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Wired誌、カバーストーリーで「Webは死んだ」と宣言―本当か?(アップデートあり)

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「ウェブは死んだ。少なくとも衰退中だ」とWiredの編集長、Chris Andersonは同誌の9月号のカバーストーリーで宣言した。この記事はその証拠としてインターネットのトラフィックの内訳の推移を示した驚くべきグラフを掲載した(上図)。ウェブ、つまりHTMLによるトラフィックは、10年前は全トラフィックのほぼ半分だったのに、現在はわずか4分の1(23%)しか占めていない。代わってP2P(23%)、ビデオ(51%)、その他、ブラウザではなく専用アプリを通じたトラフィックが主役になっていることが示されている。ここで疑問となるのはWiredがいったい何をビデオに分類しているかだ。YouTubeのビデオはFlashプレイヤーを通じて再生されるとはいえ、明らかにウェブの一部なのだが。

グラフをセンセーショナルに見せるためにWiredが数字をどう操作したかはともかく、Andersonがこの記事で主張したかったことは「われわれは次第にブラウザ以外の手段で情報を得るようになっている」ということのようだ。

ここ数年来デジタル世界で起きているもっとも重要な出来事は、オープンなウェブから半分クローズドな専用プラットフォームへのシフトだ。これらのプラットフォームは通信手段としてインターネットを利用するものの、表示にはブラウザを使わない。主要な例は、iPhoneモデルのモバイルコンピューティングだ。これはHTMLが大きな役割を果たせず、Googleがデータを収集することができない世界だ。消費者はますますこの世界を多用するようになってきたが、それはウェブに不満を抱いてというより、専用プラットフォームのほうが何かと便利で、日常生活で使いやすいからだ。(ウェブの場合、いちいちサイトを探しに行く手間がかかるが、専用アプリならワンクリックで即座に目的の情報が表示される)。

たしかに現在そういう傾向は見られる。しかしだからといってブラウザが衰退しているというのは早計だ。インターネットの利用法には波がある。第一波ではブラウザがすべてを支配した。その後デベロッパーはさらに豊富な機能を求めてアプリ(デスクトップとモバイル)の開発に向かった。しかし今後ブラウザはさらに進化してこうしたアプリの機能を内部に取り込んでいくだろう。それが次の波だ。ブラウザの普遍性は多少の技術的な困難を補ってあまりある。モバイルの世界でさえ、ユーザーは無数の個別アプリに嫌気がさしてブラウザの利用に戻りつつある。

アップデート: Wiredの当初のグラフには時系列の誤りがあった。上の図は修正済み。元データはCiscoのVisual Networking Indexだった。私が確認したところでは、 当初疑ったとおり、このグラフのウェブにはYouTubeビデオが含まれていなかった。この図のビデオにはYouTube、Skypeのビデオ通話、Netflixの映画ストリーミングが含まれていることが分かった。この分類は誤解を招くと思う。YouTubeビデオやNetflixの映画のようにブラウザで視聴するコンテンツは(たとえFlashプレイヤーで再生されるとしても)ウェブの一部としてカウントすべきだ。ただしSkypeのビデオ通話は、専用のP2Pネットワークとデスクトップクライアントを通じて利用されるのだから、ウェブとは別に勘定すべきだろう。全てのウェブビデオをウェブのトラフィックに含めるなら、ウェブの役割が減少しているようなグラフにはならないはずだ。というわけで、ウェブは健在である。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01