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HP、Android版タブレットの開発を中止―Slateの本命はやはりPalmのWebOSだった

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HPはAndroid版、Windows 7版、webOS版のタブレット・コンピュータの開発を行っていた。そう、3種類のプラットフォームで同時に開発を始めていたのだ。Android版は2010年の後半にリリースされるというスケジュールまで決められていた。しかし Windows 7版の中止に続いて、Android版も中止されたという。

HPにとってはおそらく賢明な選択だろう。HPがSlateと呼ばれるタブレット・デバイスについて3種類同時に開発を開始したこと自体はそれほど不思議ではない。どのバージョンが市場に適しているかを見定めるのが目的だったはずだ。3種類全部を製品化するつもりは最初からなかったと思われる。そしてSlateに最適なOSはWindows7でもなくAndroidでもなく、やはりwebOSと判断されたわけだ。

HPがWindows 7版Slateの開発を中止したのは数週間前だ。利点、欠点とりまぜてWindowsをフルにサポートしたタブレットを欲しがるユーザーはごく少数だ。ほとんどのユーザーは最初からタッチスクリーンによる操作を前提とした快適なUIとハードウェアの効率的利用が可能なOSを望んでいる。となればAndroidかwebOSだ。Wilson RothmanはブログでWindows 7がタブレットに向かない決定的な4つの理由を列挙している(異議があれば私でなくRothmanの方へどうぞ)。

HPは現在タブレット市場で異例に優位な地位を占めている。つまりまだ一つも製品を発表していないのにiPad以外では最大の注目を集めているのだ。HPは拙速にiPadクローンを出荷するという道を取らず、時間をかけて独自の製品づくりに取り組むという王道を歩んでいる。そしてさらには優秀なwebOSプラットフォームをタブレットで利用できるようにするするためにPalmを$1B(10億ドル)以上で買収した。

Androidタブレットは売れない。AndroidがタブレットのOSに適していると思い込んでいるメーカーが多いが、実は違う。AndroidはすばらしいスマートフォンOSだが、Androidを利用した優秀なタブレットは一つも生まれていない。最大の問題はAndroid Marketplaceのアプリのほとんどがタブレットでは作動しないことだ。結局、ユーザーはハードウェアのメーカーがプレインストールしたアプリしか利用できない。物珍しさが薄れるにしたがって、新しいアプリが入手困難だという欠点が大きくクローズアップされることになる。iPadのユーザーには無縁な問題だ。

この点、WebOSは違う。スライド式キーボードを含め、インタフェースはスマートフォンとタブレットを一体化してサポートしている。ウェブのブラウジングでもWebOSはAndroidよりやや優っている。そしてさらに重要な点は、PalmとWebOS自体を傘下に有するため、HPには優秀なWebOS版アプリを大量に開発する能力があることだ。

ただし、webOS版のSlateにも現在Android版タブレットにつきまとっている問題が起きるだろう。HPはAppleにならってSlateのローンチ以前にwebOSのデベロッパー向けイベントを開催する必要がある。HPはデベロッパーにwebOS向けのアプリを開発する必要があると納得させなければならない―Palmはこの点で大失敗した。

アプリの問題ではWindows 7ファンは大威張りできる。Windowsタブレットの場合、アプリの種類が少なくて困ることはない。Windowsをフルにサポートするデバイスなら何万というアプリが即座に利用可能だ。それは確かだが、一方でタッチスクリーン・インタフェースを念頭に置いて開発された既存のWindowsアプリは事実上ゼロだ。すべてキーボードとマウス、大型スクリーンを前提としている。Windows 7はタッチスクリーンのサポートを改善したといわれるが、タッチスクリーン専用OSのユーザー体験とは到底比べものにならない。 どんなに理屈をこねようとWindows 7は小さなタッチスクリーン向けのOSではない。

HPはSlateがメディアの注目の的になっていることに感謝すべきだろう。Appleの場合を除いて、リリース前の製品がこれほど話題になるのは珍しい。多くの消費者がHPがiPadのライバルをリリースすることを大いに期待している。しかしSlateはいわゆる「iPadキラー」であってはならない。Slateは単なるiPadのクローンではなく、本質的に独自の製品であることが必要だ。SlateはiPadという巨大なライバルから市場シェアを奪うというきわめて困難な課題に挑戦しなければならないが、そのために重要なことは、安易にAppleの後追いをするのではなく、革新的な製品を開発することにってタブレット市場に本当の競争を持ち込むことだろう。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01