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Google Buzz―新サービスを焦って無理強いするのは禁物

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1週間前、GoogleはGoogle Buzzをスタートさせた。世界で1億7500万人のGmailユーザー(comScoreの統計)は大切な受信トレイに突然この騒々しい闖入者を迎えて驚くことになった。

Google Buzzチームにとっても 1億7500万人のGmailユーザーにとっても散々な1週間だった。

Googleは大混乱を収拾するために毎日のようにBuzzの仕様に手直しを加えている。が、それがこの記事の主なテーマではない。

この記事では、Googleが公開を焦るあまり、充分にテストしないでBuzzの本番運用を開始してしまったという問題についても深く論じるつもりはない。事態が落ち着けば、Google自身が、公開の過程のどこに問題があったのか、教訓は何かを語るだろう。実際、問題は大ありだった。Google自身もそのことは充分自覚している。とはいえ、時間がたてば騒ぎも終わるだろう(Facebookがインタフェースを変更するたびに大騒ぎが起きたが、すべて短時間で終わっている)。

それではこの記事で何が言いたいかというと、企業が新しい製品を既存の製品に無理やり押し込もうとする誘惑がいかに強いかという問題だ。新しいサービスを離陸させるのはどんな会社にとっても苦しい努力の連続になる。既存のサービスの一部として公開することによってユーザーに新製品を無理強いするほうがはるかに楽だ。しかし今まで私が見てきた例からいうと、ユーザーはサービスを無理強いされると必ずすぐに吐き出してしまう。

あるユーザーは「おとり商法」のようなものだと感じて反発する。あるユーザーは、要するに慣れたサービスに大きな変化が起きるのを好まない。そして大部分のユーザーはいったい何が起きたのか見当もつかなくて、腹を立てる。

たとえば―

2006年にAOLはDiggの脅威に対抗しようとして似たようなサービスを始めた。独立の新しいサービスとしてスタートさせる代わりに、Netscapeへのトラフィックを有無を言わさず新サービスにリダイレクトしてしまった。当時Netscape.comには月間8億ページビューがあった。実験は失敗に終り、2007年のAOLは新サービスを独立のサイトに分離し、Propeller.comドメインを作った。Netscape.comのユーザーの大部分はDiggなどに興味はなく、単に慣れ親しんだフォーマットでニュースを読みたいだけだった。

2008年にYahooもまたYahoo BuzzというDiggクローンを作った。これ自身はスタンドアローンのサービスだったが、Yahooはここで取り上げられた記事をYahoo.comのトップページに流し込んた。YahooBuzzはまだ存在する(さっき確かめてみた)が、あまり面白いサービスではないし、ユーザー参加も低調だ。この場合も、YahooのユーザーはDiggに興味がなかった。クローンを作ったからといってDiggのユーザーがYahooに鞍替えするということもありえない話だった。

2007年に公開されたFacebookのBeaconサービスもよい例だ。Facebookのユーザーは自分の名前や写真がソーシャル広告に利用されているのを発見して怒り狂った。訴訟が多発し、われわれも尻馬に乗ってエープリル・フール記事でFacebookを訴えると書いた。Beaconは今でもFacebookの歴史上最大の失敗と目されている。

もし誰かがBeaconと同じようなアイディアを思いついて、新しい会社を始めていたとすれば、即座に何千人ものユーザーが集まったことだろう。その場合には、参加者は自分が何に参加するか承知しているわけだから「不当に利用された」などという訴訟が起きたはずはない。

BuzzはGoogle版のBeaconになっている。カナダ人でさえ何か言っているくらいだ。

GoogleがBuzzを独立のアプリケーションとしていれば、はるかにうまいスタートが切れたはずだ。当初は「招待のみ」にしておけば、新しもの好きのアーリーアダプターは全員が参加を申込んだに違いない。数週間後におもむろにBuzzのストリームをGmailに流し込むオプションを公開すれば、ほとんどのユーザーはそのオプションを利用して「Googleはなんて気がきいているんだろう」と感謝したはずだ。クチコミで知って参加を求めるユーザーに徐々にサービスを拡大していけばよかったのだ。1年もたてば、数千万のユーザーが喜んでBuzzをGmailから使っていたはずだ。

しかし、Google版のソーシャル・ネットワークを今すぐ作りたいという誘惑があまりにも強すぎた。それがGoogleのやり過ぎの原因だ。他社はくれぐれも焦って新しいサービスをユーザーに無理強いすることのないよう、これを教訓とするとよいと思う。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01