Bill Campbell
Andy Grove

リーダーシップに関する覚書:お手本は、スティーブ・ジョブズ、、、、ウィリアム・キャンベル、そしてアンディー・グローヴ

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編集部注:ベンチャーキャピタリストが初期段階のスタートアップに投資する際、何に投資しているかといえば、その会社のファウンダー、あるいはアイディアの芽を本物の儲かるビジネスへと変えるために、数々の最も不可能な状況を従業員を率いて乗り越えるその能力に対してである。このゲスト寄稿で、ベンチャーキャピタル会社Andreessen HorowitzBen Horowitzは、彼と共同ファウンダーのMarc Andreessenがスタートアップに投資する際に求めるリーダーシップの特性について解説する。二人が投資した会社には、SkypeZyngaFactualRockMeltがある。HorowitzとAndreessenは投資パートナーになる前、Opswareを共同設立し、後にHPに$1.6B(16億ドル)で売却した。それ以前HorowitzはNetscapeの幹部を務めていた。

Andreessen Horowitzでは、ファウンダーが企業を経営することを推奨している。理由はたくさんある(今後のブログ記事の題材でもある)。このため私たちは、ファウンダー兼CEOに必要な特質について考えるために多大な時間を費している。ファウンダー兼CEOとして成功するために最も重要な特性は、おそらくリーダーシップである。では、リーダーシップとは何か、またCEOの仕事という脈絡の中で私たちはどうリーダーシップを捉えているのだろうか。優れたリーダーは生まれつきかそれとも作られるのか。

多くの人にとってリーダーシップの定義は、最高裁判官ポッター・スチュワートが言った有名なポルノの定義と同じだ。「見ればわかる」。

もっと良い定義はコリン・パウエル元国務長官による。「人々がどこへでも好奇心だけでついてくる時、その人はリーダーとして卓越の域に達している」。私たちの目的に合わせ、これを一般化してリーダーの質を測るものさしを作ることができる。その人についていきたいと思う人の数、質、多様性である。

では人はなぜリーダーを追いかけるのか。鍵になる特徴が3つあると私たちは考えている。

  • ビジョンを明確に示す能力
  • 目的に適した野心
  • ビジョンを実行する能力

順に考えてみよう。

ビジョンを明確に示す能力 ― スティーブ・ジョブスの特性

そのリーダーは、興味深く活力に満ち魅力的なビジョンの明確に示すことができるだろうか。重要なのは、何もかもうまくいかない状態でもこれができるかどうかだ。もっと具体的には、どの従業員にとってもその会社で働き続けることの客観的経済的意義がなくなった時でも、リーダーはみんなが疑問を持たずにいられるような魅力あるビジョンをはっきりと提示することができるだろうか。

ジョブズが明確なビジョンを持つリーダーとして、これまで成し遂げてきた最大の実績は、a) 会社が輝きを失ったずっと後までも、NeXTで数多くの超優秀な人たちが彼を追いかけ続けたこと、b)会社が倒産寸前の時に、Appleの従業員たちを彼にビジョンに引き込んだこと。これをたて続けに実行できるほど人を引きつけるリーダーは、他に考えられない。だから私たちはこれを、スティーブ・ジョブズの特性と呼ぶ。

正しい方向の野心 ― ビル・キャンベルの特性

Intelのファウンダー、アンディー・グローヴはある時、会社が目標を達成するためには、大きな野心持つ幹部が必要であることを指摘した。しかし、その幹部が「正しい方向の野心」、すなわち会社の成功のための野心を持っていることが決定的に重要だ。「誤った方向の野心」、すわらち自分自身の成功のための野心ではなく。

私たちの社会における最大の誤解の一つに、CEOになるための要件は自己中心的で冷酷で無神経であること、というのがある。真実は正反対でありその理由は明白だ。成功するCEOが最初にやるべきことは、自分のために働いてくれる優れた人たちを集めることだ。賢明な人は、人の心や感情に関心のない人の下で働きたいとは思わない。

これは殆どの人がこれまでの経験から知っていることだ。聡明で熱意があり働き者の経営者でも、その人のために働きたいと誰も思わなければ、得られる成果の低さは想像を絶する。

