[jp] レポート:ソフトウェアビジネスカンファレンス2009福岡

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福岡で行われたソフトウェアビジネスカンファレンス2009福岡に参加してきた。Techのスタートアップはサービスを生み出すのが使命 だ。同時に組織として成立させる必要もある。このカンファレンスはその現場をささえるビジネスに焦点を当てたのが特徴だ。法務・財務・起業家(+ライトニ ングトーク)のセッションが 7時間に渡って実施された。本稿では主だった話題や雰囲気を中心にレポートする。

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「真摯な努力が大切。おかしいと思うことはおかしいと言ってください。」

壇俊光氏のセッションはWinny事件を含め、様々な訴訟事例を紹介しながら進行。ただ、一方で「ソフトウェアに関する法律は非常に複雑。それを体系立てて学ぶ時間があるのであれば開発に時間をつかってほしい。法律を変えるほどの開発をしてください。」とも。

「困ったら壇を呼んでください」というまとめでは会場から笑いがおこった。

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磯崎哲也氏はスタートアップに必要なファイナンスの全体像を語った。「失敗することはいいこと。ただそれですべてを無くしてしまうような投資や貸付を受けることはしないように。」同氏はスタートアップ志望の参加者に向けてアドバイスを送る。

セッションの話題は全体の俯瞰からファイナンスに関するキーワード、契約書、法律にいたるまで多岐に渡る。MoneyTreeのレポートからアメリカの投資状況を説明。対して日本のリスク構造を独自のグラフ(新循環マンダラ・『週刊isolog30号』)で解説した。

「事業は失敗を恐れずにやるべきだが、資本政策はトラブルになりやすいので大切に考えて欲しい。」初期の間違いほど後になって修正がきかない。 上場したときに自分がどれだけ株を持っているかは大切で、特に人間的に”良い人”が失敗しやすいポイントだそうだ。

セッションの最後は会場からのQ&A。最も難しい質問だったのが「誰に聞けばいいのか?」。そう、たとえ相手が公認会計士であったとして、 スタートアップへのファイナンスができるかどうか、それは彼にその経験があるかどうかによる。

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(写真は左から株式会社クエステトラ矢作 基氏、Terry’s & Company佐々木 宏氏、コアピープル・パートナーズ本間 真彦氏、ワイアード株式会社石原 明彦氏)

起業家のセッションではVC、スタートアップが自身の立場から対談形式で現実的な話を展開。クローズドであること(一部はUstで流していたが)からか話題は会場を巻き込んでヒートアップ、途中スピーカーが涙ながらに話す場面もあった。

失敗、成功含めこういう経験談は大変役に立つものが多い。

特に興味深かったのが「日本におけるシードマネーと助成金の関係」だ。本間氏曰く、「日本のエンジェル市場は小さい。その受け皿になっているのが助成金。一方「癖」になる企業もいるのでそこは問題。ただ、シードマネーが受けられないで製品が出せないぐらいであれば使ったほうがいい。」

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ライトニングトークではいくつかのサービスやソフトウェアビジネスに関するスタートアップの心構えが紹介された。東京Campにも参加してくれた福岡のスタートアップ、株式会社ヌーラボの縣氏はソフトウェア製品を生み出すプロセスからどのようにしてビジネスへつなげるかを7分に込めた。

「アイデアは作り続ける。使えないものは捨てる。Backlogは3回、Cacooは2回そのアイデアを捨てた。」ソフトウェア開発におけるスクラップ&ビルドの現実を参加者に伝えた。

「CacooはTechCrunch50にもエントリしたことがある。しかしそれはまだサービスの名称も違う頃。次のエントリは狙っている。」同氏は語る。

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今回のカンファレンスの主催の1人でもある株式会社もぐらの新井俊一氏。同社の名刺管理サービス「メイシー」を紹介しつつ、なぜこのサービスを作ったのか、そしてそこから現在のソフトウェアビジネスの現状や課題について話は展開してゆく。

「米国西海岸で行われたBusiness of Software 2009というカンファレンスに参加したとき、Kathy Sierra氏は『素晴らしい製品』や『素晴らしい企業』や『素晴らしいサービス』を作ろうとするよりも、『素晴らしいユーザー』を作るべきであると話した。この言葉が最も心に残っている。」と同氏。

カンファレンスではスタートアップに必要なキーワードを7時間という短時間で「駆け足」で辿るものだった。同時にそれらは当然短時間で体得できるものではない。しかしスタートアップを目指す参加者にとっては何が必要なキーワードなのか、まずどう動けばいいのかを感じることはできたのではないだろうか。

カンファレンスの終わり、Meetupに参加して福岡のスタートアップと深夜まで時間を過ごした。確かに環境は厳しい。しかし彼らの話題は常に前向きだった。本誌が主催している東京Campも同様に、そこで学び、デモすることだけが目的ではない。こういった場所で共感しあえる仲間と出会うことはスタートアップを目指す人にとって重要な仕事であることは間違いない。