログラム決定–オーディエンスからの売り込みデモもあり

tokyocamp2009_1[日本語版編集部注] この記事はアジャイルメディア・ネットワーク社との共同企画で同パートナーの小林啓倫氏(Twitterアカウント @akihito)による寄稿。東京Camp2009(運営:DESIGN IT!,LLC)ではスタートアップの活躍と同時にそれを伝えるアジアのプロ・ブロガーにも注目している。今回の取り組みに快諾頂いた小林氏のブログは「POLAR BEAR BLOG」。

先週の金曜日(11月6日)、TechCrunchJapan が主催するデモピット・イベント”東京Camp“が開催されました。日本経済新聞社の東京本社を会場に、29社/団体+飛び入り2社という規模で行われたこのイベント。実際に会場を訪れてみた感想を、デモのご紹介と合わせて書いてみたいと思います。

会場がプレス向けに開放されたのは午後4時。一般公開は午後5時30分というスケジュールだったのですが、どちらもオープン直後から大勢の関係者・来場客が会場に。ゆっくりとデモを回っていたら、最後の方は人混みをかき分けて順番待ちしないといけないような状態でした。デモする側の人々も大わらわで、中には喋りすぎで声が枯れてしまっている方も。

会場では各参加団体がデモピットを構え、それぞれ訪問者に対し説明を行う他、自社紹介タイムとして1社1分間のプレゼンテーションタイムも設けられました(1分間というのは TechCrunch50 のエレベーター・ピッチを摸して設定されたとのこと)。残念ながらあまりの人の多さで、プレゼンが一部聞き取りづらい場面もあったのですが、そこは「我こそは!」という意気込みでデモに乗り込んできた人々。短い時間の中でしっかりとアピールし、自社/団体の誇るサービスやテクノロジーを印象付けていました。

ということで、どのブースにも注目が集まっていたのですが、個人的に印象に残ったデモをいくつかご紹介しましょう。

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Joker Racer

今年8月に行われた、アジャイルメディア・ネットワーク主催のイベント「WISH2009」でも大賞を受賞していた Joker Racer。ラジコンをインターネットから操作し、ラジコンに搭載されたカメラの映像をリアルタイムでPC上から閲覧できるという、楽しさとインパクトを兼ね備えたサービスです(実は10月に JokerWorks, LLC 社が設立され、サービス運営をサイドフィード株式会社から引き継いでいます)。各所で話題になっているサービスだけあって、デモの周りには黒山の人だかりが。もちろんラジコンカーも持ち込まれ、その場で実際の走行が披露されていました。

さらに会場では「Joker Racer R/Cサーバー」の発表が行われていました。これは超小型・省電力の Linux サーバーで、ラジコンに搭載して Web カメラを接続するだけで、Joker Racer 上のラジコンカーとしてインターネットから操作できるようになるという代物。これを通じて、ますます Joker Racer の世界が広がりを見せてくれそうです。

fabric video

電気通信大学の笠井研究室が開発した、新しい映像配信技術が「fabric video (ファブリック・ビデオ)」。まだ具体的なサービスとして開発されたものではないのですが、Joker Racer 同様、ぱっと見て凄さが伝わりやすい技術ということで、こちらもデモを見るまでに一苦労するほどの人だかりができていました。

tokyocamp2009_2

fabric video を一言で表せば「ビデオ版グーグルマップ」といったところでしょうか。写真ではわかりにくいかもしれませんが、無数の映像が1つの画面に収められていて、さながらテレビ局の編集室のような雰囲気(個々の映像は静止画ではなく、ちゃんと動画で表示されています)。で、好みの部分を自由に拡大・縮小して映像を楽しむことができるようになっています。操作感は非常にスムーズで、複数の映像を組み合わせているとはとても思えないほど。「まったく新しい映像体験」という売り文句も、決して言い過ぎではありません。

現在は単に映像を組み合わせているだけですが、将来的には、例えば大勢の視聴者がいる映像を大きく表示させるといった工夫も盛り込む予定とのこと。そうなれば、さらに注目の映像を探しやすくなるでしょうね。2010年1月にこの技術を使ったウェブサイトを公開し、一般利用者からのフィードバックを得た上で、2010年度中に本格サービスを開始するとのことですから、来年を楽しみに待っていて下さい。

食べレコ

iPhone を電子ブックリーダーとして位置づける動きが広がっています。最近リリースされたアプリのうち5つに1つが書籍関連だったなどという話もあり、「iPhone×書籍」という組み合わせに対する注目度は今後も高まっていくでしょう。その意味で、個人的に気になったのがこの「食べレコ」でした。

「食べレコ」はグルメ情報を閲覧できる iPhone アプリなのですが、コンテンツの源は「雑誌」。グルメ雑誌・書籍が紙媒体のために作成したコンテンツを、運営会社であるハンズエイドが独自のCMSシステムを使って iPhone 用にコンバージョン、小さな画面でも見やすいように編集されたコンテンツを配信するという仕組みです。例えば:

tokyocamp2009_3

こんな雑誌記事が、簡単な作業でご覧のような形に:

tokyocamp2009_4

また作成したコンテンツの販売は1冊単位ではなく、特集単位や地域単位など、より小さな区切りでも可能とのこと。ある雑誌でラーメン特集が組まれていた場合、「吉祥寺にあるお店だけ」という条件でコンテンツを購入することもできるわけですね。単なる「二次利用」というイメージに留まらない、雑誌コンテンツの新しい販路を開くものになるのではないでしょうか。

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本来ならば31団体すべてご紹介して、出展された技術/サービスのバラエティの豊かさをお伝えしたいところなのですが。エンターテイメントから開発されたばかりの要素技術、そしてすぐ手に取れるサービスと、上記の3つだけでもその一端がお伝えできるのではないでしょうか。

また印象的だったのは、会場のあちこちで提携や導入に向けた話が行われていたこと。かく言う自分も、「これは自分の仕事で関連しそう」と感じたデモについては、レポートそっちのけでお話させていただきました。会場の人口密度同様、会話の方でも密度の濃いコミュニケーションが交わされていたことと思います。そこからどんな展開が生まれていくのか、「東京Camp」の結果が出るのは実はこれからなのかもしれませんね。

[小林啓倫]