ネット版Wired誌が来年からAppleのタブレット機に対応–まだ現物も仕様もないのにどうやったの?

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うーん、Appleはいよいよすごいね。まだ存在していない製品に、有名大企業がひざまずいて祈りを捧げるんだから。雑誌出版大手のCondé Nastが、Wired2010年半ばまでにAppleのタブレット機対応にすると発表した。ただし、同社も認めているが、Appleからそのための技術的な話は何も聞いていない。どうやら、ヒマラヤの雪男(推定身長10フィート)が入社するかもしれないから、ドアを高くしておこう、という話に似ているね。

もちろん、製品をタブレット機からも問題なくアクセスできるようにしておきたい、という話におかしな点はなにもない。カラムを細くしてもレイアウトが崩れないようにする、ロールオーバメニューに重要なリンクを入れない、などなどのことだ。でもAppleのタブレット機が本当に人びとの期待に応えるおもしろい製品だったら、それをブラウザでWiredを読むために使う人はあまりいないだろう。Condé Nastをドンキホーテと呼ぶのは、手ぬるい批判かもしれない。ドンキホーテの目の前には巨大な風車が実際にあったが、Condé Nastの前には風車が存在しないのだから。

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しかし存在しないとはいっても、永久に存在しないわけではないから、Condé Nastの努力を笑うのは気の毒だ。しかし彼らが今やってることが、Appleの新しいプラットホームにとって適切なのか、それがあやしい。OSはiPhone OSだと言われている。サイズはこれこれ、プロセッサはしかじか、という噂もある。でも、コンテンツの提供者にとって唯一重要なのは、それがAppleの製品であることだ。Appleは製品の細部を完全に自分でコントロールし、コンテンツもアプリケーションもそれに合わせることを要求する。だからサードパーティは、Apple側の仕様と要求が確定するのを待つしかない。ヤマカンのイケイケ(行け行け)主義は、根本的に間違いだ。

ただし実は、ターゲットはAppleだけではない。HPはすでにタブレット機のスペックを発表していて、Condé Nastはそれに対応しようとしている。また、雑誌のようなメディアのための、Adobe AIRを使ったプラットホームも近く出るようだ。本物の雑誌のような画面に埋め込みビデオ(と広告)があるという形が目標だが、噂ではThe New York TimesとAppleが共同でまさにそれに取り組んでいるという。たぶんNYTのアドバイスを入れながら独自のフレームワークを作り、Appleはもちろんそれをコンテンツのクリエイターたちに強制するだろう。それは“モルドールで何か動きがあるが、よくわからん”(指輪物語)という状況で、何をどう準備しても十分とは言えない(そのタブレット機が噂どおりなら)。元気なホビットを見つけたいが、このAppleとCondéの物語の中ではフロドは一体誰だろう? 自戒: お前はファンタジー小説の比喩を使いすぎる!

Condéの計画には、もう一つおかしなものがある。Appleとは関係ないが、Appleと無縁でもない:

今後は各号を有料とし、雑誌業界の標準化団体であるAudit Bureau of Circulationsに、オンラインの売上がニューススタンドでの売上と等価であると認めさせたい。それによりCondéは、印刷広告と同額の広告料金を広告主たちに請求できるようになる。

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しかしWiredのデジタルオンラインバージョンには、Adobe、HP、Amazon、AppleなどなどのDRMもからんでいるわけだから、たとえ4ドル(雑誌の定価)程度の課金でもうまくいかないだろう。それに、仮に読者が有料を受け入れたとしても、広告主に印刷物並の広告料を納得してもらえるのか? たぶん、だめだね。前にも言ったように、広告は変わりつつあるのだから、変化に適応するか、それとも死ぬか、二つに一つの選択しかない。

ともかく2年後には、われわれがCondé Nastのオンライン雑誌をお金を払って読んでいるか、それともCondé Nastが廃業しているかのどちらかだ。しかしその年間購読料は、ピカピカの雑誌(印刷物)12冊のお値段よりずっと安くなるはずだ。まあ、99セントぐらいが妥当な線では。

しかしこれはそもそも、こんな長い記事を書けるネタではなかったね。Condé Nastは意図的に勇み足をやろうとしている。それはリッパかもしれない。結局この問題は、Appleのタブレット機が、革命的なデバイスか、それとも単にかっこいいだけのデバイスかで結果が変わってくる。かっこいい(sexyな)デバイスは、ほかがやってることを上手にやる。つまりiPod。革命的なデバイスは、まったく新しいことをやる。つまりiPhone。個人的にはどっちでもいいが、とにかくiFrameだけは使わないでほしいね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))