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eリーダーの未来を考える―超低価格のKoboに可能性はあるか?

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eリーダーに関心のある読者なら、しばらく前に私が書いたeリーダーのさまざまな機能の比較記事を覚えているかもしれない。お恥ずかしい次第だが、私は非常に重要なポイントを一つ忘れていた。超低価格だ。私はその点についてはごくおざなりにしか触れなかったが、もし$100かそれ以下の価格で基本的な機能を備えたeリーダーが登場してくると、現在とはかなり異なったマーケットが開けてくるはずだ。今回はこうした点について少し詳しく考えてみたい。

実はこの記事を書かねばならないと思い始めたきっかけは、Koboというeリーダーの登場だった。このデバイスは、スクリーンは6インチ、厚さは0.1インチ(2.5mm)、重さは0.5ポンド(225g)、価格は$150だ。現在市場に出ているeリーダーの中で最低価格帯の製品である。それでもKoboには独自のオンライン・ブックストアがある。ベストセラーや人気のある古典がひととおり用意されてている。おそらくeリーダー向けに提供されている書籍の9割は揃っているだろう。オンラインストアは大手書店チェーンのひとつBorders Bookstoreが運営する。価格も安いので、ユーザーにはこれも魅力だ。

しかしAndroidタッチスクリーンダブル・スクリーンなどのかっこよさが大々的に宣伝されている中で、Koboはそれらとくらべてだいぶしょぼく見えるのは否めない。しかもKoboが売れてメディアの注目を集めるようになったとしても、その頃にはさらに来年の画期的新製品の話題がもっと注目を集めているだろう。それでは最低限の機能しか備えていない超低価格eリーダーが生き残るためにはどうすればよいのか。

薄利多売だ。まず第一に、eリーダーというのは「損して元を取れ」的な製品だ。誰かが$150のリーダーを買ったとすると、そのユーザーは年に10冊から20冊の本や雑誌を買う。だからメーカーは原価を割っても製品の価格を思い切って下げるべきなのだ。SonyがPS3でこの手のミスを犯した。10年後を考えるなら、ローンチの時点で赤字が出るのを恐れるべきではなかった。誰もPS3を買わなければ、誰もゲームを買わない。eリーダーも同じことだ。デバイスが売れなければ本が売れない。

われわれはポッドキャストで、Alexリーダーなどが試みている出版社と提携してユーザーに定期購読させるビジネスモデルについて話し合った。私は、来るべきタブレット・デバイス戦争をeブックリーダーが生き延びる道は大量販売以外ないと思っている。そして大量に売るにはiPadやChromeタブレットなどに比べて十分なお買い得感が必要だ。たとえば、個人的にQueが気に入っているが、$650も出す消費者はごく少ないだろう。それよりずっと安くタブレット・コンピュータが買えるのだ。なるほど、タブレットはeリーダーができることがすべてできるわけではない。しかしiPadやデスクトップPCと同じウェブアプリが使えるChrome OSでフルカラーの雑誌や本を読もうとしている読者にそんなこと言ってみても無駄だろう。とにかく道はひとつしかない。値下げだ!

昨年いっぱい、eリーダーはまだ知名度が低く、望むほどのボリュームでは売れなかったが、販売者は比較的楽な商売ができた。競合商品のない独自のジャンルだったため、消費者は$350といわれればそのまま金を払った。他に選択肢がなかったからだ。今年は事情が違ってくる。iPadの登場はeリーダー業界に恐怖を与えている。Amazonはすでに保険をかけている

ではeリーダーは滅びる運命なのか? とんでもない。しかし1年後くらいには、eリーダーは「ニッチ商品」となることを覚悟しなければならない。タブレット・コンピュータの登場の興奮も落ち着き、一般ユーザーのライフスタイルに一定の場所を見出した後は、eリーダーにも別の場所が与えられるだろう。しかし、消費者がリーダーのために用意する金額はあまり大きなものにはなるまい。しかし印刷された教科書や講義ノートの紙コピーなどをKoboその他の超低価格デバイスがすっかり代替できれば、大学にとっては画期的な出来事になる。英文学専攻の学生には無料で古典100冊がプレインストールされたデバイスを用意するといいだろう。中学、高校向けには教師が内容を管理するロックされたKoboリーダーを配布すれば、生徒たちがどれだけ実際に読んだか、感動的な犬のお話なら、どこで感動したかまですっかり分かるわけだ。

真面目な話、Koboは最初に市場に登場した低価格モデルとして、その低価格性を最大限に生かすようなマーケティングをすべきだ。地区教育委員会や図書館や大学、政府機関に片っ端から売り込みをかければよいのだ。Kobo1台ごとに大変な紙の節約になる。もちろんマーケティングに巨額の資金をあてることは難しいだろう。売上が立っていないKoboにはそれだけの余裕がない。しかし適切なターゲットへの売り込みは非常に効果的だ。主要なスマートフォン用のアプリも揃っているので、均質的な組織、大企業や政府機関などに売り込むのにも適している。

要するに、Koboのような低価格リーダーのメーカーは当初は歯をくいしばってひたすら価格を下げる努力を続けるべきだ。何百万台の単位で売れるタブレットや他のリーダーと競って生き延びようとすれば、武器は価格しかない。Appleは現在、iPad、10台、$4970というセールスをしているが、学生全員にその値段でiPadを持たせようとしたら、どんな金
持ちの大学でも破産だ。しかしKoboがUCLAに「うちのデバイスなら$80ですよ」と売り込みをかけたら相当の成果が期待できるはずだ。もちろん教員の講義ノートをeブック化するなどには現地で相当の手間はかかるだろう。仮に大学を運営する州や市が興味を示さなかったとしても、学生相手に大幅割引で売り込むという手がある。

とにかく、1年後にeリーダーが生き延びていたければ、プレミアム・ブランドになりおおせているか(Kindle、nook等)、ボリューム・ディスカウントで大量販売に成功するか、いずれの道しかない。大量販売では、教育機関は当然第一に考えられるターゲットだが、AlexやKoboがやっているように、版元や大手書店と提携してカスタマイズされたデバイスを売るのも効果的だ。もちろん、一般ユーザーのeリーダーを通じた書籍購入のパターンはまだ明確になっていない。その点は今後に注目だが、少なくともKoboのような低価格デバイスの場合、努力すべき道筋は非常にはっきりしていると思う。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01