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コルベア・レポートがHuluから消える―ウェブビデオに制作者側での配信一元化の動き

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スタートした当初、Huluは「メディア業界によるYouTube対抗の切り札」という存在だった。テレビ局が制作した番組をこのサイトで一括オンライン公開することによって、広告収入をYouTubeに流すことなく、全額を参加各社が受け取るためのハブとなることがHuluの目的だった。期待にたがわず、NBC、Fox、ViacomのComedyCentralはたちまち膨大な視聴者を集めた。Huluは月間ビデオ再生回数10億回 を記録し、YouTubeに次ぐビデオサイトになった。.

Hulu自身にとっては大成功だったが、一部の参加メディア企業にとっては期待はずれの結果だったらしい。昨日(米国時間3/2)、Viacomは看板番組をHuluから降ろすことを決めた。Comedy CentralのThe Colbert Report〔コルベア・レポート〕とThe Daily Show With Jon Stewart〔ジョン・スチュワートのデイリーショー〕の2本だ。 いずれもNBC UniversalとNews Corpとの提携により制作されており、Huluでもっとも人気のある番組のひとつだった。Huluは2008年6月にViacomを説得してColbertThe Daily Show をHuluに参加させた。当時発足したてだったHuluにとってこれは非常に大きな意味があった。

通常のテレビ放送も同様だが、ウェブのビデオサイトのトラフィックはヒット作品によって決まる。Comedy Centralの番組はHuluの大ヒットとなり、Huluではブログ記事でViacomに降ろさないでくれと頼んでいた。しかしViacomはHuluにとってはこれらの番組は大いに必要だろうが、ViacomはそれほどHuluを必要としていないという結論に達した。番組を収めたビデオクリップは今後も無料のオンラインサイト、TheDailyShow.comColbertNationで見ることができる。Viacomはこれらのサイトにおけるすべての広告を独自の営業チャンネルから販売している。

つまりComedy Central自体はNews Corp.のマードックが主張するような「有料化の壁」の向こうに隠れてしまうわけではない。番組は依然として無料だし〔Huluと異なり日本からも視聴できる〕、ウェブサイトに自由にエンベッドして共有できる。ただしComedyCentral独自のごたごたデザインのビデオプレイヤーを使わねばならず、大量の広告も入る。人気番組を抱えている制作者はHuluやYouTubeを使わずとも視聴者を集めるのに不自由はしない。ViacomはHuluに相乗りしてストリーミングするより自前のサイトに取り戻して配信した方が儲かると計算したようだ。自前なら収入を全部自分の懐に入れられるのに、なぜHuluに分け前を取られ続けなければならないのか、と考えたのだろう。Andrew Barronがこの点について興味深い考察をしている。

言い換えれば、広告収入はHuluとComedy Centralの間で折半されることになる。Comedy CentralとしてはなぜHuluにそんな金を払わねばならないのかと感じていただろう。これほどの人気番組であればComedyCentralが自前で配信すればプレミアム付きの広告料を100%手にすることができる。それほど人気のない番組の場合、Huluが視聴者を集めてくれるのだから50%かあるいはそれ以上支払ってもいいと考える制作者もいるだろう。しかし人気番組の場合、制作者が配信を自前でコントロールしようとす動きは結局今後強まっていくだろうし、そうなれば最初に排除されるのはHuluのような中抜き業者だ。

あまり人気のない番組にとってはHuluは視聴者を集めてくれるので便利な存在だ。しかし人気番組の広告売上は巨額に上るので、それを折半することに対して制作者側の反感が募ることになる。この傾向が続けば、メディア企業側は自前のサイトを作って人気番組を次第にHuluから引き上げていくことになり、長期的には、Huluにとって大きな問題となる可能性がある。また一般視聴者も、HuluとYouTubeといった少数のサイトですべての番組を見ることができず、ColbertNation、TheDailyShow.com、HBO.com、CBS.comその他多数のサイト渡り歩かねばならないという不便が生ずる。

メディア企業側が番組のウェブ配信チャンネルを自前で一元化しようとするのは大金がからんでいるだけに押しとどめがたい。しかしこの集権化は一般視聴者にとってみれば訪問サイトの細分化であり、サードパーティー(たとえばSteve JobsやComcastのBrian Robertsなど)が再度ビデオ番組を一箇所で視聴できるプロジェクトを立ち上げるかもしれない。視聴者にとってはお気に入りの番組を見るためにいちいち別のサイトを訪問しなければならないのはわずらしいが、ビデオ広告のメカニズムから来る圧力に抗するのは誰にとっても難しそうだ。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01