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オブジェクトたちの秘密の物語―StickyBitsがバーコードをメッセージ・メディアに

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ありとあらゆる物や場所には秘密の過去がある。誰がそこに住んでいたのか、誰がその側を通りかかったのか、誰がそれに触れたのか。さまざまなオブジェクトにはこうした語られざる情報が隠されている。オブジェクトたちに口が利ければどんなに面白い物語が聞けることだろう。

物理的な現実のオブジェクトに物語を語らせるためにバーコード・ステッカーを利用するというのはどうだろう? さまざまなオブジェクトに貼ってあるステッカーにはメッセージを付加するのだ。内容は写真でもテキストでもビデオもボイスメモでもよい。メッセージを解読するにはカメラ携帯とバーコードのスキャン用アプリさえあればよい。

Stickybitsはまさにそういうアプリだ。ファウンダーはBilly ChasenChartbeatのオリジナルのプログラマー)とSeth Goldstein(SocialMediaのファウンダー、会長)の2人で、このほどロータスのファウンダー、Mitch KaporとPolaris Venture Partnersから $300,000のシード資金を調達したところだ。stickybitsは今週金曜からテキサス州オースティンで開催されるSXSWカンファレンスで公式ローンチされることになっている。ターゲットはiPhoneとAndroidの両方だ。このアプリはどんなバーコードでもスキャンでき、その現実のオブジェクトに対してメッセージを付加できる。

たとえばクリスマスカードなどのグリーティングカードに印刷されたバーコードをスキャンすると送り主からのビデオメッセージが再生される。医薬品の箱をスキャンすると中味についての詳しい情報が表示される。バーコード入りの名刺をスキャンするとLinkedInのページなど本人のプロフィールが表示される。美術館やテーマパークでは展示物の紹介や案内図を表示するのにも利用できるだろう。地域の小売店では在庫や配達の管理や、ショーウィンドウにデジタル・クーポンとして張り出し、通行人の興味を引いたりするのに使えるだろう。その他利用法はいくらでも考えられる。

このアプリ自体は無料だが、stickybitsではビニールの特製バーコード・ステッカー20枚を$10で販売する。 ユーザーは無料でデータをダウンロードして、バーコードを印刷することもできるし、さまざまな商品(コーラの缶でもよい)に貼られたバーコードをスキャンすることもできる。ここには別途のビジネスモデルの可能性がありそうだ。メーカーに製品のバーコードを登録させ、それに対するメッセージを一括して優先的に表示するサービスなどが考えられる。

それぞれのバーコードは最初にスキャンしたユーザーに編集の優先権が与えられ、写真、ビデオ、テキストによるメッセージが付加できる。次に誰か他のユーザーがそのバーコードをスキャンすると、前のユーザーの付加したメッセージがスマートフォン上で再生される。誰でも一つのバーコードに順次新しいメッセージを付加できる。こうして一つのバーコード(とそれが貼られたオブジェクト)に対してメッセージのストリームが作られていく。スキャンのたびに、その場所のジオタグも付加されるので、そのオブジェクトの移動過程も記録される。

このアプリでは、ユーザーは他のユーザーを「フォロー」してオブジェクト・ストリームをモニタすることができる。また時分がスキャンしたオブジェクトを誰かがさらにスキャンしたり、動かしたり、新たなメッセージを付加したりすると自動的に通知を受け取ることもできる。表示はストリーム形式と地図形式が切替られる。ログインはFacebookConnectを利用している。スキャン情報はFacebook、Twitter、 Foursquareに自動投稿するよう設定可能だ。Foursquareの場合は、バーコードをスキャンすると同時にFoursquareにチェックインする〔位置情報を投稿する〕よう設定することもdえきる。

このサービスがいささかSF的に思えるとすれば、それは人気SF作家のブルース・スターリング(Bruce Sterling)“Spimes”というコンセプト(後にShaping Thingsというエッセイ集にまとめられた)と共通する点が多いからだろう。

Spimesでいちばん重要なことは、現実の時空内で一定の場所を占めていることだ。 Spimesには物語が含まれている。データは記録され、整理され、検索され、そしていつでも物語を呼び起こすことができる。

Spimesはそれ自身のアイデテンティティーを持つ。文書による記録と両極端をなす。

SpimesはGoogleのように検索できる。それはさまざまな現実の対象を自動的に検索可能にするプロセスだ。

スターリングはSpimesはやがてすべてのオブジェクトに組み込まれるようになり、その原料や成分、所有者のリストなどの情報を語るようになるだろうと予言した。stickybitsのサービスはその方向への第一歩なのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01