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ニュース・アグレゲータ・サイトの本当の役割―非難するものは読者を忘れている

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まだよく覚えているが、インターネットが来るまでは私にとってニュースといえばSan Francisco Chronicle紙とCNNしかなかった。もしこのどちらかに報道されていなければ、そのニュースを私が知る機会はほとんどなかった。

しかしそういう時代は過去のものになった。

ところが大きな問題がある。伝統的なニュースメディアの運営者はほとんどが私より年寄りで、世界が決定的かつ不可逆に変わってしまったことを認めることができないでいる。現在、私は何十というテクノロジー関連のニュースソースから情報を得ている。こうした情報源でニュースを発見するのにはTwitterやFacebookのようなソーシャルメディア、Google NewsMemeorandumのようなニュース・アグレゲータが役立っている。もちろん、私にとって役に立つニュースの大半は電話とメールでもたらされる。

伝統メディアの運営者が変化を理解できないのはかまわない。連中が記事を有料化して囲い込んでくれるおかげで、無料で公開しているTechCrunchの記事への需要が高まるという面もあるからだ。人は人、自分は自分だ。私は彼らが崖から飛び降りたいなら止めるつもりは少しもない。有料化された記事は引用できないのでソーシャルな会話から切断されてしまう。さらにニュース・アグレゲータも排除されてしまう。 登録すれば一定回数は無料で閲覧できる場合でも、たいていのユーザーはそんな手間を嫌ってサイトを訪れない。

しかし、Mark Cubanがニュース・アグレゲータは悪だと言い出したのには少々驚いた。Cubanといえば時代の変化の波に乗った男だ。変化にとり残されている側に回るとは奇妙だ。

率直な物言いで議論を引き起こすことで知られる富豪、Mark Cubanは、水曜日、Googleその他のコンテンツ・アグレゲータを「タダ乗りというよりもっと悪い。吸血鬼という言葉が思い浮かぶ。つまり血を吸う奴らだ」と非難した。

自分のサイトに訪問者を送り込むという利益をもたらしてくれる相手を罵るとは理屈に合わない振る舞いだ。

繰り返し言う。誰かがサイトを訪問してくれたら、それはサイトにとって利益だ。逆ではない。

アグレゲータがサイトにリンクを張ってくれたら、それはトラフィックをもたらしてくれるのだから利益だ。逆ではない。

以前書いたとおり、 誰かがTechCrunchを“パクった” 記事を掲載し、リンクを戻してくれたら、われわれは大喜びだ。少なくともわれわれに対するトラフィックを増やす可能性があるからだ。

現在のジャーナリズムで問題なのは、人の記事をパクってリライトするだけで安上がりにすませながら、リンクも出典も記載しない連中が増えていることだ。有料化して壁を作ると、こういう連中は喜ぶ。パクったことが発見されにくくなるからだ。

読者のことを考えたことがあるのか?

しかしこうしたケチくさい内輪話はしばし脇に置いて、この記事の冒頭に戻ろう。アグレゲータに人気が出たのは、言うまでもなく読者が自分に興味のある記事を探すのに役立つからだ。つまり、インターネットの情報流通上、現実にきわめて重要な役割を果たしている。アグレゲータとソーシャルメディアがなければ、読者は仕方なくどこかの有料ニュースサイトを選んで金を払い、そのサイトに自分の知りたいニュースが漏れなく掲載されることを祈るしかない。

私としてはSan Francisco ChronicleとCNNしかなかった1993年には戻らされるのはまっぴらだ。あるニュースに人々が興味を抱けばクチコミであっという間に拡散し、誰も興味を抱かないニュースは自然に消えていくという現在の自由なインターネットが私には好ましい。興味あるニュースを探す手間が大いに効率化されるからだ。

Mark Cubanはこうしたメカニズムを知っており、賛成しているはずだ。それだけに私はアグレゲータをいきなり非難し始めたことが理解できない。Cubanが主張するように、ニュースサイトがアグレゲータを締め出したら、アグレゲータもニュースサイトも読者も損をする。誰一人得をするものはいない。初めから無料のニュースサイトは別だが。そして無料サイトは今後も決してなくなりはしない。

この記事も参照: Mark Cuban May Hate News Aggregators, But He Also Wants To Invest In Them〔未訳:Mark Cubanはアグレゲータに反対だというが、自分ではそうしたサイトに投資したがっている〕

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01