iPadは世界を変えるのか? 米国パブリッシャー、大いに語る

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iPadのメリットについて何度も議論を重ねてきた(Arringtonによる「予想以上」という記事や、Kindleに勝つ10の理由を挙げた記事、そして包括的なレビュー記事など)。Appleの「魔法」のデバイスはマスマーケットにどれほどのインパクトをもたらすだろうか。問題はiPadがタブレット市場のリーダーとなるかということではない。iPadが第二のiPodになるのかどうかということが問題なのだ。iPadがiPodほどの爆発的広まりを見せるのであれば、パブリッシャー側はどのようなデジタル化戦略を強いられることになるのだろうか。

先週ニューヨークで行われたBig Money UntetheredというカンファレンスにてDonald GrahamWashington Post CEO)、Carolyn Reidy(Simon Schuster CEO)、Vivian Schiller(NPR CEO)、およびSarah Chubb(Conde Nast Digital プレジデント)等、パブリッシング界の著名人が集まって対応方針や急速に拡大しつつあるタブレット市場の今後について議論を行った(Forrester Researchによると、2015年までにタブレットの利用台数は5900万台に達するとのこと)。パネリストには「iPadがすべてを変えるのか」ということと、「ビジネスはどのように変わっていくのか」という質問を投げた。上に掲載したビデオはその質問に対する回答を収録したものだ。

回答の抜粋を以下にも掲載しておこう。

Vivian Schiller, CEO, NPR

革新的デバイスであることに異論はないでしょう。iPadは現在のところもっとも普及して知名度の高いタブレットです。他のメーカーもさまざまなスタイルでタブレット市場に参入してくるでしょう。タブレットのもたらすスタイルは非常にエキサイティングです。

私たち自身のビジネスに関しては、iPadの形態や画面サイズなどに最適化してアプリケーションを作りました。おかげさまでiPadの出荷台数が200万台とされる中、350,000回もダウンロードして頂きました。6分の1の人がアプリケーションをインストールしてくださっているわけです。

とてもiPadの未来に対して否定的な見解は持ち得ませんね。

Carolyn Reidy, CEO Simon & Schuster

まさに業界に新風を巻き込んだデバイスと言うことができるでしょう。文字とビデオを統合して提供できる環境を初めて実現しました。また子供向けのデジタルブックも簡単に作ることができるようになりました。アプリケーションをわざわざ組まなくてもビデオと書籍を統合して提供できるようになりました。数十万も売れるアプリケーションであっても、読者の方にアプリケーションを使っていただくのはなかなか難しい現状があるのです。

Jacob Weisberg, Chairman, The Slate Group

現代についての歴史が書かれるならば、既に多くの点でiPadに凌駕されてしまっているとはいえ、ブレイクスルーを生んだのはKindleということになるでしょう。ポスト・グーテンベルクの時代を切りひらき、印刷された書籍が必ずしも読者にとってベストではないことを示したのはKindleの功績です。

iPadというのは非常によくできたおもちゃに例えられるのではないでしょうか。誰もが欲しがりますが、果たして必要なものだと言うことはできるでしょうか。短期的にみればiPadが市場を席巻することに間違いはないでしょう。ただ長期的な視点で見たとき、iPadの隆盛が続くのかどうかは少々疑問です。Appleというのは同じ過ちを何度も繰り返してきたと言うこともできるのではないでしょうか。すなわちクローズドシステムの方向を選択しがちな企業なわけです。Appleはインターネットの世界に存在する混乱を嫌うが故の選択だと言いますが、実はその混乱こそがインターネットを構成しているものだと見ることもできるわけです。

Sarah Chubb, President, Conde Nast Digital

iPadのおかげでモバイルウェブやコンテンツ消費についての消費者の意識が変わってきています。これが故にiPadは革新的なデバイスであると言うことができるでしょう。

つまり私たちにとってはiPad自身が革新的だというわけではないのです。消費者が従来とは異なる視点を持つようになり、そこからさらに新たなスタイルを生み出している点が新しいわけです。今からほんの1年後には非常に多くのものが変化を遂げているのを目にすることになるでしょう。

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(翻訳:Maeda, H)