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改めるに遅すぎることはない―Googleは中国について正しい決断をした

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Google Beijing by pamhule先週のビッグ・ニュースはGoogleが中国における検索結果への検閲に手を貸すことを止めるという発表だった。これによってGoogleは中国での活動から全面的撤退を余儀なくされる可能性がある。今後長い間、これ以上にIT業界の関心をひくニュースは出て来ないに違いない。しかも影響はIT業界に留まらない。国際政治の世界にも重大な影響が出るだろう。Googleの決断は各方面に今後長く余波を広げていきそうだ。加えて、中国政府による秘密工作の疑惑もある。

この問題には非常に多くの側面があるので、誰もがそれぞれ独自の見解を抱いているようだ。われわれも先週、記事をいくつか掲載した。 Sarah’ Lacyは、Googleの決断は中国におけるビジネス(の不振)上の理由に基づくものだ評した。一方、Paul Carrは、シリコンバレーで起きたGoogleへの賞賛の声に水を浴びせ、Googleは過去4年間も悪事に加担してきたのだからいまさら道徳的に褒められる理由はないと主張した。Micheal Arringtonはこの記事に次のようなコメントを寄せて支持した。“今、検閲への協力を止めるというのは、そもそも4年前に検閲に協力し始めたことが間違いだったことをなおいっそうはっきりと証明するものだ。しかもGoogleは検閲への協力が間違った行いだと始めから知っていたのだ。” それぞれもっともらしく聞こえる。しかし私はこうした意見に不賛成だ。

私の立場は2点に要約できる。善をなすのに遅すぎるということはない。いかなる場合であろうと善をなすのは間違ったことではない。

最初にGoogleの決定を鳴り物入りで賞賛した記事のいくぶんかはGoogleの動機に関してナイーブ過ぎたかもしれない。しかしこれは非常に重要な正しい決定だという当初の評価が誤りだったわけではない。4年前に中国政府から検閲への協力を求められたときにGoogleは「悪を為さない」というモットーに忠実に、断固拒絶すべきだったのだろうか? おそらくはそうだろう。しかしガレージでゼロから創業して数十億ドルにまで成長した巨大企業を運営する立場として、そう簡単に決定できる問題ではなかった。世界中に無数のユーザーと営業成績に目を光らせる株主たちがいる。

さまざまな情報を総合すると、Googleの中国問題については、CEOのEric Schmidtが懐疑的だったファウンダーのSergey Brinをビジネス上正しい決定だとして説得したようだ。さらにGoogleが中国国内に足がかりを持った方が、単に外部から批判するよりも中国の状況を改善するのに貢献できるという議論もあったに違いない。この議論はGoogleの情報に関する哲学10箇条の第8項(情報は国境を越えて流通できなければならない)にも合致する。また第1項(ユーザーの利益を第一に。すべてはそこから判断せよ)、第4項(ウェブはデモクラシーだ)、第6項(悪を為さなくとも金儲けはできる)とも合わせて、Brinは説得されたのだろう。もし中国政府の要求する検閲を行わないならGoogleは、中国国内での活動をいっさい許されなかった。

「中に入って状況の改善を図る」というGoogleのアプローチは残念ながらうまくいかなかった。だからといって大失敗であったともいえない。全体としてみればGoogleは中国の検索市場でトップの座につくことはできなかったが、中国でも高学歴の若いエリート層には非常に強く支持されたことが見てとれる。こうしたユーザーからやがて中国の強力なテクノロジー企業の運営者層が生まれてくるだろう。こうした中国のユーザーはGoogleが利用できなくなることに失望している。彼らは中国共産党の独裁に対して立ち上がるだろうか? そういうことはあるまい。しかし、こうしたユーザーの存在が自由化への大きな圧力となるはずだ。

残念なことに、中国政府の不当な要求に屈したのはGoogleだけではない。他にも多くの企業が要求に屈し、今でもそれを改めていない。今後もさらに多くの企業が中国政府の要求に膝を折って中国市場への参入を図ろうとしている。Googleは不当な要求に従うことを止めた。Googleの言葉を信ずるなら、将来二度と不当な要求には屈しないはずだ。繰り返すが、動機が何であれ、タイミングがどうであれ、良い決断であるのに変わりはない。

しかもその決断がGoogleのような強力な大企業によって行われたことは重要である。中国の大手インターネット・プロバイダAlibabaの大株主であるにもかかわらず、ライバルのYahooもいち早くGoogleへの支持を表明した(AlibabaはYahooがGoogleを支持したことを非難している)。もちろん、ホワイトハウスもGoogleを支持した。Microsoftが支持を表明すれば素晴らしかったのだが(ことに中国のハッカーが利用したのがIEの脆弱であったことでもあるし)、しかしMicrosoftはそうはしなかった。しかしGoogleの決定のおかげで、Microsoftはこの問題で以前に増して強い批判を浴びるようになった。Googleの立場は倫理的に非難の余地のない高邁なものとまでは言えないかもしれない。しかし、正しい方向に向けて議論を起こしたことは確かだ。これは重要なことだと思う。

それに加えて、自社の現在の市場シェアがどうであれ、急成長を続ける13億人の中国市場に背を向けるという決断は並大抵のことではできない。

テクノロジー、ことにインターネットの世界では、われわれの日常生活のすべての部分がますます緊密にからみ合うようになってきた。しかもこれはやがて来るべき変革の氷山の一角にすぎない。1インターネット企業のブログ記事が、過去にわれわれが経験したこともないような巨大な反響を呼び起こした。今やある種の情報戦が中国政府からホワイトハウスまで巻き込んで激しく戦われている。(中国政府が今日の午後、�
��年間禁止していた後で、新彊地区でテキスト・メッセージを再開したのは単なる偶然だろうか?)

Googleは正しい決断をした。Googleが正しい決断に留まる限り、その動機の重要性は薄れていく。この決断が他の企業にも重要なメッセージとして伝わるとよいと思う。善を為すのに遅すぎるということはない。

[写真: flickr/pamhule]

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01