2010年の新規株式公開候補、トップ10

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2010年の主戦場は位置情報だ–大手による買収の嵐になるだろう

ここしばらくIPO〔株式新規公開〕には旱魃が続いていたが、ベンチャー・キャピタリストやIT系起業家は2010年にはシリコンバレーに恵みの雨が降るのではないかと期待している。今年も OpenTableRackspaceA123SystemsなどいくつかIPOがあった。しかし本当に期待されているのはNetscapeの再来だ。つまり派手な成功で再びIPOブームを巻き起こすような上場だ。

以下に掲げるのは、IT系企業についてわれわれの考える2010年のIPO候補トップ10のリストだ(Twitterは含めていない)。私はリストの作成にあたってトップクラスのベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家に非公式にアンケートをとってみた。以下の各社がシリコンバレーその他のIT業界でいちばん注目されているらしい。あとは景気が回復して一般投資家が(特に来年下半期以降)IPOを受け入れる条件が整うことを期待したいところだ。株式市場は全般的に回復基調にある。S&P 500は今年24%上がった。強気市場が続けば、IPOにとっては追い風となる。もちろんIPOがダメでも買収という出口はいつでも存在している。

1. Facebook. 資金調達総額: $716 M(7億1600万ドル)

「Netscapeの再来」候補中の大本命がFacebookだ。Facebookはいつでも好きなときにIPOができる段階にある。現在アメリカでも世界でも第4位のサイトだ。前回の普通株の売却の際には、会社の評価額は$11B(110億ドル)だった。この額が適正かどうか意見は分かれている。こうした大規模なIPOの場合、カギとなるのはFacebookが現在集めている巨大なトラフィックを首尾よく広告収益に転換できるかどうかだ。現在のところ年初に立てた$550(5億5千万ドル)という売上目標を達成できそうだといわれている。FacebookのIPOが成功すれば、その「後光効果」によって他のIT系企業のIPOにも間違いなく好影響をもたらすだろう。もし2010年に実施されなくても、FacebookのIPOが迫っていることは投資家の欲望をそそり、ひいては他社のIPOの後押しをすることになる。

2. Zynga. 資金調達総額: $219 M(2億1900万ドル)

ソーシャルゲームのデベロッパー、Zyngaは絶好調だ。月間2億3千万の訪問者がFarmVille、PetVille、Texas HoldeEm Pokerなどの人気ゲームをプレイしている。最近$180(1億8千万ドル)という巨額の資金調達に成功している。ZyngaはFacebookの最大の広告主で、その広告売上は$250M(2億5千万ドル)に上るものと推定されている。しかしその一方で、不当広告スキャンダルの主役でもあった(ユーザーを騙して物品やサービスの購入契約を結ばせようとする詐欺的な広告がソーシャルゲームに多数掲載されていることが暴露された)。不当広告問題をすっかりクリアしたと投資家を納得させることができればただちにIPOに向かうだろう。

3. LinkedIn. 資金調達総額:$103 M(1億300万ドル)

大手SNSのLinkedInはいわば企業向けFacebookだ。 ユーザーはここでビジネスをし、職を探す。この1年だけで$1B(10億ドル)の会社評価で$75M(7500万ドル)を調達している。今年、ファウンダーのReid HoffmanはLinkedInにはいつでもIPOする用意がある繰り返し語っている。 今年、元Yahoo幹部、Jeff Weinerが新たにCEOに就任した。以降Hoffmanは経営をWeinerに任せて、自分は主としてベンチャーキャピタリストとして活動している。以前からHoffmanはベンチャー投資を副業としていた。

4. Glam Media. 資金調達総額: $125 M(1億2500万ドル)

Glam Mediaはファッションを中心とした女性向けサイトを集めた広告ネットワークとして急成長してきた。この分野では伝統的な雑誌が苦戦を続ける中、Glamは2009年にバナー広告の売上を50%も伸ばした。CEOのSamirAroraは第4四半期に黒字化を期待しており、大企業での幹部経験のある社員を採用している。ニッチマーケットを独占している広告ネットワークは投資家にとって魅力的な対象だろう。

