Appleが近距離無線通信(NFC)を今テストしている–iPhone 5に搭載か

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先週末、AppleがBenjamin Vigierを雇ったことが報道された。彼は近距離無線通信(near field communication(NFC))のエキスパートで、この技術は俗に、”非接触支払い(contactless payments)”とも呼ばれている。この重要な雇用は、Appleが同社の小額支払いフランチャイズにNFCを導入し、モバイルコマースの新しい方式により、従来的なPOSのあり方を覆(くつがえ)すという、Appleの強い意志表明だろう。

Appleがモバイルペイメント(mobile payments, 移動体支払い)とそのための認証を、ネイティブでサポートしたいと考えていることは明らかだ。すでに関連特許を大量に持っているし、1億に達するiTunesのアカウントのクレジットカード情報もあるわけだから、Appleにとってそれはごく簡単な取り組みだ。

しかし、Appleがこの技術を導入するもっと明白な兆候もある。一部の情報筋によると、Appleは、NXP Semiconductorのハードウェアを使ってNFC対応iPhoneのプロトタイプをすでに作り、モバイルペイメントのテストをしているという(NXPはNFCのマーケットリーダーで、Goldman Sachsが最近同社のIPOを手がけた)。

すでにプロトタイプがあるからには、iPhone 5(名前はAppleが決めるがなにしろ次のiPhone)にはほぼ確実にNFCが含まれるだろう。Nokiaは2011年以降のスマートフォンの全機種に搭載する予定だし、NXPは最近、Androidベースの参考プラットホームとオープンソースの支払いシステム用SDKを発表した。

しかし近距離無線の魅力的な使い方は、商業にとどまらない。Appleが、Apple TVやMacBookにおけるデバイス同士の高速データ伝送にNFCの利用を考えていることは、明らかだ。たとえばiPhone 5で今撮ったばかりの写真を、iTVにすぐに送れる、しかもデバイスをほんの数秒近づけるだけでいい、という状況を想像してみよう。

というより、Appleの特許が声高に語っているのは、同社の戦略としての”ハードウェアによるネットワーク効果”だから、NFCの導入によってiPhone 5が売れるだけでなく、iPhoneのユーザがiTVを買うきっかけにもなる。また、その逆もある。NFCをめぐるこういう戦略は、まさに、FaceTimeがiPhone 4のセールスポイントになった経緯を思い起こさせる。

FaceTimeは、両方がiPhone 4を持っていないと使えないから、新規のiPhone 4ユーザを増やすだけでなく、既存のiPhoneユーザのアップグレードも誘う。だから近距離無線通信の導入でも、同社ならではのクリエイティブなアプリケーションにより、複数の製品間の、NFCの相互利用と、それによる売上のシナジー効果をAppleはねらうはずだ。

近距離無線通信がiAdと統合化されたら、それはAppleにとってもう一つの金鉱になる。広告やクーポン、景品提供などを、その人が今どこにいるかで区別して出せるようになる。Shopkickが最近発表した計画も、(特殊なWiFiシステムを使って)ローカルな広告宣伝などを提供するものだ。しかしNFCなら、標準的な非接触方式を商業者は利用でき、消費者に訴求できる。Appleも当然、その市場をねらっている。

情報筋は、Appleが今NXPのNFCチップセットをテスト中だと言っているが、しかしAppleは、Broadcomの技術を選ぶ可能性が高い。Broadcomは現在、iPhone 4にWiFiとGPSを提供しているが、最近NFC企業を買収したから、今後Appleには、これらの機能がすべて統合化されたマルチファンクションのチップセットを提供していくだろう。

AppleがiPhone 5にNFCを搭載することは、ほぼ確実だが、周辺的なコンポーネントが確定するのはまだまだ先だ。iPhone 5は、デバイス確認試験(device verification test, DVT)や試作品生産すらまだ行われていない。そして最終的には、Appleが数百万のCDMAチップセットを発注していることが示すように、Verizon対応のiPhoneも登場するのだ。

いずれにしてもiPhone 5は、モバイルコマースの新境地を開拓し、また近距離無線通信の新しいアプリケーションを数多く提供していくだろう。Appleは、ハードウェアとソフトウェアとプラットホームが一体化した製品企画が得意だから、NFCもまさに、そういうApple家の一員にふさわしく、多面的に活躍するに違いない。

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この記事を寄稿したSteve Cheneyは起業家で、以前はWebとモバイルテクノロジ分野のエンジニアでプログラマだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))