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差別を解決するには、インド人の通った道をたどれ

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InfoWorldライターの身元詐称事件―他所で書かれる前に自分で書くのが賢明だ

女性とラテン系アメリカ人と黒人は、シリコンバレーのテク系企業で常に過少評価されてきた。Mercury Newsの最新の調査によると、2000年から2008年にかけて、シリコンバレーのテク系企業における女性比率は25.3%から23.8%、米国全体でも30%から27.4%へと減少している。2008年のシリコンバレー企業の黒人とラテン系の比率はそれぞれわずか1.5%と4.7%だった。これは全米の技術者人口における平均比率、7.1%と5.3%を大きく下回る。どうやら私が前回の記事で技術系女性の不足を問題にした時より事態は悪化しているようで、特にシリコンバレーで顕著である。しかも疎外されているのは女性だけではない。重要な少数民族もである。

シリコンバレーは故意にこの人たちを締め出しているのだろうか。そうは思わない。シリコンバレーは、紛れもなく能力主義社会である。この地では適者のみが生き残る。それは間違いなく本来の姿である。シリコンバレーのイノベーションシステムが最高の能力を発揮するためには、常に新しい技術が古い物を追いやり、世界最高の技術者たちが 常にシリコンバレーのエリートたるべく競って職を得るようでなければならない。そこに政府主導の優偶措置が入る余地はなく、テク系企業が必要とする人材を雇用することを詫びる必要もない。しかし、同時にシリコンバレーは、この地の競争力をさらに高めていたかもしれない大量のアメリカ人を無意識のうちに排除している可能性がある。誤った固定概念が、より大きな革新と成功の妨げになっているかもしれないのだ。

前回の記事で私が焦点を当てたデータを見てみよう。以前とは異なり、今や女子は数学の成績で男子に引けを取っていない。米国で高等教育に進む割合は女性140人に対して男性100人である。学士、修士取得者の半数以上が女性であり、博士号でも半数近い。女性が設立した企業の方が資本効率も収益も高く、失敗率は低い。にもかかわらず、技術系企業のCEOやCTOの地位では女性が稀少である。

この「見えない偏見」と差別を修正するにはどうすればよいか。私が話を聞いた専門家たちは、多くの優れたアイディアを持っていた。彼らの提案は、ロールモデルを作り助言者や資金を与え、起業家精神を教えることだという。Foundry GroupのBrad Feldは、両親や教師、仲間たちからの激励だけでも大きな違いを生むと言っている。Illuminate VenturesのCindy Padnosが提案してくれた解に、特に私は共感する。女性たちはインド人起業家(私と同じインドから移住者)たちが歩んだ道をたどるべきだというのだ。

30年前、シリコンバレーにインド出身ファウンダーの会社はなかったと言ってよい。カリフォルニア大学バークレー校のAnnaLee Saxenianの調査によると、1980~1998年に設立されたテク系企業の7%にインド出身のファウンダーがいたという。デューク大学の私の調査グループが行った調査結果を見ると、この比率が1995~2005年には15.5%に増加している。同グループはまた、この期間に米国全体のテク系および工学系企業の6.7%をインド人が設立したことを明らかにした。これは、2000年国勢調査で全米人口のわずか0.7%、シリコンバレーのハイテク労働人口のわずか6%がインド出身であったことを考えると、驚嘆に値する数字である。

私は個人的経験から、インド移民が安楽に暮らしてこなかったことを知っている。彼らは女性や黒人、ラテン系アメリカ人らと同様の固定概念に苦しめられてきた。かつて私は、共同設立したスタートアップを年間収益$120M(1億2000万ドル)の黒字会社とし、わずか5年で上場したにもかかわらず、Research Triangle Part(RTP)のVCたちは、次のスタートアップの準備が出来た私の電話に返答さえくれなかった。後にその理由がわかった。「同胞たち」は数学に秀で、すばらしいエンジニアになったが、優れたCEOにはなれなかったと ― 「私たち」には、必要な経営スキルがなく、ベンチャー資金を調達して株式が稀釈することを嫌っているので、厳しいアメリカ流ビジネスマネジメント文化には「適応」できない。これが、RTPのVCの一人がランチの席上私に言ったことで、彼の会社が私のビジネスプランの売り込みを聞かなかったことの説明だった。とても忙しいので会う相手を厳選する必要があったのだそうだ。

