Twitter版「プロジェクト・メイヘム」のジレンマ ~ フォロワー数のオールクリアの可能性は?

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project-mayhem「ファイト・クラブ」という映画(小説とはプロットが結構異なっている)という映画に「プロジェクト・メイヘム」というのが出てきた。クレジットカード会社の記録を保管するビルディングを破壊して、皆の借金を帳消しにしてしまおうというプロジェクトだ(もちろんそんなことで帳消しにはならない。しかし取り敢えずそれはおいておこう)。この「プロジェクト・メイヘム」のTwitter版を目論む人物がいる。Allen SternLouis Grayの二人だ。新しいおすすめリスト(SUL)が登場したのをうけて、これまでのフォロワーカウントをリセットしてしまおうという話だ。そしていったんゼロからやり直そうと提案している(以前のSULに登録されていた人もそうでない人も、すべてをゼロクリアする)。

なぜそのようなことを提案するのかと言えば、変更前のSULに登録されていた人は、フォロワーをいわば荒稼ぎしているという考えがあるからだ。不当に多数のフォロワーを抱え込んでいるという主張だ。フェアかどうかはともかくとして、現在100万人以上のフォロワーを獲得している人は、ただSULに登録されていたからという理由で膨大なフォロワーを獲得しているケースが多い。フォロワー数なんて気にしてどうするのと思う人もいるだろうが、フォロワー数の多いTwitterアカウントでブログ記事の告知などを行うと一気に多数の人が訪問することとなる。旧SULにアカウントが掲載されていた他のブログ同様、TechCrunchもその恩恵を受けている。

先日の記事で記したように、新版のSULは旧版と大いに変わっている。掲載されるアカウントのフォロワー増加率が以前と比べて大いに低くなっているのだ。さらにリストに掲載されているアカウントで、フォロワー数を減らしているアカウントすらある。その記事にも書いた通り、新システムに移行した今、旧SULに掲載されていたアカウントはフォロワー数の面で誰にも追いつかれないところにいるようだ。それでフォロワー数をリセットしようというアイデアが出てくるというわけだ。

なかなか面白いアイデアだが実現は難しかろう。旧SULに掲載されていたアカウントのフォロワーをリセットしてしまうと、数ヶ月ないし数年間で築かれた関係をすべて無となってしまう。もちろん無となるのはSULの影響と関係なく築かれた関係も含まれてしまう。ある人々にとっては、それこそ公平だということになるのだろう。しかしそれを迷惑に感じる人も多いだろう。SULに掲載されていた人をフォローしていた人は、皆、再度フォローし直さなくてはならなくなる。全員のフォロワーをいったんゼロにリセットするというのは一層あり得ない考えだ。ネット上で構築された関係をリセットしてしまうのは、Twitterというサービス自体の存在意義を破壊するものともなる。TwitterだろうとFacebookだろうと、ソーシャルネットワークというものは利用者相互の関係構築があってこそ成り立っているサービスなのだ。Twitterが自分の存在意義をいったんクリアしてしまえば、サービスを使う意味もなくなってしまう。

落としどころはどこか?

ここまで記したように、現実的にはフォロワーのクリアなどあり得ない話だ。旧SULに登録されていたアカウント(@techcrunchも掲載されていた)が何百万ものフォロワーを維持し、それに誰もおいつけない(急速にフォロワー数を増やしつつある@billgatesなどは例外だ)という状況に不満を抱く人もいるだろう。しかし良い解決策というのもなかなか見つからない(Twitterがどうしてもやるというのなら方法はないでもないが)。しかしフォロワーのリセットを提案したSternが目的としていたことのひとつについては方法がないでもない。Sternは旧SULに効用でフォロワー数を膨れあがらせた利用者が、パブリシティ面で不当な利益を得ることができるのが問題だとしている。その問題を解決するには「フォロワー数」という概念自体をなくしてしまえば良い。これについてはずいぶん昔、4月の時点でも書いた。Twitterがフォロワー数を発表しないようにすれば、フォロワー数(多い人も少ない人も)を気にする理由の多くを占める虚栄心というものを排除することができるようになる。もちろんそれですべて解決というわけではない。頭の良いサードパーティーの開発者がTwitterのAPIを組み合わせてフォロワー数をチェックできるようにもするだろう。

Twitterも旧SULが理想にほど遠いものであったことは認識している。誰あろう共同創立者のEvan Williamsも昨年10月にSULを無くしたい旨、発言している。但しSULが一定の役割を果たしていることは忘れてはなるまい。SULがなければ、Twitterに参加したばかりの人は誰をフォローして良いのかわからなくなるだろう。何もわからず去っていってしまうかもしれない。統計データを見れば、SULがあっても去っていってしまう人もいるが、TwitterはSULの機能無しに今日に地位を築くことはできなかっただろう。昔から良く言われているではないか。知っている人が誰も使っていないサービスを、使う人などいないのだ。

つまり、Twitterが提供しうるソリューションとは、新SULの機能を充実させることしかないのだ。Twitterは、各種条件に従ってリストに掲載しているアカウントを頻繁に更新していると言っている。これに個々人に応じた提案機能を持たせてはどうだろう。最初にログインすると、カテゴリ毎に分けられたSULが表示される(今のSULはカテゴリ分けされている)。しかしツイートを公開している利用者については、個々人向けにフォローした方が良さそうな相手を提案できるのではないだろうか。また、Facebookで行われているように、相互関係に基づいて、共通の知人の知人をおすすめリストに加えるということもできるだろう(Facebookはこの機能のプロモーションも行っている。うまく機能しているというわけだろう)。

位置情報APIの提供も行っているので、ある時期に近くにいたという情報を元に、何か面白いおすすめ機能を実装することもできるだろう。位置情報を使うのはちょっとと躊躇うむきもあろうが、いずれにせよ位置情報の公開はオプトイン形式で行っているので、問題となることもないだろう。便利に感じるひともいるはずだ。

ちなみにいろいろな反対意見が出てくる前から、TwitterはSULのデメリットについても認識していたはずだ。結局のところTwitterは現在の数百万という利用者数を大幅に押し上げることを目的とした。Facebookに追いつき、そして追い越せという目標だ。そうした状況になれば、フォロワー数が百万というのもさほど珍しいことではなくなるだろう。旧SULで獲得したフォロワー数メリットというのも薄れるに違いない。現在のところは想像するだけの「もしも」だが、Twitterはこの方向で問題の解決を図ろうとしているのだと思う。

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[images: 20th Century Fox]

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(翻訳:Maeda, H)