Androidが中国で大躍進する理由―影響は世界に及ぶ

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編集部注:この記事はRichard Yuのゲスト寄稿。Yuは以前TechCrunchで中国のソーシャルネットワーク事情を紹介する記事を共同執筆している。Yuはシアトル出身で、現在上海でSpil Gamesのオンライン戦略およびwww.game.com.cnを含めてアジア地区の事業の責任者となっている。.

Androidは世界最大のモバイル市場である中国で支配的な地位を固めつつあるようだ。ハードウェアの劇的な価格低下と膨大な国内ユーザーに支えられたアプリ市場の拡大はAndroidを急速に携帯電話のトップに押上げつつある。このことは最終的には世界のモバイル・インターネットの構造にも大きな影響を与えずにはおかないだろう。

いくつかの事実:

– 中国におけるモバイル・インターネットのユーザー数(2010年1月): 2億3300万人
– 中国におけるモバイル・インターネットのユーザー数(2014年・予測): 9億5700万人
アメリカ + EUの人口(2010):約8億人

しかし中国政府はGoogleと公然と激しく対立していたのではなかった? 今年1月、Googleが政府当局による検索エンジンへの検閲問題から中国での事業を停止したとき、アナリストもユーザーもこれが中国におけるGoogleの死を意味するものと考えた。その後6月にはAndroidMarketplaceとGmailも2日間にわたって謎のブロックを受けた。Androidのセールスポイントは、最近めきめき改善されてきたUIを別にして、検索やMarketplace、マップ、Gmailなど多数のGoogleのサービスとの連携である。こうした重要なサービスとの連携が得られなければAndroidの魅力は半減する。「公式」市場シェアで30%を占めるNokiaはもちろん、iPhoneにもとうてい太刀打ちできないはずだ。

ところが、中国政府にはAndroidとGoogleを排除したいという明らかな意図があるもかかわらず、一方で政府の承認を受けたAndroid携帯が市場に登場している。最初の例は、国営キャリア、中国移動通信(ChinaMobile)から発売されたOphone OSだ。中国のIT企業の顔ともいうべきLenovoの助けを受け、 さらに中国移動通信が売上の50%を徴収するアプリケーション・ストアを始めとする国内市場向け関連サービスの後押しでOphoneは躍進を開始している。またMotorolaも中国最大の検索エンジン、百度を既定の検索エンジンとし、別の国営キャリア、中国聯合通信と提携して中国版Android携帯を開発している。

Androidに対して中国のデベロッパーがやモバイル・キャリアが独自のメールやアプリ市場など代替サービスを提供するようになって、GmailやMarketplaceなどGoogleのサービスを利用しなければならないという厄介な問題が回避された。国内で開発された独自サービスは政府にとって不都合な情報の流通を制限することができると同時に、Googleから広告やアプリケーションの販売による収入を奪うという効果もある。その結果、急成長中の中国モバイル市場に、政府公認の国内専用プラットフォームが新しく生まれることとなった。

言うまでもないが、現在中国のモバイル市場で販売されているデバイスの大半は海賊版や密輸品だ。そのため政府が発表する「公式」統計の数字は実態から相当に乖離したものとなっている。本物のiPhoneやAndroidが香港から密輸され、全国の闇市場で高額のプレミアつきで売られている。海賊版はMediatekのチップセットとWindowsMobileかSymbianのOSを利用して製品が低価格のせいで依然人気を集めている。Mediatekは中国の携帯の85%にチップセットを提供しているという推計もある。 こうした携帯はWi-Fi/GPRS/Edge接続、3.2インチ・タッチスクリーン付きで$60以下で販売されている。

さらにいくつかの事実:

– 中国での本物のiPhone 4の価格:$1,285
– 中国での偽物のiPhone 4、“HiPhone”の価格:$100
– 中国での偽物のNokia E71(インターネット接続あり)の価格: $14

こうした国内市場に大きな影響を与えそうなのがMediatekの新しいAndroidチップセットだ。この新製品は今年後半に市場に出る予定といわれている。ムーアの法則はモバイル・デバイスにも当てはまる。中国版Android 2.2+携帯が$100以下で買えるようになれば、闇市場の$600のiPhoneは一部富裕層向けにニッチ製品にならざるをえない。iPhoneは名目的には政府の承認を得ているものの、政府が承認した正規品たるやWi-Fi機能を外されているので使い物にならない。さらに中国のデベロッパーにとって、中国のユーザーに魅力あるインターネット・アプリケーションを開発する上で、AndroidがiPhoneと異なり、Flashをサポートする点も大きなメリットとなっている。

Androidのユーザー体験が急速に改善され、タブレット版を含めさまざまなバラエティーの機種が市場に登場するにつれて、現在優勢なNokiaや海賊版Windows携帯は次第に競争から脱落していくだろう。

しばらくは政府の規制や粗雑な実装が中国にお
るAndroidの成長を妨げる要因となるかもしれない。しかしAndoidが近く中国市場を支配することになるのは明らかだ。OEMメーカーもキャリヤも、7億3900万人の国内モバイル・ユーザー向けに低価格でインターネット接続機能のあるデバイスを提供しようとすすれば、柔軟性が高く、Flashをサポートしており、しかも無料のAndroidプラットフォームを選ぶに決まっている。競争力のないライバルは消えていくことになるだろう。

中国ではわずか$3/月で3G接続を提供するキャリヤが現れている。Androidという強力なプラットフォームが中国の膨大なユーザーのインターネットでの音楽や写真やゲームの利用の仕方を形づくることになる。中国のモバイル市場がある臨界点を迎えれば、その影響が全世界に及ぶことは必然的だ。Appleを含め、ライバルはそれぞれの閉鎖的な環境の見直しを迫られることになるだろう。

(画像:MobilePhones

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01