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Linux Foundationの常務理事Jim ZemlinにLinuxコミュニティの大変貌について聞く

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Linux Foundationがこのところ毎年行っているLinux Foundation Collaboration Summitの第四回が、今日(米国時間4/14)から始まる。この“サミット”は完全招待制の大会で、カーネルの中核デベロッパたちやディストリビューションのメンテナ、ISVたち、エンドユーザ、システムベンダ、そのほかのコミュニティリーダーたちが集まり、複数の全体セッションとワークグループ集会を通じてみんなが顔と顔をつきあわせ、Linuxが今日直面する重要な課題の解決に取り組む。IBM、Google、Hewlett Packardなど、Linuxのイベントの常連たちのほかに、NokiaやIntelなどMeeGoの推進派も今回は目立つ。議題には興味深い項目が並んでいるが、個人的にはこのサミットそのものがいくつかの疑問を呼び起こす。そこでLinux Foundationの常務理事Jim Zemlinに、サミットとLinuxの現状についてメールでインタビューした。

CG: Linuxはメジャーになり“商業化”が進んでいますが、それとともに、初期のLinuxの成功を支えたコミュニティの精神はどこへ行ったのでしょうか? 今はありとあらゆる組み込み用途にLinuxが使われていますが、オープンソースの開発コミュニティで活躍する人の数は減っています。活発なコミュニティを築きつつあるPogoPlugのような一部の例外を除いては、Linuxの使われ方の多くがGoogle型になっているようです。つまりもっぱら、何らかのサービスをホストする目的に使われ、各ユーザが行うカスタム化がオープンソース的に共有されることがありません。Meegoは、こんな状態をさらに推し進めるのでしょうか? AndroidやMeegoを採用した企業が、個々の企業よりも大きなオープンソースコミュニティに成果を還元していくことは、ありえないのでしょうか?

JIM: ある部分では、おっしゃることは正しい。デベロッパとユーザの比率が変わった。今では、かつてなかったほどに、たくさんの人たちがLinuxを使っている。しかしそれらの人たちにとってLinuxは、GPS装置やテレビや電話機などなどの中にある。彼らは、ずっと上流にはLinuxカーネルのデベロッパがいるなんてことを、知らない。でも、それはそれでかまわないのだ。

でも、ほかの部分では、あなたの見方はとても間違っている。われわれの調査“Who Writes Linux”(http://www.linuxfoundation.org/collaborate/publications, 2009年8月)によれば、Linuxに貢献する人たちもかつてないほど増えている。その増加率は年率10%ぐらいだが、ますます多くのデベロッパが、各リリースサイクルでカーネルに寄与貢献している。そして、カーネルに新たに加わるコードの量は毎年3倍ずつ増えている。だから、コミュニティの精神も、つねに、これまで以上に強力で活発だ。そしてそのことが、Linuxに多くの優位性を与えている。

MeeGoの開発方式も“上流優先”であり、Meegoに貢献され還元される変更が、優先的に今後のMeegoに反映される。そのためには、Meegoの各プロジェクトは自分たちが行った変更をソースコード付きで公開しなければならない。すなわちソースが、上流へと還元される。このことが、Meegoコミュニティの大きな利益だ。また、Linux本体など、それより上の上流部分もMeegoの開発から利益を得る。…という意味で、あくまでもMeegoは上流重視なのだ。Meegoの発足以来、何百人/年ぶんもの開発努力がLinux関連のプロジェクトに注ぎ込まれている。

大企業はオープンソースのコードを“非公開化”している、という神話が世間にはあるようだが、それは事実ではない。企業は、自分たちが行った良質な変更を、オープンソースに還元したいという動機を持つはずだ。なぜならそれを、自分たちだけでメンテナンスすることは、非常に高価につくからだ。つまり重要なのは、開発コストの共有化だ。自分たちだけで独自のフォーク(fork, 枝分かれ製品)をメンテするのは、高くつきすぎる。

CG: Linuxのユーザグループは、もう用なしでしょうか? Central Ohio Linux User Group(オハイオ州中部Linuxユーザグループ)は最近、月例集会をやめましたし、メーリングリストのトラフィックも減っています。Linuxが相当な安定に達すると、次のステップは何でしょう? 前のように、先輩たちにいろいろ質問…周辺装置の接続、サブシステムの調整、などなど…しなくなると、頼りになるコミュニティの必要性も薄れます。この点について、どう思われますか?

JIM: Linuxのユーザたちのつながり方は、10年前、あるいは5年前と比べても相当多様化している。その大きな理由は、ユーザ数が非常に増えているからだから、とても良いことだ。今でも何百もの活発なLinuxユーザグループが各地にあるが、一方でLinux.com(http://www.linux.com)のようなグローバルなところに加わる人も増えている*。ほかのこともそうだが、ここ数年でかなり変化が起きたようだ。でも、今でも各地のLinuxユーザグループは頼りにされているね。われわれLinux Foundationが世界各地で開くイベントは、いつも満席だ。今週のCollaboration Summitも、申し込みが殺到して、予定の数週間前に登録締め切りになってしまった。世界各地で講演などをしても、たくさんの人が集まるし、しかも年々増えている。それはもはや、昔のような、小さな趣味的集団ではない。Linux人口が減っている地域は、私の知るかぎりないね。〔*: ネット上のグローバルなLinux関連サイトと、ディストリビューションごとのコミュニティが、今はいちばん人が集まっているようです。〕

CG: われわれCrunchGearの読者に、Collaboration Summitについてとくにおっしゃりたいことはありますか? スケジュールを見たでけでは分からないこととか、とくに強調しておきたいデータなどは?

JIM: Collaboration Summitは特別なイベントで、Linuxのインサイダーたちが毎年集まって来年の優先課題を決めるのだ。今年で4回目だが、参加者全員が、これだけは毎年絶対に出席するイベントだと言ってくれるから、主催者側としてはありがたい。

キーノート(基調講演)はNokia、Intel、IBM、Google、Oracleほか、多くの企業や人物が担当する。また、MeeGoプラットホームに今後貢献寄与する新しい企業も数社発表する。このことを強調したいのは、Linuxは今モバイルデバイス上でいちばん急速に伸びているOSだからだ。Androidの伸びは業界全体の伸びを上回っているし(それは先週のComScoreの数字)、Meegoにも今後多様な計算機デバイスで採用される可能性がある。今後の市場性が大きいから、アプリケーションデベロッパの多くが今はこういったプラットホームに集まりつつある。

私のキーノートState of Linux(Linuxの現状)も含めてキーノートを聞きたい人は、ここで無料のライブビデオストリームを見られる: http://events.linuxfoundation.org/events/collaboration-summit/live-video-streaming。完全招待制だからこれまでビデオ中継はやらなかったが、これからは多くの人に見てもらえる。


今とても多忙なのに、質問に答えてくれたJimに感謝します。Meegoに関心のある人や、グローバルなLinuxコミュニティの最新の姿を知りたい人は、、Linux Foundation Collaboration Summitのライブストリームをぜひ見てください。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))