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営業もプロの技術だ–成功するセールスのための10の戦術

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このゲスト記事の筆者Matt Bellは、Azaleosの営業企画担当副社長である。Azaleosは、大企業のアプリケーション管理をクラウド化するサービスを提供している。Mattは、これまでの二度の不況の間に企業の売上を伸ばした実績を持つ強者(つわもの)なので、考え方も独特で魅力的だ。この記事は、Vivek Wadhwaが先月書いた生き残るためには、売ることがすべて(It’s All About Selling for Survival)の、いわば続編だ。

テクノロジ分野のブログには、スタートアップたちへのアドバイスがたくさんある: 会社の作り方資金の調達方法、企業イメージの築き方、人材獲得方法、などなど。でも、めったにお目にかからないのは、意味のある、すなわち売上につながる、企業戦略の立て方を教える記事だ。

売上が好調なら、良い企業イメージが自然に育つし、優れた人材を雇えるし、いろいろな企画にじっくり時間を投じることもできる。売上がなければ、なにも始まらない。

売り方のハウツー本は、これまでに何千冊も出版されている。中古車、アルミのサイディングなど、品目を特定した本すらある。しかしそれらの本はどれも、スタートアップという特殊な業態を扱っていない。…今年中に倒産するかもしれない、無名の若い会社から、一体どうやって物やサービスを買わせるのか?

私がこれまで指揮した営業部隊は、一銭も売れなかったのから、年商2000万ドルを達成したものまで、さまざまだ。私が失敗と成功から学んだのは、どんなに優れた製品でも、死にものぐるいで最初の顧客を獲得する努力をしないかぎり、失敗するということだ。

1. 柔軟性バカになれ: 既成企業に比べてスタートアップの最大の強みは、顧客の望みどおりのものを提供できることだ。無理、と思われる注文でも快諾する。そして、社長と喧嘩してでもそれを完成させる。技術者は文句を言いたがる人種だが、しかし彼らも、金を払う顧客のためなら頑張る気になる。大企業は、いろんなルールや慣行に縛られていて柔軟性がほとんどない。しかしスタートアップの強みは、「何でも正しくやる」Hertzではなく、「何でもやれる」Avisになれることだ。〔訳注: HertzもAvisも有名なレンタカー会社。両社の広告合戦も古くから有名。〕

2. 営業奨励金を活用せよ: 優秀な営業マンを獲得するためには、最低保証額よりも成功報酬を厚くすること。高額な基本給はIBMの注文取りのもの、しかし本物のプロの営業マンは、獲物がゼロの日もあるし、大きな鹿をしとめることもある、本物のハンターだ。成功報酬を高くしたら、売れすぎたときに会社が破産する? しかし、それはない。VerdiemのJim Flatleyが、Plumtreeにいたときに次のことを教えてくれた: 彼は会社に、営業の成功報酬として売上の15%を約束させた。そしてその後、売上が軌道に乗ったときには、その率を下げろと言い出す重役は一人もいなかった。バブルがはじけて多くのテクノロジ企業が瀕死の状態のときも、Jimの成績は落ちなかった。

3. なにごともスピードが重要: どれだけ技術が優秀でも、それだけでは会社の業績は上がらない。問い合わせや引き合いに対して、素早く前向きに対応すること。どこかでプレゼンをやったあとのフォローアップも、確実に素早くやること。競合他社がどれだけ大きくても、顧客〜見込み客は、(大きな会社ではなく)、応答が素早くて、てきぱきしている会社に心引かれることを、忘れないように。

4. 顧客の心に地雷を埋めろ: 複数社のプレゼンのときは、いちばん最初にやって、その後の議論の土俵を自社有利に作れ。顧客のための質問リストを準備せよ。そもそも顧客というものは、売り手の主張は眉に唾を付けて聞くけど、自分で納得したものは信ずる。だから、売り手が競合他社の悪口を言っても、それは逆効果。競合他社の欠点を自分で納得したら、心はあなたの会社に傾く。Boeing社に300万ドルのシステムを売ったとき、私は資料の中に他社に対する質問のリストを含めた(顧客自身がそれらの項目をチェックできるように)。その資料が役に立ったという証拠はないが、結果的には、相当遅れて商戦に参加した私の会社が勝ったのだ。