5. Demand Media. 資金調達総額: $355 M(3億5500万ドル)

Demand Mediaもロサンゼルスに本拠を置く企業で、元MySpaceの会長、Richard Rosenblattがファウンダーだ。 Demand MediaはeHow、Livestrong、その他無数のニッチサイトを傘下に置いている。またドメイン名管理業者のeNomもグループの一員で、多額のキャッシュを稼ぎ出している。Demand Mediaはまた安価なコンテンツを大量生産しており、Golflink.comやTrails.comのような�
��ッチサイトにポピュラーな検索フレーズに対応する短いビデオクリップを供給している。Michael Arringtonには「ジャンクフード・コンテンツ」と批判されているが、儲かる事業なので買収の噂が絶えない。AOLのTim ArmstrongはDemand Mediaのビジネスモデルを真似してニッチコンテンツを生産しようとしている。

6. Gilt Groupe. 資金調達総額: $48 M(4800万ドル)

Giltは高額商品を対象とする会員制のオンライン・ショッピングクラブだ。2009年の売上は$200M(2億ドル)に達し、来年はさらに倍増するものとみられている。  すでにIPOの噂が流れている。Giltのヨーロッパ版、Ventee-PrivéeはAmazonが $3B(30億ドルで買収交渉中という情報もある。Kleiner Perkinsはイギリスの同じようなショッピングクラブOne Kings Laneに投資している。

7. Etsy. 資金調達総額: $31.6 M(3160万ドル)

ニッチなオンライン通販ではニューヨークのブルックリンに本拠を置く手作り工芸品のオンライン市場、EtsyにもIPOの可能性がある。今年、Etsyを利用して$200M(2億ドル)もの製品が売り買いされた。これは昨年の2倍に当たる額だ。最近ファウンダーのRobKalinが一時退いていたCEOに復帰した。KalinによればEtsyは黒字化に成功しているという。EtsyはeBayのように巨大にはならないだろうが、高級なカスタムデザインのアパレル、家具、その他の製品の売買という専門分野ではeBayをしのぐ存在になるかもしれない。

8. Yelp. 資金調達総額: $31 M(3100万ドル)

先週、YelpはGoogleが$500(5億ドル)で買収寸前まで行った。Yelpは急成長中の地域ビジネスのレビューサイトだが、どうやら買収ではなくIPOを狙っているらしい。同社にはすでに従業員が300人おり、地域ビジネスの広告というあらゆるウェブサイトが狙っている有望な事業分野で大きな存在になりつつある。 地域広告ネットワークでは、すでにReachLocalが$100M(1億ドル)のIPOの申請を行っている。

9. Tesla Motors 資金調達総額: $783 M(7億8300万ドル)

今さらGMの株を買うくらいなら、Teslaに投資してはいかが? Silicon Valleyの電気自動車メーカーも株式公開を行うものと見られている。自動車メーカーを作るには巨額の資金が必要だ。Teslaはすでに$800M(8億ドル)近い資金を調達している。大部分は米国自動車産業救済計画からの$465M(4億6500万ドル)を始めとして、政府から貸付だ。またパートナーのダイムラー・ベンツからの投資や大富豪のファウンダー、Elon Musk自身の資金も投入されている。なにはともあれ、Tesla は黒字化を達成している。自動車会社としてこれはたいしたものだ。

10. Skype 資金調達総額: $69M(6900万ドル)

eBayがSkypeをSilver Lake Partners、Andreessen Horowitzらの投資家に$2.75B(27億5千万ドル)で売却した際に起きた騒動はまだ記憶に新しいが、結局は売却は無事成立した。Skypeはすでにインターネットを代表するブランドに成長している。ユーザーは5億人以上で、音声通話、IM、ビデオ通話などのサービスから$185M(1億8500万ドル)の四半期売上を得ている。eBayは売却先を見つける前は公然とIPOに向けて努力していた。eBayは現在でも依然として30%を握る大株主なので、Skypeの成長が続けば再びIPOが提案される可能性がある。

次点: 以上の10社が来年のIPOの最有力候補だ。これ以外にIPOの可能性があるのは、Associated ContentBrightcoveDiggStumbleUponLiveOpsWorkdayMerchantCircleExactTargetCheggRearden Commerceなどだ。事情に詳しい筋によると来年はTwitterのIPOはないということだ。時期早尚だという。 Twitterは$100M(1億ドル)の資金を調達したが、ビジネスモデルは依然これからの課題だ。2011年にはIPOの運びになるかもしれない。

読者はどの会社がいちばんIPOをしそうだと考えるだろうか? 自分で投資するとしたらどの会社だろうか?

写真:Flickr/David Paul Ohmer

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01