真に優れたリーダーは、CEOが自分のことよりも従業員のことを気にかけていると感じさせる雰囲気を作り出す。この種の環境の下では、驚くようなことが起きる。膨大な人数の従業員が、ここは自分たちの会社であると信じ、そのように行動する。会社が大きく成長するにつれ、そういう従業員たちが組織全体の品質管理を担うようになる。将来の従業員たち全員がそれに従って行動する基準を、彼らが設定するのである。こんな感じに。「そのデータシート、もっと何とかしてくれないと困るよ ― ぼくの会社をめちゃめちゃにする気かい」。

この特徴をビル・キャンベルの特性と名付けることにする。ビルは私の友人で、このことに関してこれまでに会った誰よりも長けている。ビルが経営したことのある数多い会社のどこでもいいから、そこで働いていた人と話してみてほしい。その会社のことを「私の組織」とか「私の会社」とか呼ぶはずだ。彼がリーダーシップのこの分野に関して信じられないほど強くあり続ける理由の大部分は、彼が全面的に頼れる人物だからである。ビルは従業員に報いるために、自分の財産も名声も栄誉も喜んで犠牲にする。この男と話していると、私や私が言うべきことを親身になって気にかけてくれていると感じるのだが、それは彼が実際気にかけているからだ。そしてそのすべてが彼の行動と結果に現れている。

ビジョンを遂行する能力 ― アンディー・グローブの特性

私たちのリーダーシップ3つの柱の最後は遂行能力、純粋にして単純だ。リーダーのビジョンを受け入れ、彼女が自分を気にかけていると信じられる時、私は彼女が実際にビジョンを遂行できると思っているだろうか。行きの地図も帰りの地図も持たずに彼女を追ってジャングルに入れるだろうか、彼女が自分を外へ連れ出してくれると信じられるだろうか。

私はこれを、アンディー・グローヴの特性と呼びたい。アンディー・グローヴは今後も常に私にとってCEO遂行能力のお手本である。彼は電気工学の博士号を持ち、私がこれまでに読んだ最高の経営書(High Output Management[邦訳『インテル経営の秘密』)を書き、休むことなく自らの技を磨き続けている。アンディーはすばらしい経営書を著すだけでなく、Intel社の在籍期間を通じて経営クラスを教えていた。

名著、Only the Paranoid Survive(邦訳『インテル戦略転換』)の中でグローヴは、彼がIntelをメモリー事業からマイクロプロセッサー事業へと劇的に転換させた時の物語を詳細に語っている。その間彼は、自身のほぼすべての収入に背を向けた。同氏は謙虚に、彼がやる前に戦略的結論に到達したことについて、社内の他の人たちに手柄を譲ったが、過渡期を通じて迅速かつ適切に会社を率いた功績についてはグローヴ博士が称えられるべきである。16年間続いている大規模な上場企業が主要事業を変更することに関しては、多くの疑問が投げかけられた。アンディーが、ある従業員との間で起きた出来事について書いている。

社員の一人が激しく私に食ってかかってこう言った、「あなたにはIntelがメモリー事業から手を引いたところが想像できるというのですか」私はごくりと唾を飲み込んで言った「その通り、できると思っています」。大騒ぎになった。

この過激な戦略は多くの優れた従業員にショックを与えることになったが、最後にはみんなアンディーを信じた。全くの新事業を核として自分たちの会社を作り直す彼を信じたのだ。実際その信頼は非常に厚いものだった。

では優れたリーダーは生まれつきなのか、それとも作られるのか。

特性一つずつについて見てみよう。

  • ビジョンを明確に示す ― 世の中には話のうまい人とそうでない人がいることは間違いない。しかし、集中と努力によって誰でもこの領域を著しく改善できることも、また確かである。あらゆるCEOは、リーダーシップのビジョン部門に力を注ぐべきである。
  • 利益の一致 ― ビル・キャンベルの特性を学ぶことが不可能なのかどうか私にはわからない。しかし教えることができないのは間違いない。3つの中でこれが次の条件を最も満たしている、「作られるものではなく生まれつくもの」。
  • ビジョンを遂行する能力 ― この特性は間違いなく作られるものである。アンディー・グローヴの伝説的ともいえる寛容度の低さはおそらくこれが理由だろう。能力の敵は時として自信なのである。CEOたるもの、自分のスキル改善を怠るほど自信を持つべきではない。

結局リーダーシップの特性の中には、改善しやすいものとそうでないものがあるが、CEOは誰でもこの3つすべてに取り組まなくてはならない。

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(翻訳:Nob Takahashi)