iPhone 「アンテナゲート」を冷静に検証する―全面リコールには発展せず

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iPhone 4のアンテナ問題はメディアのとてつもない関心を集めている。Apple版地獄の黙示録かと思うほどだ。今回の報道はわれわれIT系ブログが仲間内で問題を議論するのとはスケールが違う。マスコミが大ニュースとして取り上げているのだ。KeithOlbermannがホストを務める昨夜のCountdownニューストップの話題だったくらいだ。地方局も軒並み全米でこの話題を取り上げていた。実際私が喫茶店でたまたま隣に座った連中が熱心にこの話を語り合っていた。喫茶店の一般人の会話ですよ。いやはや。

ここらで少し頭を冷やして、問題の全体像をつかむ努力をするべきではなかろうか。

アンテナ問題は現実に存在する

(略)

ソフトウェアでは解決しない

(略)

無料のバンパーケース配布はあり得る

第3に、Appleの純正バンパーケースを取り付けると問題は完全に解決する。この事実もアンテナ感度の低下が〔ソフトウェアのバグなどではなく〕人間の指がアンテナの間隙をアースするせいだということを裏付ける証拠だろう。繰り返すが、これはハードウェアのデザイン上の問題であってソフトウェアの問題ではない。ケースを装着すれば左隅を持っても普通に通話ができる。私は何台かのハードウェアを10箇所以上でテストして確認した。

そこで私はAppleは最終的にはバンパーケースを希望者に無料で配布することになると予想している。これは製品をリコールする(その可能性については次の項で検討する)に比べて比較にならないほど安上がりだ。現在このケースには馬鹿げて高い値札($29)がついている。せめてAppleはこれを必要とするユーザーに配布すべきだろう。

似たようなケースとしてNintendo Wiiの初期の事例が思い浮かぶ。多くのユーザーが「リモコンを誤って放り投げてしまった」と苦情を言い始めた。やがてNintendoは投げ飛ばし防止のためにリストバンドを希望者に無料で配布した。最終的にはグリップを滑りにくいゴムにした。私はAppleもこうしたプロセスを経るのではないかと予想している。

一部のユーザーだけの問題ではない

(略)

全面(トータル)リコールはないだろう

私は全面リコールは行われないだろうと予想している。一部では全面リコールは必至という声も上がっているが、それは希望的観測にすぎないと思う。

全面リコールにどれほど膨大なコストがかかるか、少しでも考えてみればわかるはずだ。Appleは何百万台ものハンドセットを回収するだけでなく、その後、欠陥を是正するために製造過程に大幅な変更を加えねばならない。そうした改修を行っているためiPhone4のホワイト版が遅れているのだという観測も出ているが、私はそうではないと思う。

Appleにとって全面リコールはあくまで最後の手段だ。Appleが全面リコールに踏み切らざるを得ないとしたら、大量のユーザーがiPhone 4を返品し始めた場合だろう。しかしあらゆる兆候から判断してそういうことが起きていないのは確実だ。リリースからすでに数週間過ぎているが、私の知る限り、返品したユーザーはほんのわずかだ。いや、そんなことはないオレは返品したというユーザーがいたらコメント欄に書き込んで欲しい。しかしやはりそうしたユーザーが多数いるとは信じられない。

Appleが認めようと認めまいと(実際は認めていないわけだが)、設計の際にアンテナの間隙の位置を間違ったことは確かだ。上辺でも下辺でもよかっただろうし、側面であっても上部ならよかったのだ。通常そういう場所に指はかけない。Appleは来年のバージョンでは間違いなく修正してくるだろう(もしVerizon版が噂どおり実現するなら多分それも修正されたモデルになるだろう)。しかしAppleは来年iPhone 5が出荷されるまで、あらゆる手段を尽くしてトータル・リコールという自体を避けようと努力するはずだ。

ユーザーは持ち方を変えるべきか

問題は現実に存在し、かといってリコールも行われないとなると、すでにiPhoneを購入した数百万人のユーザーはどうしたらよいのだろう? (略)

最初にこの問題が報じられたとき、AppleのCEO、Steve Jobsは「持ち方が悪い」と言ったとして、(当然だが)大いに物議をかもした。バンパーケースを使いたくないユーザー(やはりこのケースも美しいデザインを多少損なう)は、やはり持つ位置を少々上にずらして問題の箇所に手が触れないようにするではないだろうか。これも一つの方法である。

そうすべきだと言っているのではない。もちろんそうではないが、やはり一部のユーザーはこのオプションを採用するだろう。なんといっても一番簡単で自然な解決策だ。PR上の観点からすると、SteveJobsがこの分かりきった解決策を自分からわざわざ口にしたのは大失敗だった。

iPhoneのセールスへの全体的影響は?

テクノロジー・ブログの世界ではAppleが失敗したとうニュースは別に珍しいものではない。特にこの数年、Appleの存在が拡大するのに応じてネガティブなニュースも増えていた。しかしそうしたネガティブなニュースはテクノロジー・ブログ内に留まって、一般消費者ににまで知られることはほとんどなかった。消費者は喜んでApple製品を記録的なペースで購入していた。その意味で今回の欠陥報道は、内容が事実であると同時にマスコミに取り上げられた初めての欠陥ニュースといってよいだろう。

この点、Appleの立場には危険性がある。喫茶店で私の隣に座った誰かがこの問題を仲間に解説していた。ニュースは表に出てしまい、しかも急速に広がっている。

そうは言っても、人々は一方で文句を言いながら、一方ではiPhone 4に殺到している。返品するユーザーはほとんどいない。それどころか「持ち方を変えて」まで喜んで使っている。しかし大局的に見てAppleにとっての重要な問題は、このニュースがiPhoneのこれからの売
行きに影響を与えるか否かだ。

しかし、もし私がこれについても予想しなければならないなら、iPhone 4の大成功に賭ける。そもそもオリジナルのiPhoneはそれほど優れた携帯ではなかった(AppleのせいかもしれないしAT&Tのせいかもしれないが)。しかしそれでも何百万人ものユーザーがメインの携帯として使い始めた。現在、iPhone4は間違いなく最高のモバイル・デバイスだ(「買うのを控えろ」と勧めたConsumer Reportsでさえ、最高ランクの評価を与えている)。ジャガーノートのようなAppleのマーケティングの歩みを止めるものはないように思える。.

われわれはいつも冗談半分に誰が何のファンボーイだと言い合っている。しかしちょっと立ち止まって真面目に考えて欲しい。もしユーザーが使えないような製品を作ったら、どんな会社の製品だろうと、誰も使いはしない。返品されるだろうし、誰も買わないだろう。Appleだろうと他の会社だろうと同じことだ。そこまで行けばブランドには関係ない。

しかし今回の欠陥はそうした致命的な問題ではない。私はここ数週間、iPhone 4をメインの携帯として不自由なく使っている(テストのためにわざと問題が起きるように仕向けたとき以外)。私は毎日このデバイスを使っているし、今後も使い続けるだろう。それが現実だ。

欠陥が存在するのは完全に事実だ。しかし結局、大半の消費者はこれを深刻な問題とは受け取らないだろう。ただAppleはバンパーケースを無料で配布する必要は絶対にある。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01