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[jp]クラウドソーシングで手書き帳票をテキストデータ化する取り組みをリアルワールドとCSKが実現

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『クラウド』のロゴ

誰もができるちょっとした作業をわずかな対価でクラウド(crowd:雲ではなく「群集」のほうね)にやってもらうAmazon Mechanical Turkは、クラウドソーシングとして革新的だった。日本でも同様のサービスをリアルワールドがスタートさせて1年半ほど経過している。

リアルワールドのクラウドソーシング『クラウド』は、簡単な「テキスト入力」や(これも一種のテキスト入力だが)ウェブサイトから調べた店舗などの情報を入力する「データベース制作」、単純な画像の加工や口コミ情報の書き込み内容のチェックなどを数万人いるという『クラウド』ユーザーが作業してくれるというもの。まさにMechanical Turkのようなサービスなわけだが、少し違うのは実際の金銭ではなく、リアルワールドが発行するポイントで報酬が支払われるところ。

というのも、リアルワールドはポイントを貯めたり現金や他のポイントなどに交換できる、いわゆるポイントサイトを運営してきているからだ。同社が発行するポイントを利用するユーザーはすでに250万人を数え、そんなポイント大好きなユーザーのためのSNSサイトまで立ち上げている。これがまたすごいのが、FacebookやmixiよろしくこのSNS上でソーシャルゲームまで提供しているのだ――。

とまぁ、それはさて置き、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)でこの『クラウド』を実際に利用するとどうなるか。たとえば、手書きで入力された帳票類(申込書のようなものを想像しよう)をデジタルデータ化する。そんな業務はBPOで実際に行われているごくありふれたものだが、リアルワールドはBPOを手掛けるCSKグループのCSKサービスウェアとの業務提携でこれをクラウドソーシングによって実現した(サービス名はevelink)。

具体的にはこうだ――。もともとCSKサービスウェアでは帳票類のデータ入力作業を企業から請け負っているが、こういった作業を中国を含む4000人の社員などで行っていた。だが、帳票類は個人情報や機密情報を含む場合がある。このため、帳票を個人情報などがわからないようにバラバラに画像データとして分解し(たとえば、名前の部分だけとか、メールアドレスはユーザー名とドメイン名を分離するとか)、この画像データをもとに作業者にテキストデータを入力させていた。

この最後の「画像データからテキストデータの入力」の作業部分を、リアルワールドの『クラウド』にソーシングで任せてしまおうというのが業務提携の内容になる。現実には、CSKサービスウェア側からみると、自社で構築してきた社内の体制とリアルワールドの『クラウド』を組み合わせて、依頼のあった企業のニーズ(突発的な大量の発注や納期の短縮)に対応していく構えだ。

リアルワールドによれば、『クラウド』による作業をトータルで見ると、中国などで一括して作業するよりもコストが2、3割削減できるのだという。作業の品質は高く、99.993パーセントの精度を保てるとも付け加える。日本語の手書き入力の判読は日本人が見てテキストデータ化したほうが間違いが少ないことに起因しているのだろう。

また、作業時間としては1つのテキスト入力作業(たとえば名前を入力するとか)を1チップと数えると10万チップが2、3時間で終了する計算だそうだ(1チップあたりの作業内容の整合性は3人の入力で保証している)。

一方で、この『クラウド』側で作業を行う人の報酬額を見積もると一人当たり時給換算で数百円から1,000円程度。決して高いとはいえないが、ちょっとした空いた時間でできるのであれば、それはそれで悪くないのかもしれない。

特徴としてはざっとこんなところだろうか。

コンピュータが判読不可能な文字列の画像をテキストデータ化していく作業をクラウドソーシングで実現するのは、今回のケースがもちろん始めてではない。グーグルが買収したreCAPTCHAでもずいぶんと前から行っている(これはこれで面白いこころみなんだが)。ただ、BPOの場面で、しかも国内で実現したリアルワールドの例は大変興味深い。同社では今後、この仕組みを海外まで展開していきたいとしている。