落ち着け―Facebookのプライバシー方針に文句をつけても意味ない

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2004年にGmailが登場したとき、Googleが文脈連動広告をメールの横に表示するためにすべてのメールをスキャンすると知って世界は驚いたものだ。「プライバシー保護論者はメールの広告モデルに反発している。このモデルでは、Googleのロボットがすべてのメールをスキャンして自動的にキーワードを抽出、関連ある広告をユーザーの受信トレイに表示することになる」とWiredは書いた。

曽々々祖父母の時代ならもっともな理屈に聞こえたかもしれない。1900年代の初期には電話会社に立ち聞きされるかもしれないと考えて多くの人々が電話で話をするのを恐れていたそうだ。現在でも簡単に盗聴されるとして電話での通話を恐れている連中がいる。

しかしわれわれ一般人は何の問題もなくGmailを使っている。もちろん電話もだ。なぜかといえば、プライバシー漏洩のデメリットとサービスのメリットを比べるとメリットの方がはるかに大きいからだ。Facebookがひと月ほど前にプライバシーの設定機能を大きく変えたことについて、今だにIT系メディアでは議論が続いている。しかしFacebookについても同じことが言える。

一部の報道とは違って、FacebookのCEO、Mark Zuckerbergは先週金曜のCrunchies授賞式での私のインタビューの中で「プライバシーの時代は終わった」とは発言していない。ビデオはここで見られるから確認できる。彼は「Facebookはユーザーと共に歩んでいきたい。常にユーザーのニーズに合わせた新しい機能を提供していきたい」と語った。Facebookはプライバシーに関してもまさにそれを実行しているにすぎないのだ。

本当のことを言えば、プライバシーははるか昔に完全に死んでいる。以前、Howard Lindzonが適切に要約したとおり、「Equifax、Transunion、Capital One〔いずれもクレジットカード情報処理会社〕、 American Expressとその同類にわれわれのプライバシーはレイプされてしまった」のだ。われわれのやることなすこと、何を買ったか、どこへ行ったかはすべてモニタされており、どこかのデータベースに収められている。われわれの買い物はクレジットカードを通じて、居場所は携帯やカーナビを通じて知られている。なにもかも知られているのだ。毎日24時間記録され保管されるわれわれについての情報の山にくらべたら、大学時代に撮られたマリファナ用水ギセルをくわえている写真などピーナツ一粒にもならないくらいささやかなものだ。われわれはそのことに気づかないだけだ。クレジット情報会社はそうしたデータについて沈黙を守ることを好む。Equifax社はクレジットカード情報をどのように集めているかブログ記事に書いたりしない。

われわれはFacebookを必要としている。ますます多くのユーザーがFacebookに参加している。そうであれば、いろいろな弥縫策には限度がある。いつかはユーザーがデータを一般に公開できるようにする必要があった。これはFacebookにとって最善の策だ。もし多数のユーザーがFacebookのプライバシー処理方針が本当に気に入らないのであれば、誰かが別のプライバシー処理方針の下に新しいSNSを作って人気を博すだろう。しかしそんな事態が起きる可能性はゼロだ。

私は今夜(米国時間1/12)、BlippyのCEO、Philip Kaplanと話をした。Blippyはユーザーがクレジットカードでどんな買い物をしたか公開するサービスだ。

馬鹿げている! そんなサービスを使う人間がいるわけがない、と思うかもしれないが、それがいるのだ。しかもかなり大勢だ。Blippyにはすでに2500人のユーザーがいる。この2500人は毎日20万ドル分の買い物情報を共有している。ローンチ以来1ヶ月しか経っていないが、$3.8M(380万ドル)分の購入情報が蓄積されている。1件あたりの平均額は$46だということだ。

しかもさらに大勢がこのサービスで買い物情報を共有しようと申し込んできているという。ウェイティング・リストの登録者は1万人にもなっているそうだ。

なぜそんなに人気があるのだろう? 自分の買った製品をテーマにおしゃべりをしたいのだろうか? メーカーに自分のショッピング情報を知らせて、何かお得な申し出が来るのを待とうというのだろうか? それはよく分からないが、プライバシーについて深刻に考える傾向が薄れているのは確かだ。Facebookのプライバシー処理方針の変更は、単にわれわれユーザーが望むものを提供したということに過ぎない。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01