バカ正直であれ:四十路に邪魔されないために

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3月で40歳になった。たいして気にならなかったし、コンバーチブルのスポーツカーを買うなどという中年の危機に関わる計画もない。こうした年齢の節目は、殆どの男性にとって一部の女性ほどには意味を持たない。しかも私の成熟度は平均的ティーンエージャー並みだ。

しかし、一つ気付いたのは、ある種のクレイージーなスタートアップのアイディアに対して私の懐疑心が増してきたことだ。5年前にTechCrunchを始めた時、私は会社を立ち上げようとするどの起業家に対しても、熱烈な興味を持っていた。会社を立ち上げることは、米国においてさえ精神的苦痛であることを、経験から知っていた。自分を叩こうとする評論家が必ず何人もいる。起業家に必要なものは、「チャンスはある」と言ってくれる何人かのバカ正直な人だけ、ということもある。それが、明日を戦うために必要な精神的励みを与えてくれるのだ。

私は常にそういう男であり、どんな状況のスタートアップでもポジティブな面を探した。仮に失敗したとしても、最高の職業訓練を体験できるのである。Paul Grahamがこのことを端的に語っている。「つまり、矛盾するようだが、自分がスタートアップを立ち上げるには未経験すぎると思ったなら、やりなさい。それが、未経験者にとって普通の仕事よりもはるかに効果的な治療法だ。むしろ、普通の仕事に就くことが、会社を立ち上げる能力を低くすることもある。仕事にはオフィスが必要で、どんなソフトウェアを書くべきかを知るにはプロダクトマネージャーが必要である、と考えるような飼い慣らされた動物へとあなたを変えてしまうからだ。」

多くの成功した起業家が40歳以上だとする証拠らしきものがある。私はこれを信じていない。というより、統計的にみて40歳以上が設立したスタートアップの方が、20歳が設立した会社よりも、財務的に「有利」である可能性が高いということかもしれない。しかし、本当に破壊的なものは、ほぼすべて若すぎる故に成功の見込みがないと気付かなった連中が作っている。だから向こう見ずに突っ走り、そして成功する。

われわれの文化を形成した会社 ― Microsoft、Apple、Yahoo、Google、Facebook等 ― は、ほぼすべてが寮の一室で始まった。これらは、長期的に影響力を持つ会社である。

あるスタートアップを見た時に、以前同じ問題を解こうとして失敗したスタートアップを10社思い起こすことはあまりにも簡単だ。じっさい、殆どのスタートアップがごく初期段階では、一種ダメに見えるのだが、それはもし明らかに成功そうだったら、既に誰かが飛びついているはずだからということが多い。前にも書いた通り、信じるためにはバカ正直である必要がある。

経験で身に付ける知恵は、非常に価値ある資産のようにみえる。自分はみんなが聞くべきアドバイスを持っていると考え、すごいアイディアはあるが成功までにどんなひどい障害が待ち助けているか見当もつかない若者に、恩着せがましく薄ら笑いを見せる。

時々私は、熱心で純心な若い起業家から新しいアイディアを提示されるのを見ると、頭の中に懐疑心が湧き起こってくる。これは比較的最近のことなのだが、癌のごとく撲滅したいと思っている。

私の世界には、その手のナンセンスが入り込む余地がない。誰かに向かって「世界を変えることはできない」などと誰が言えようか。戦え、と言いたい。そして失敗した時には、私が元気付けて、もう一度馬に乗れとか、何か故事を使って再挑戦するように言おう。君はいずれきちんと成し遂げるのだ、このスタートアップかもしれないし、別の会社かもしれないが。

というわけで、私が年相応に行動し始めたところを見かけたら、どうか指摘してほしい。私は自分が40歳であることを全く気にしていない ― 年を重ね何が本当に大切かをわかるようになれば、人生はまちがいなく良くなる。しかし、スタートアップを見るときは、25歳だった頃と同じ熱烈で純心な期待をもって接したい。たとえ80歳になろうとも。

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(翻訳:Nob Takahashi)