[jp] 人が人を応援するということ。パラリンピック障害者クロスカントリースキー日本代表チームの応援

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BigDealとの広告契約を終了します

CIMG9372[日本語版編集部注:本稿は米良はるかさん( twitter @Myani1020 )による寄稿。今、ハイチが悲惨な状況になっている。テレビで報じられる映像、インターネット上で集められる寄付。情報技術の革新で私達はより身近に彼らの問題に触れることができるようになった。情報技術を使い人の応援をするということがどういうことなのか。ここにひとり、日本でそのチャレンジを開始した大学生がいる。彼女はあのひと検索SPYSEEのメンバーでもあり、同時に慶応大学の4年生、学生だ。チャリティーをサービスとして展開する世界のスタートアップは多い。彼女は日本からどのようなアプローチでこのカテゴリに挑戦しようとしているのかー]

◎パラリンピックに出場するクロスカントリーチームを応援します

今年の2月12日から28日までカナダのバンクーバーで冬季オリンピックが開かれます。私達はこの2週間で多くの感動を味わうことでしょう。ところが一方で、ウィンタースポーツの競技者の中には、経済的に潤沢でない選手もたくさんいます。特に比較的マイナーな競技では、世界トップの実力をもっていても援助が少なく、選手個人の持ち出しで遠征することも日常的です。昨年末の事業仕訳でも、スポーツ予算のうち約59億円がカットされることになりました。

もともと、スポーツや芸術といった分野は、それ自体経済的に成立するとは限りません。オリンピックにはアマチュアリズムという考え方があり、従来は「オリンピックの出場者は、スポーツによる金銭的な報酬を受けるべきではない」とされていました。スポーツをそれ自体として楽しむ、つまり公平な条件のもとで自ら参加することによって努力をすることが、「コード」として重要であるという考えです。

この考えは、商業的イベントとしての側面、企業広告としての側面が強くなっている現在では必ずしも当てはまるものではありませんが、近年の多くの企業スポーツチームの苦境や、逆に地域スポーツチームの興隆は、スポーツがそれを楽しむ人によって応援されて成立するという、本来の姿に戻りつつあるのではないかと思います。(例えば、スポーツ産業学会という学会ではこうしたスポーツビジネスのあり方について議論されています。)また、絵画や書道、文学、音楽などの芸術についても、これが当てはまることは言うまでもありません。

私達はみんな、ひとりひとりそれぞれの才能をもっていますし、こういった社会情勢の中で才能を開花させることができないでいる若者たちが多くいることに気づいています。だからこそ、今の新しいウェブの技術を使って、個人の努力を支援する仕組みを作ることが重要だと思うのです。シリコンバレーでは、成功者が新しい事業を支援し、また次の成功者を生み出す循環の仕組みができています。今はあなたで次は私というように、それぞれが力を出し合って自分たちの才能を開花させていくこともできるかもしれません。

マイクロ融資のKivaや、facebookアプリで寄付を募るCausesなど、今までできなかった世界規模での寄付やチャリティの仕組みができつつあります。日本で、個人同士が助け合いお互いを伸ばす「共生社会」のひとつの形として、スポーツや芸術などの才能を支援するチャリティーの仕組みがあってもいいのではないでしょうか。

こういったスポーツや芸術に打ち込んでいて、活躍している人たちを経済的に支援し、みんなでその才能を世に出そうというのが、「あの人応援チアスパ!」のコンセプトです。「あのひと検索SPYSEE」という人物検索サービスに連携した形で運営されています。オリンピックまでいかなくとも、自分たちの周りにはいろいろな才能があるのに機会に恵まれない人、もう少し援助があれば成功するのではと思う人がいるのではないかと思います。

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◎パラリンピックに出場する障害者クロスカントリーを知っていますか?

