[jp]ウノウのZyngaによる買収は日本のスタートアップの新しいロールモデルになるか

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ソーシャルゲームの巨人Zyngaにウノウが買収されたことが正式に発表された。昨日の日経新聞電子版の報道を受けて正式発表前にSerkan Totoが報じているが、この買収の話は彼のつぶやきにあるように、この2カ月はソーシャルゲーム業界の公然とした話題となっていた。やっと正式なものとなったわけだが、この買収について思うことを少し書いてみたい。

ご存知のとおり、ライブドアショック以降、スタートアップ企業に対する風評が悪くなって風当たりがひどくなり、新興市場も年々、上場の審査が厳しくなった。さらには米国に端を発する金融破綻によって、スタートアップを取り巻く環境は大変なことになっていたように思う。特にIPOだけ見れば、ここ数年は件数も激減している。

そういう状況下であっても、米国ではグーグルやアップル、今回のZyngaやたくさんの企業が精力的にスタートアップ企業を買収し、買収する側にとっても、買収される側にとっても一応の成功を見ていたような気がする(もちろん個別に見れば失敗ということもあるのかもしれないが)。

スタートアップ企業の場合、いったん外部から資金を資本として調達したとしたら――一般にはベンチャーキャピタルからの調達ということになるのだが――投資家へのリターンのために、なんらかの出口を見つけなければならない。となると、成長に応じてどこかの時点でIPOか株式を売却することを考えなければならなくなる。

IPOという選択ができればそれはそれでいいのだが、米国では先のように大きな会社が、スタートアップ企業が持つ技術や人材を取り入れることで自身も成長し、スタートアップ企業も出口を得ることで、起業家にとってもベンチャーキャピタルにとってもいい結果を生んでいる。

けれど、日本ではなかなかそうはいかない。IPOが難しくなったいま、いい買収が成立するかといえば、たしかにかつてはライブドアや楽天のような企業が買収してそれなりにいい時代もあったが、そうではなくなった。また、日本型の大企業は救済で子会社を吸収したり、切り売りすることはあっても、成長のために新領域の企業を買収するというケースはほぼ稀である。

そういう行き詰まり感のある中で、海外の成長企業に日本のスタートアップであるウノウが買収されたというのは非常にいい結果をもたらすのではないだろうか。

今回の契約内容は特には発表されていないが、ウノウ株とZynga株との株式交換、あるいは株式交換と現金での支払いでなされたと予想されるが、起業家にとってもベンチャーキャピタルにとっても、ある一定のバリューを得たものと予想される。Zynga株は確かに未公開株ではあるが、ウノウのステークホルダーからすれば1つの出口に到達したということになるのだろう。

こうやって、日本のスタートアップが海外企業による買収によって、出口を見つけられるのだとしたら、後続の起業家あるいはベンチャーキャピタルも次のフェーズを想像しやすくなるのかもしれない。

もちろん、過去にそういう買収がなかったわけではないが、ことソーシャルゲームの領域はまだまだこういったことが起こりそうだ。理由はいくつかあるのだが、日本はまだ成長市場であり、大きな利益をあげている会社がスタートアップ企業の中にもいくつかあり、さらには勝ち負けがまだ決まっておらず、Zynga以外にも海外市場を開拓するPlayfishなどソーシャルゲームの企業が買収を含めて日本にリサーチしに来ているからだ。

閉塞していた日本のスタートアップ環境も少しづつ好転してきている。これを牽引している1つがソーシャルゲームなのだが、それ以外にもたとえばフラッシュマーケティング領域でも本家Grouponが日本に視察に来ているといウワサもあった。Grouponも自体がサービスを日本でサービスを開始するというウワサもあるが、日本の企業の買収なんてこともあるのかもしれない。

確かに外資による買収というイメージは一般にはよく思われないのかもしれない。ただ、ウノウの代表取締役の山田進太郎氏もブログで書いているが「世界で使われるインターネットサービスを創る」ために起業している彼からすれば、今回の買収によってそれを実現できる近道を得たのかもしれない。

山田進太郎氏のブログには次のように書かれている。

シリコンバレーのトップクラスのインターネットベンチャーに加わり、世界最高峰の人材と交わることで、世界のやり方を学び日本市場で確固たるポジションを築くと共に成長し、逆に日本の最先端のモバイルの知見を世界に紹介していくよい機会だとも考えました。

日本の起業家としてこういった選択をしたのは、新しい1つのスタートアップ企業のロールモデルになるのかもしれない。また、海外にこういった形で活路を見出すのは、スタートアップを取り巻く環境としていい流れなのだろう。

山田氏は先ごろ発表のあったZyngaとソフトバンクの合弁企業ジンガジャパンの主要メンバーとして事業を継続していくとしている。