Googleはプラグイン離れの正道, Microsoftはそれに逆行する邪道

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Microsoftは今日のBing秋のリリース発表会で、この検索エンジンのすてきなアップデートをいくつか見せてくれた。たとえば、待望のTwitterやFacebookのデータの取り入れが、これからはできる。しかし今日のデモの中で突出的にギラギラと気になったのは、Bing Mapsの最新ベータバージョンだ。とてもよくできているように見えたが、異様に気になった原因は、それを使うためにSilverlightが必要なことだ。

偶然にもこのニュースの直前には、Gearsを今後はサポートしないというGoogleの発表があった(Mac用Chromeのベータに関する本誌の記事にまずその情報が載った)。それは、HTML5を優先するためだ*。GearsはGoogleが作ったソフトウェアで、それがあればGoogleの各種アプリケーションをWebに接続しなくても使える。でもそれは、プラグインでもある(Google製のChromeのPC用を除くすべてのブラウザに対応)。この点が多くのユーザにとって導入の障害になる(プラグインのダウンロード、インストール、etc.)。そして、多くのユーザが使っていないとなると、Gearsから使うアプリケーションの開発も足を引っ張られることになる。〔*: HTML5にはオフライン実行機能がある。だから、プラグインに依存せずブラウザ本体の機能としてできる。この記事の議論の対象である動画再生も、同様である。訳者の私見としては、静止画像は<IMG>タグで標準化されているのに、動画や音声ができないこと自体、おかしいし、正当な理由もないし、ナンセンスだ!〕

最初”Google Gears”と呼ばれたGearsは今ではオープンソースになり、Googleの私権を離れているが、いずれにしてもGoogleのプラグイン離れは良いことだ。それとは対照的に、Microsoftのやり方は、なお一層われわれにフラストレーションを与える。

Silverlightに関してMicrosoftは、今後もこのWebアプリケーションのためのフレームワークを使い続けると明言しているわけだ。今後ますます、Silverlightが必要なアプリケーションが増えるということ。問題は、それがMicrosoftの私権に属するシステムであるだけでなく、プラグインを必要とすることだ。もちろんそのプラグインは、ライバルのGoogleやAppleのものも含め、多くのブラウザで利用できるようになっている。でも、あくまでもプラグインだから、どのブラウザを使っても、Web閲覧の普遍性/統一性が失われる。

これはご存じのように、Microsoftの長年の宿痾だ。業界全体がほとんど一致してWebの標準規格への完全準拠を目指しているところへ、Microsoftは長年、Internet Explorerという…悪い意味で独自の…ブラウザで横やりを入れてきた。強大なMicrosoftはそういうことをしても平気だったし、それはMicrosoftの企業利益のためだという説すらある。独自性が強いほど、支配性も強くなる。標準規格を守ったブラウザであるMozillaのFirefoxがMicrosoft/IEの圧倒的だったシェアをかなり食い始めてからやっと、Microsoftも標準というものをやや意識するようになった。

でも彼らの標準規格への準拠は、未だに完全ではない。このIE9に関するビデオを見てもお分かりのように、Acid3によるブラウザの試験の成績はかなりひどい。Safari、Opera、Chromeはいずれも、満点の100/100だ。Firefoxは96/100。IEは? IE8(今のバージョン)が20/100で、まだ出てないIE9もわずかに32/100だ。Microsoftは、そんなものにパスしなくても日常のWeb閲覧には関係ない*、と主張しているが、競合製品はどれも満点または満点に近いんだから、決して威張れる現実ではない。〔*: 閲覧には関係なくても、独自仕様のブラウザはデベロッパやページオーサーにとって地獄になる。〕

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なお上のリンクのビデオは、MicrosoftがIE9で標準規格への準拠と相互運用性に真剣に取り組んでいるという内容だが、しかし再生するためにはSilverlightが必要だ。笑えるね。

Bing Mapsのような新しいアプリケーションにSilverlightを使う件で質問を受けたMicrosoftの担当は、そうするしかない、という言い方をした。今日のWebアプリケーションで多用されているAJAXは、やりたいことに対して非力であると。Microsoftに私権のある私企業規格の技術にこだわっているのではなく、それが最良の技術だから使っているにすぎないと。

そうするとまた、統一性のないWebという問題に戻っていく。特定のプラグインを要件とするWebアプリケーションは、なめらかなWebでなく、大きな躓(つまづ)きの石が転がっているWebを作ってしまう。HTML5は、そういう石を未然に防ごうとする努力だからこそ、おもしろいのだ。Webビデオのような高度な成分は、今は主にAdobeのFlashプラグインで駆動されているが、ブラウザ本体が本来の機能の一部として扱うこともできたはずだ(たとえばこのYouTubeビデオの作例はHTML5でないと表示されない)。

Silverlightによって、標準的なWeb技術よりも強力なWebアプリケーションが作れるのか? 作れるのかもしれない。Bing Mapsの、地図から実際の街路の画像へのなめらかな変化は、たしかにクールだ。でも、そんなもの、本当に要るか?

ビルの群れが3Dで映し出された画像を、ズームしたり回転させたりする機能が、住所を探すとき必要なことが、どれだけ頻繁にあるだろうか? それはGoogle Street ViewやGoogle Earthにもある巧妙な仕組みだが、でもそれほどの実用性はない。住所や場所を探すときはケータイを使うことが多いし、なにしろ速いことが重要だ。iPhoneがStreet Viewを搭載していないか、気になって実際に調べたこともある。ぼくにとっては、絶対に要らない機能だから。

いや、実はデスクトップでも使わないね。何町何番地の家を買いたい、その家の姿を事前に見たい、なんてときはStreet Viewが便利かもしれない。それ以外では、単純に、作った側がすごいだろと言いたいだけの、余計な機能にすぎない。Microsoftが今日大々的に見せたのが、まさしくそれだ。

最後に繰り返すと、Microsoftさん、クールですよ、それは、確かに。でも、Webの統一性を犠牲にしてまであらま欲しき機能かといえば、大きな疑問符が付く。もっとはっきり言えば、要らない。悲しいことに今日見たMicrosoft路線は、問題悪化への道だ。改善への道ではない。Microsoftはそういう姿勢を、今日あらためて、すごくはっきりと示したのだ。

[写真: Paramount Pictures]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))