起業家諸君:君たちはスティーブ・ジョブズではない、だから跳ぶ前に見よ

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Steve Jobsが、Appleユーザーにどんなタイプの製品が欲しいか聞いたり、彼らが何を必要としているかを気にしたことがあるとは思えない。Jobsは、音楽が聞けてウェブを見られる携帯電話を作れば、欲求必要の両方を満たせると信じていた。彼は正しかった。iPhoneは業界を変え、ミニ・テクノロジー革命を起こした。

私の知っている起業家の殆どが、Jobsのようになれるつもりでいる。顧客が何を欲し何を必要としているかを ― 顧客以上に ― 知っていると思っている。あるいは映画のフィールド・オブ・ドリームスのように、「作れば、みんなついてくる」と信じている。しかし、現実世界ではそうはいかない。テクノロジー系スタートアップの大多数が失敗するのは、誰もその製品を買いも使いもしないからだ。

戦略コンサルタントのSramana Mitraはこの失敗を「乳児起業家死亡」と呼んでいる。彼女によると、これまでアドバイスしてきた何百という会社で、失敗の原因として圧倒的に多かったのが顧客検証の欠如だという。スタートアップのグル、Eric Riesは、発生期のスタートアップにとって顧客の「有効な学習」は、収益よりも重要であると言っている。収益は、それ自身ではビジネスの牽引力にならない。検証、立証済みの製品があってこそ、顧客は買う準備が整い、販売して利益を上げることが可能となり、ビジネスに成功するために必要な要素が揃うのである。

顧客が何を買うか(あるいは無料ウェブテクノロジーを作っているなら、何を使うためにユーザーが時間と努力を費やすのか)はどうすればわかるか。残念ながらこれは簡単に聞けることではない。顧客は自分たちの問題が何かを知っている。何が好きかも知っている。そして、何が必要ないかも知っている。しかし、彼らが本当に欲しいものを、あなたが独自に作れることを彼らは知らない。これはあなたがが見つけなければいけないことだ。まず、顧客の問題が何であるかから始めよう。経験と想像力を使って答えを考えだす。それを潜在顧客に対して、彼らに理解できるかたちで伝える。これは反復プロセスだ。

跳ぶ前に見るスタートアップの最たる例が、Campfire Labsだ。このスタートアップは製品のプロトタイプ作りに14ヵ月かけている。まだ製品開発さら始めていない。もしかしたらCampfireは一度も離陸できないかもしれないが、軌道に乗った時にZyngaやFacebookのようになる可能性は平均以上だ。ちなみにこの会社、これまでに少なくとも3つの人生を生きてきた(ただし幸運にも苦しい死を3回経験することはなかった)。Campfireは、元Yahoo!検索技術担当者のNaveen Koorakulaと、元YouTube海外戦略および製品責任者のSakina Arsiwalaの2人によって設立された。彼らのゴールは人々がオンラインで協働するやり方を変えることだ ― 協業の意義を高め、さまざまな作業環境(職場、自宅、学校等)に適応すること。

NaveenとSakinaは、まずパーソナライズされたニュース/メディアサイトのプロトタイプを作り、友人たちと共有した。しかし、技術系の友だちはアルゴリズムを喜んでくれたが、他の人たちは製品の目的を理解するのに頭を悩ませた。続いて彼らは、コンテンツ共有、関心グラフその他の技術概念を実験した。製品のアイディアが浮かぶと、さまざまな分野のスペシャリストである友人たちに頼んで一緒にブレーンストーミングをした。何か手応えを感じたら、街頭や近所のショッピングモールで手当り次題に人と話した。大学のキャンパスに出かけては、学生たちと何分か話すためにスムージーやソフトドリンクを買ってやった。ユーザーの反応を注意深く観察し、行間を読み、ユーザーが本当に言いたいことを理解しようと努めた。そこで学習したことを次の反復に取り込んだ。

最後に私がNaveenとSakinaに会った時、2人はまだ新しいアイディアを試し続けていた。しかし、ユーザーたちが是非とも使いたくなる製品へと徐々に近づいているようだった。

Steve Jobsに戻ろう。はたして本当に彼は、次から次へとあっと驚くテクノロジーを作り上げるための秘密の力や、神から授かった先見を持っているのだろうか。そうではないと思う。私の予想では、彼の秘密の研究室には、何百というアイディアを開発してはテストしているチームがいくつもある。その中で最高のものだけを実装する。Jobsは失敗作を捨てることを恐れず、もし何かにピンと来れば、暴君のように支配してそれを実現させる。Eric Riesが私に賛同して、Jobsのようになるための、5段階のプロセスを処方してくれた

  1. チームを高い水準に保て。ビジョンに合わない製品に妥協するな。反復、反復また反復。
  2. 規律を守ってビジョンを追求せよ。市場の大きい製品を選べ。
  3. 顧客の頭の中にあるものを発見せよ。デザインが差別化要因になる問題に立ち向かえ。
  4. 扱う商品の種類は最小限に留めよ。実験に必要なリソースを確保しておけ。
  5. 自分の製品がうまくいかないと気付いたら、やり直せ(方針を変えろ)。

編集部より:ゲストライターのVivek Wadhwaは起業家出身の学者である。現在UCバークレー客員教授、ハーバード法科大学院上級研究員、およびデューク大学起業・研究商用化センター研究担当ディレクターを務める。Twitterでは@vwadhwaでフォローできる。】

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(翻訳:Nob Takahashi)