5. 最初の顧客を味方にせよ: 最初の顧客は最良の営業マンだ。だから最初のセールスに成功したら、もう、一匹狼はやめて、顧客との二人三脚を開始すること。あなたのちっぽけな会社から買うというリスクをおかした顧客は、自分のその行動を是が非でも正当化しなければならない。今後あなたの会社の顧客が増えることが、正当化の最大の根拠になる。だからこそ、あなたを助けようとする。スタートアップは概して、製品やサービスの概念実証が手薄だが、既存の顧客からの口添えや体験談は、その薄さを十分に補ってくれる(つまり実証を顧客が代わりにやってくれる)。既存顧客が見込み客に、「あれはなかなかいいですよ」と言ってくれたら、あなたはその見込み客のもっと細かい関心事への対応に集中できる。Azaleosの顧客の一人は、システムが動き出したら全員で外へ飲みに出かけられる、サーバルームで心配顔をして座っている必要がない、という言い方で、見込み客にうちの製品を推薦してくれるのだ。

6. 正々堂々、自分を高く売れ: とくに根拠はなくても、とにかく仕事をするときには、あなたが顧客を必要としているのと同じく、顧客もあなたを必要としていると思って仕事をすること。自分が自信を持てない製品やサービスは、売れない。セールスがスタートアップに売り込みに来るものの半分は、こけおどかしだ。しかし、あなたが不快な人物でさえなければ、顧客は自信満々の会社から買いたがる。それに企業の購買担当は、弱点や欠点をかぎ分けるよう訓練されている。大銀行との交渉に向かうエレベーターの中で私は、下限価格(これ以下にはまけない価格)を100万ドル上げることを決心した。商談を壊したくないから安値を言う者が多いが、このときは大きな数字のほうが良い結果を招いた。結局その商談は、下限価格の30%高で成立した。

7. まずパートナーに売れ: IBMから買ってクビになる購買担当はいない。だったら、IBMを味方につけよう。あなたの会社の成功で得をするのはどこか、あるいは、失敗で不利をこうむるのはどこか、それをまず考える。顧客に売り込む前に、まずそこに売り込む。社員5000人以上の企業に売り込むときには、そこがあなたの会社に対して抱く不安を下げるようなパートナーを見つける(例:「あそこの紹介なら安心だ」)。あなたの勝利はほとんどつねに、GoogleAmazonMicrosoftSAP、IBMといった大企業の勝利でもある〔==彼らの製品を使うことが多い〕。ある大手の運送企業に売り込みを開始するとき、私は一か月近くをかけて、スタートアップでも数百万ドル規模のプロジェクトをまかせられると説得に努めた。しかしその顧客は当然ながら、ノーと言った。それはMicrosoft製品を使うプロジェクトだったので、Microsoftに協力を求めたら、すんなりと商談はまとまった。

8. みんなを巻き込め: 重役、管理職、ファウンダ、技術者、プロダクトマネージャ、カスタマサービスの連中、などなど、できるだけ多くの人をセールスの過程に関与させる。そうすると、その商談の性格がよく分かるようになる。ある顧客は、営業のあなたと話すのはニガテでも、技術者とはウマが合うかもしれない。そしてあなたの会社を、実際よりも大きく感じるだろう。顧客(見込み客)はあなたの会社のいろんな人と知り合って、がつがつした営業マンだけの会社ではないという認識を持つ。あなたではなく、あなたの会社がその顧客をケアしようとしている、という印象を持っていただく。会社に好感をもってもらえば、会社が小さいことはむしろプラス要素となる。この戦術は、顧客が小企業でも大企業でも有効だ。とくに、最後の詰めの段階でCEOや重役の一人に個人的な電話をしてもらうと、その顧客企業の成功にあなたの会社が誠心誠意コミットしているという印象が強く伝わる。それは、私のオススメの戦術だ。

9. ゆっくり雇い、素早く解雇: 役に立たない人たちを雇ってしまったとき、解雇をためらっていると会社はお金を失い、社員の士気が損(そこ)なわれ、会社の信用も損なう。ある男を営業に雇ってから3か月後に私は彼に言った: “何も売らないでいつまで平気でいられるんだい?”。彼の答えは: “ご心配なくMatt、あと数四半期何も売れなかったら、別の仕事を探しますよ”。翌日、会社は彼をクビにした。

10. 売り込みトークを磨け: 技術系のスタートアップは、初期には技術者しかいないことが多い。そこがあなたを雇ったということは、あなたが電話帳を全部コールドコール(cold-call, 売り込み電話)してくれることを期待しているからだ。だから、あなたはコールドコールを好きにならなければならない。長年営業をやった私だが、今でもコールドコールを楽しみながらやる。しかし、映画「プレデター」で、ダッチ〔アーノルド・シュワルツェネッガー演ずる主人公〕が最後に勝利した唯一の理由は何だったか? それは、ターゲットの所在を事前に正確に知っていたことだ。どんな会社のどんな部署(または担当)の者に電話をするのか、それを事前に正確に把握していなければ、歩留まりの非常に悪いコールドコールになってしまう。そして、そのとき電話で話すセールストークは、10歳の子どもにも理解できるものでなければならない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Featured Image: red rose/Shutterstock