Amazon CEO Jeff BezosがiPadについて: Kindleが使える多くの機種の一つにすぎない
AmazonがKindleの価格を259ドルから189ドルに下げて、電子ブックにおけるトップの座を死守する決意を表明し、そのきっかけとして競争相手のBarnes & NobleがeリーダーNookを199ドルに値下げしたその日の翌日、AmazonのCEO Jeff BezosがFortuneのJP Mangalindanと同席して、相当おもしろいインタビューに応じた。
Bezosの話題の一つがiPadだった。このAppleのタブレットコンピュータは驚異的な売れ行きで、Amazonの成長部門であるeブックとeリーダー事業にとって明らかに脅威となっている(脅威はAmazonだけではなくeブック/eリーダー全体に対してという説もある)。
Appleによると、iPadはすでに合衆国のeブック市場の22%を獲得し、iPadのオーナーたちはiBookストアの開店後65日だけでも500万冊近い本をダウンロードした。
でもBezosは、それほどすごいとは思ってないようだ。
以下は、インタビューのかんじんの部分だ(全文をお読みになることをおすすめする):
Fortune: もちろん、Kindleの値下げはBarnes & NobleのNookの値下げがきっかけだったと思いますが、iPadの急伸も影響してますか?
Bezos: いや。iPad、というか、ああゆうタブレット型の製品は、これからどんどん出てくるよ。Kindleとは製品の種類が違うね。Kindleはあくまでも、本を読む人たちのための製品だ。
Fortune: 今のところは、確実に消費者をつかんでおられる。昨年の電子ブックの全売上の80%がAmazonでした。どうして、あれほど急成長したのでしょうか? 御社の対応は、十分でしたか?
Bezos: うちの社内でも、Kindleの発売がわずか30か月前だったことを、思い出せない人が多いよ。もっと前からあるみたいだ。
うちの電子書店のやり方は、’一度買えばどこでも読める’主義だ。iPhoneでも、Blackberryでも、どこでも自分の本を読めるようにしたい。PCでも、Macintoshでも、iPadでも。iPhoneでも、そしてKindleでもね。
彼の言葉に嘘はない。誰が見ても、そのやり方で通しているのだから。
今ではAndroid用のKindleリーダーアプリケーションがある。iPhone、iPad、iPod touch、BlackBerryの一部のバージョン、デスクトップクライアントがあるPCとMac…これらのKindleアプリケーションには新たにビデオとオーディオのサポートもある。もちろん、同社の製品であるKindleにも…それはBezosによれば”数百万台”売れたそうだ。
さらに、Amazonのeブックは今や62万冊もある。合衆国の最大手出版社6社のうち5社と提携しているAppleよりも、相当に多い。
しかも、Bezosの言うとおり、あと数か月か数年で、いろんなタブレット機が出回り、それらもまた、AmazonがKindleリーダーアプリケーションで対応するプラットホームの増加に寄与するだろう(Forrester Researchによると、2015年には5900万台のタブレット機が使われているそうだ)。
でも、だからといって、iPadを製品種類が違うで片付けてよいものか?
クロスプラットホーム(複数機種横断)でeブックを売る戦略はともかく、KindleでAmazonはハードウェアビジネスに参入したのだ。そこでは、値下げが必ずしも有効な手段ではない。iPadには、最新バージョンのKindleにもできないことが、たくさんできる。しかも次世代のiPadも、すでに確実に準備中だ。
ZDnetのAdrian Kingsley-Hughesが、うまい書き方をしている:
Kindle(とNook)の問題は、持ち芸が一つしかないポニーであることだ。芸が一つしかなくても、ほかのポニーたちが無芸なら人気者になれる。でも、多芸なポニーが増えたら、一芸しかないポニーは急速に人気を失う。
たぶんAmazonの問題は、iPadがKindleの同類でなく、Bezosの言うとおり違う種類の製品であること、では?
(画像出典 TechCN)
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))