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[jp]日本のソーシャルアプリはFacebookで成功する? Ameba Pico100万人から見えてくるもの

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[jp] ソーシャルの力で「あたりまえ」を教えてくれる。nanapiは新時代のライフハックサイトだ。

Ameba Pico

少し前の話になってしまうが、サイバーエージェントの米国法人CyberAgent Americaが運営するFacebook上のアバターコミュニティサービス「Ameba Pico」のユーザーが100万人を突破した。Ameba Picoは日本でサイバーエージェントが展開しているコミュニティーサービス、アメーバピグの英語版だ。

SNS上のアプリあるいはゲームについては、国内ではmixiがそのプラットフォームをオープン化したのを皮切りに、モバゲータウン、グリー(間もなくオープン化予定)がそれに追随し、サードパーティーとしてアプリを提供するソーシャルアプリケーションプロバイダー(略してSAPと言うらしい)が生まれているのはよく知られているところだ。

だが、Facebook上でアプリを提供する国内の企業は少ない。これにはいくつか理由があるのだろうが——たとえばFacebookの主要原語の英語でサービスを作るのが難しいとか——大きくはマネタイズあるいは投資回収の難しさにあるようだ。

モバゲータウンを見ると、ソーシャルアプリ(ゲーム)の月あたりの売上は——一説によれば20億円以上と言われる「怪盗ロワイヤル」はプラットフォーム提供者であるDeNA自身によるゲームであるので論外だとしても——サードパーティー制のもので1億円程度のものも出てきているという。

多くのSAPにとって1つのゲームで月に1億円も売り上げるのはそんなに容易なことではない。が、それでもFacebookで同様にある程度の売上を作るよりも、難しくはないのかもしれない。なぜなら、モバゲータウンを始めとして日本ではソーシャルアプリに対する高い課金率があるからだ。

たとえば、モバゲータウンの人気ソーシャルアプリのタイトルでは、月のアクティブな利用者数(Monthly Active User, MAU)の5〜10パーセントが、平均で1,500円から3,000円程度使うのだという。100万人の登録者がいるゲームでその半分がMAUだとして、課金率10パーセント、平均利用額が2,000円だとするとざっと1億円程度売り上がる感じだ。

ソーシャルアプリと同様に月額でのアイテム課金を採用するアメーバピグはMAUの10パーセントが、平均で1,000円程度を使うという。アメーバピグの登録ユーザー400万のうち半分がアクティブな利用者(MAU)だとすると、月にして2億円程度の売上となる計算になるが、(数字はあくまでも想像だが)これはあながち遠くない数字だと予想される。

一方で、Facebook上のアプリケーションの課金率はよくてMAUの2パーセント程度、悪ければ1パーセントを切ると言われている。CyberAgent America CEOの難波俊充氏によれば、Ameba Picoの課金率も数パーセント、ただし、課金利用者の月額の平均利用額はさほど低くなく、円換算で700〜800円程度なのだという。この言葉から、登録ユーザーが100万人でMAUがその半分程度だとすると、よくても月に1,000万円程度の売り上げ(これも勝手な想像の数字なことに注意)ということになる。

もちろん、これでもいい数字なのかもしれない。しかし現実には、Facebookではユーザー獲得のための広告費もかかるし、当然ながらアプリケーションの開発費もかかる。サイバーエージェント専務取締役の西條晋一氏はAmeba Pico会員獲得にはPicoを開始して2カ月半の間に数千万円の広告費を使ったという。またそもそもアメーバピグには何億円もの開発費がかかっているし、その資産を流用したとはいえAmebaPicoにも相当の開発費がかかっている。日本のSAPが参入するモバイル向けのアプリケーションとは違って、PC向けのアプリケーションは開発費が高くつくという問題もある。

日本のSAPが海外に出て行かない理由は、こういったFacebookの投資回収の悪さにあるのだろう。小さなスタートアップ企業がおいそれとは手を出せないとも言える。

が、しかしだ。それでもFacebook上でアプリケーションを提供する意味はある。「やってみなければわからない」とは西條氏の弁だが、たとえば、マーケットの幅広さを理解するのには役に立つ。Facebook上で英語で提供するAmebaPicoだが、実際の利用者は、英語圏が1位だが、2位はフィリピン、3位はインドネシアということだ。

この経験をもとに、フィリピンやインドネシアに現地向けサービスとして提供すれば、まだ開拓されていない市場を大きく手中に収められる可能性がある。「英語圏のサービスをリトマス試験紙として、独自のマーケットを開拓できる。フィリピンやインドネシアの国民的サービスとなれば、その市場は大きい」(西條氏)

また、世の中の表面に出ている数字の乖離も、実際にやってみないと気がつかないという。Ameba Picoは5月下旬に登録者数が100万人を超えたが、その時点でFacebook上に表示されていた月間アクティブユーザーは150万人とかけ離れていた。こういった乖離した数字の一人歩きが日本からの参入を尻込みさせているのではないかと西條氏は指摘する。たとえば、Facebook最大のSAPであるZyngaの人気ゲームもFacebook上に表示されるほどには月間アクティブユーザーはいないのではないかとも同氏は指摘する。

いまは湧く日本のソーシャルアプリ市場も飽和に向かう。いずれ広告合戦でしかユーザーの獲得が難しくなってくる。多くのSAPもやがては市場開拓のために海外に出ざるを得ない。そのとき、Facebook(あるいはスマートフォン)というプラットフォームはさけては通れなくなる。Ameba Picoはその試金石となるだろう。

サイバーエージェントでは同社のグループで提供しているNinja TrickTinier MeなどのほかのFacebook上のサービスも近日中に登録者数は100万となるという。日本で人気のプーペガールも新たにFacebook上のアプリとして提供する計画だという。

DeNAもFacebook上に怪盗ロワイヤルの英語版Bandit Nationを提供するなど日本国内のソーシャルアプリのプレイヤーも海外進出ににわかに動き出している。ケータイで湧く日本のソーシャルアプリのパワーがガラパゴスで終わらないためにも、多くの企業がチャレンジするのを見守りたい。

Ameba Pico Screenshot