パラリンピックに出場する障害者クロスカントリースキーチームの日本代表監督である、荒井秀樹さんは「チアスパ!」でチャリティーを募っている一人で、障害者がスポーツに全力で打ち込める環境づくりに尽力されています。昨年末、私は荒井秀樹さんご本人にお会いして、ご自身の経験を伺いました。(インタビューの全文はこちら

「96年。僕にとって衝撃の出来事がありました。障害者の世界選手権でのことなのですが、外国の全盲の選手が健常者と同じくらいの高速スピードで走っていたのです。また、それらの選手はユニフォームにサポート企業のワッペンをつけていて、だからこそ、練習に精を注げる環境があると思いました。僕はここで時間のかかる環境整備よりも選手の実力を伸ばす練習をすることで世界レベルに近づくようなトレーニングをしました。しかし迎えた長野パラリンピック、ソルトレークパラリンピックで惨敗を喫してしまいました。」

環境がなければ勝てないーそう痛感した荒井監督は環境整備に着手されます。

「僕は選手を連れて企業回りをし、選手をサポートしてくれるように、そしてできれば雇用してもらえるように努力しました。すると見事トリノパラリンピックで金メダルを収めることができました。環境が変わると、実力を発揮できるんだ、と実感した瞬間でした。」

金メダルを取ったとはいえ、現在、世界の先進国と比べて日本はスポーツに対する国のサポートはとても薄い状況です。例えば、日本のパラリンピックのスキーチームに対する年間の助成金は50万円(トリノパラリンピック時)ですが、カナダのパラリンピックスキーチームには、今年度80万カナダドル(日本円で約7000万円)の助成金が使われています。

オリンピック選手でさえ経済的負担が大きいことはよく知られていますが、パラリンピック選手はなおさらです。選手自身、家族、友人の努力と負担により競技を支えているのが現状です。これからは、企業のスポンサーだけでなく、さまざまな団体(例えば、バンクーバーでは、茶道表千家がはじめてノルディックスキーチームのスポンサーになりました)、そして何より、多くの個人が選手を支える仕組みが重要になってくるわけです。

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◎スキーワックス代100万円を集めています

現在「チアスパ!」では、「障害者クロスカントリースキー日本代表チーム応援キャンペーン」を実施しています。クロスカントリースキーは、ノルディックスキーの一種で、斜面を滑り降りるアルペンスキーとは異なり、雪の積もった野山を駆けるウィンタースポーツです。かつて荻原選手らが活躍したノルディック複合の、距離種目に相当する競技、というほうが分かりやすいかもしれません。このクロスカントリー競技でとても重要な、スキーワックスの費用100万円を皆様からチャリティーで集めるというものです。

クロスカントリースキーの場合、例えば50m進むのに、最適なワックスを使用した場合とそうでない場合で、1秒もの差がつきます。これは、同じ実力を持った選手が規定の距離である5km、10km、15km、20km(競技種目により異なります)を走った場合には決定的な差となります。この「最適なワックス」というのが大変で、時々刻々と変化する当日の雪温、雪質によって、最も良いものを選ばないといけません。

クロスカントリースキーチームに必要なワックスは、全部で70種類186品、160万円。これを何とかスキーショップと交渉し100万円にしてもらっていますが、それでも練習費や遠征費とともに、選手自らの負担になるわけです。我々は、この「命の次に大切な」ワックスだけでもみんなの力で支援したいと思い、このキャンペーンを荒井監督とともに企画しました。

パラリンピックに人生の全てを捧げている荒井さんに直接お会いして感じたことは、荒井さん自身選手を支えているだけでなく、選手からたくさんの勇気や一生懸命さやもらっているのだということです。必死で競技に打ち込む選手がいるから、荒井さんのように前に進む人がいて、そういった人がいるから私も前に進まなくては、そう思うのです。そしてこれが、本来、スポーツや芸術が人に与える力なのではないでしょうか。

隣にお年寄りがいたら席を譲る、重い荷物をもってあげる、そんな自然な親切心で人をサポートするサイトです。もしこの記事を読んで賛同していただける方がいれば、「チアスパ!」でチャリティーに参加してください。100円から5万円まで受け付けています。また、チャリティーに参加しなくとも、twitterのハッシュタグ#cheerparaで、障害者クロスカントリー選手団に応援メッセージを投稿していただくだけでも大変ありがたいです。みなさんの一言の応援が、選手のエネルギーに変わります!

「あの人検索SPYSEE」は、全自動のアルゴリズムで人物情報を抽出するサイトですが、その根底にあるのは、人をより良く知ってもらいたい、人を応援してもらいたいという気持ちです。まだまだサイトはこれからも発展していきますし、その中で「チアスパ!」が自分の夢に共感してもらい、後押ししてもらうプラットフォームになっていければと思います。長い道のりですが、ネットというメディアだからこそ可能な、人が人を支援する仕組みを社会に根付かせることができればと思っています。