デベロッパーに朗報―Adobeの新CS5はFlashアプリをiPhone向けに自動コンバート

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AppleがFlashを嫌っているのはよく知られている。Adobeはずっと前からラボでFlashを作動させることに成功しており、AppleにFlashのサポートを強く要請してきた。しかし依然FlashアプリはiPhoneやiPod Touchで許可されていない。iPhoneでFlashがサポートされていないため、ユーザーにもデベロッパーにも大きな不便を強いることになっている。iPhoneの機能に開いた非常に大きな穴だ。

しかし近く事態は変わることになる。AdobeはAppleが承認しようとしまいと、200万のFlashデベロッパーにiPhoneアプリを開発する能力を与えようとしている。10月に発表された次世代の開発環境、Creative Suite 5(現在非公開ベータテスト中)のFlashデベロッパー・ツールには“Packager for iPhone”と呼ばれる機能が含まれる。このパッケージ・ツールはどんなFlashでも自動的にiPhoneアプリにコンバートする。Flashアプリ自体はiPhoneで作動しないが、このツールを利用すれば簡単にiPhoneアプリが作れるわけだ(MicrosoftもSilverlightについて似たようなアプローチを試みている)。こうしたアプローチの与える影響は想像以上に大きい。

FlashとiPhoneに関する議論の前提となっているのは、Flashがウェブにおけるビデオの事実上の標準になっているという事実だ。たとえば、iPhoneユーザーがFlashビデオを含むウェブページを開いた場合、ブラウザ内でそのまま再生することはできない。ブラウザと別にQuicktimeプレイヤーを開かなければならない。YouTubeのすべてのビデオを含めてウェブのビデオのほとんどはFlashプレイヤーで再生されるようになっているから、iPhoneユーザーにとっては不便なことおびただしい。AppleはFlashをサポートしない理由としてバッテリーを食いすぎる、携帯電話には遅すぎる、能力が足りない、など種々の技術的な問題を挙げてきた。そのうちのいくつかは事実であり、Adobeはそうした問題の解決を図ってきた。その結果、現在FlashはAndroidで問題なく作動している

しかしAppleがFlashを締め出しているのにはもっと政治的な理由がある。AppleはiPhoneのデベロッパーの手綱を固く握っていたいのだl。Flashも含めてビデオは携帯で見栄えのよいウェブアプリの制作に利用できる。AppleがFlashを許さないのは、iPhoneのビデオ規格を自分の支配下に置きたいというのもさることながら、Appleの提供するiPhone SDKにデベロッパーを縛り付けておきたいという点が大きい。サードパーティの開発プラットフォームがiPhoneの世界に入ってくるのを防ぎたいというのが本音だ。

AdobeがCS5を一般公開した後もFlashアプリ自体がiPhoneで作動するようになるわけではない。しかし200万のFlashデベロッパーがAdobeの開発環境を利用しながら、出来上がったアプリを自動的にiPhoneアプリにコンバートできるようになる。これに対してiPhoneデベロッパーの数は12万5千前後しかない。Adobeの新ツールにより、iPhoneアプリ制作への参入ははるかに容易になる。これがAppleにとって吉と出るか凶と出るか不明だ。今でもiPhoneアプリの数は膨大だ。しかしひとたびFlashの利用という水門が開かれたら、さらなるアプリの洪水が起きるにちがいない。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01