では「同胞たち」はどうやってこの無知と差別を越えて昇ることができたのか。シリコンバレーのインド人第一世代が、見えない壁を初めて打ち破るのに成功した時、彼らは自分たちの歩んだ道をたどる後続を手助けしようと決心した。みんなが同じ障害を乗り越えてきたことに気付いたのだ。そして、自分たちの経験を分かちあい、時には機会を与えることで、後に続く人たちの参入障壁を低くすることができたのである。

1992年、何人かの大成功したインド人経営幹部たちによって、The Undus Entrepreneurs(現在はTiE)というグループが結成された。彼らのミッションは、起業家精神を育成することによって社会還元することだった。月例のイベントを開催して起業家精神を教え、助言や支援を与える。そしてインド流のやり方で、起業家同志や投資家、経営者らとの引き合わせを行った。メンバーは2つのカテゴリーに分けられる。グル(師)と、一般メンバーである弟子だ。グルは時間と金を提供(年間$1500以上)する必要があり、個人で金銭的利益を得ることは許されない。弟子は成功を収めたら、創立メンバーとなり後続を手助けすることで還元することが求められる(注:TiEは社会全体を手助けすることを目標にしている。ただし女性の地位は未だに低い)。

現在私の研究プロジェクトの一つが、TiEの実績を明らかにして評価することである。しかしTiEが及ぼした影響はすでにわかっている。RTPのVCとのランチの後、私はTiEの共同ファウンダー、Kanwal Rekhiを一面識もなかったが訪れた。私の体験は彼や他のシリコンバレーの人々と変わらないと彼は言った。Rkhiは私に、別の地域に目を向けることと、白人男性を社長に迎えるよう助言をくれた。Tieの創立メンバーであるVinod Khoslaは、私にボストンのVCに会うよう薦め、何人かを紹介してくれた。二人のアドバイスに従ったところ、Greylock Partners(ボストン拠点)から条件規定書をもらうまでに長い時間はかからなかった。この話が出回ると、件のRTPのVCたちが出資させてくれと頼みに来た(私は彼らの申し出を断わった。そして成功した後私はTiE-Carolinasのファウンダー兼プレジデントとなり、週に5~7時間、どんなに忙しい時でも、新人起業家たちへの助言に費している)。

Anita Borg Institute for Women and Technologyのプレジデント、Telle Whitneyが、TiEの実績を高く評価し、そのやり方はネットワークを通じて変革を起こす恐るべき力を集結させた好例であると言っている。しかし、ネットワークといっても様々である。系統的な変革を実現し、さらに多くの女性や少数民族の起業家を増やすためには、企業のトップを巻き込む必要がある。先頭にたって助言や布教活動を行い、女性や少数派民族の起業家に投資するさまざまなモデルの例を示していく必要がある。何といっても、社内で女性の昇進の重要性についてCTO自身が語ることに勝るものはない。

私はTelleに同意する。RekhiもKhoslaも、私のことを全く知らなかったが、すぐにかけがいのない助言をくれた。これこそが、女性や黒人やラテン系アメリカ人にとって必要な助言だ。この人たちのために強力なネットワークを確立するだけでなく、トップ企業のCEOやCTOたちが挙って自らの時間を割き、自分たちの足跡を追う人たちを手助けする必要がある。それが必要なのは、これが多様化への最良の道であり、この多様化が企業を発展させるからである。そしてVCたちには、日頃彼らが目を向けない女性や少数派民族の助言者となってもらう必要がある。これは、社会貢献のためだけでなく、彼ら自身が生き残るためにも必要なのである。
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読者の参考になると思われる女性と少数民族のためのネットワークグループをいくつか挙げておく(他に知っているものがあれば、コメント欄で知らせてほしい)。

100 Black Men of Silicon Valley

Anita Borg Institute for Women and Technology

Astia

Forum for Women Entrepreneurs and Executives

National Center for Women & Information Technology

Silicon Valley Black Professionals

Silicon Valley Hispanic Professionals

Society of Hispanic Professional Engineers

Springboard Enterprises

The African Network

Women 2.0

Young Women Social Entrepreneurs

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編集部より:ゲストライターのVivek Wadhwaは起業家出身の学者である。現在UCバークレー客員教授、ハーバード法科大学院上級研究員、およびデューク大学常任理事を務める。Twitterでは@vwadhwaでフォローできる。】

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(翻訳:Nob Takahashi)